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なりたい自分 (短編小説)
私の名前はカナ。
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今お付き合いしている方がいます。
彼の名前は木村研二さん。
丸の内の大手に働くサラリーマンです。
実は、私の方からの一目惚れです。
私は木村さんの帰宅時間を狙い、毎日夕刻どきに駅に向かう道で木村さんの目につくように待ち伏せをしていました。
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でも、待ち伏せるようになって1月が経っても、木村さんは私に気づくことがなかったため、私の方から思い切って行動に出ました。
それほど私にとって木村さんはタイプの男性でした。
私は道に迷ったふりをして彼に道を尋ね、その際に私は最近この辺の会社に働くことになったとさりげなく伝えました。
毎日続くと木村さんに不審に思われてしまうため、私は週に1度木村さんの退社時刻に合わせ、偶然の出会いを装いました。
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何回かの偶然を繰り返し、私と木村さんはカフェに行ったり、食事に行ったりするようになりました。
だんだん木村さんが私に興味を示し始めたことに私は興奮していました。
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そして、木村さんは、私の罠にはまりました。
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木村さんは私の魅力にハマり、誕生日には高価なプレゼントくれたりする様になりました。
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そして私も木村さんの上質な世界に酔いしれました。
田舎から出てきた木村さんは都会的な女性を手に入れ、エリートである自分にどんどん磨きをかけている様で、同じビル内に働く私の存在に気づく様子は全くありませんでした。
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私の名前はかな。
栃木県から来た37歳の女です。
私は数ヶ月前から木村さんの働く丸の内のビルのコンビニで働いています。
週に何回かコンビニに訪れる木村さんに惹かれ、気がつくと、私はストーカーのようになっていました。
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田舎で育ち、学歴もなく、ブスな私は木村さんの住む世界に憧れました。
木村さんへの想いは日に日に強くなっていきました。
そんな時、YouTubeで「化粧によって激変する女性」のチャンネルに出会いました。
次の日に私は薬局に行き、ユーチューバーお勧めの化粧品を全て買い、毎日毎日ひたすらに化粧の練習をしました。
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練習を続け数週間が経った頃、鏡の中にいる私は輝き出しました。
上野に行って、私はブランド品のコピーを買って、来る日も来る日も鏡の中で素敵な女性の仕草を真似しました。
いよいよいけると確信した私は、木村さんを待ち伏せし声をかけました。
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曖昧な旅人
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