連作の終わりに『密室』
きっと 青春は密室だ。
鍵付きの窓を持たない部屋の中で誰も干渉できない、
派手に溜飲を下げたところで誰も文句は言えない。
斜方投射された球体の泳ぐ碧空の下で無機質に何かを捉えようとする彼奴も
鹹い香りのする液体で黄金色の管を磨く彼女も
密室の真ん中で馬鹿でかい聲で叫び倒しているのだろう。
そう 青春は密室だ。
毎秒のように暗証番号が変わる部屋の中へ誰も侵入できない、
派手に泣き号んだところで誰も後ろ指を指せない。
膨張する気圧に呑まれ頭痛に神経を擦り減らす君も
相合い傘の口