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わが子の「読めない問題」に悩まされて

何年か前に「教科書が読めない子どもたち」という本がベストセラーになったが、中3の娘はまさにそれ。親としては、この問題はなかなかに根が深いし、改善が難しいと感じている。


先日、バレーの試合をTVで観ていたときのこと。
画面右上のテロップにはこうあった。

日本勝てばパリ五輪出場決定
カナダから1セット先取 

娘は「あれ、テロップ変じゃない?これだとカナダのほうが日本より先に、1セットを取ったことにならない?」という。


実際のテロップは、1行目の「日本」の部分は「日の丸」の画像が入っていた。この日の丸の画像を「日本」に変換して、テロップ全体の主語として読むのが、ごく普通の素直な読み方だとおもう。しかし、娘にはこの普通が通用しない。1行目と2行目は別モノとして読む。

なんとか改善のサポートをしたいのだが、母語なだけに難しい。どうしてこう読んじゃいけないの?と聞かれても、こちらも感覚で身につけたものなので、上手く説明ができないのだ。

また仮に、この場合の主語は日本で~とか、「から」は〇助詞で~などと説明してみても、おそらく本人は別のシーンでまた間違えるだろう。なんせ母語なだけに、文法解釈をする間もなく、瞬時に判断しちゃうから。

娘の読解力は、例えるなら「まだらボケ」だ。重文や複文がちゃんと読めるときもあれば、頓珍漢なときがある。そして、この読めると頓珍漢の境目がどこなのか、私にはわからない。

そもそも普通に生活している限りでは全く気づかなかった。幼い頃から口達者で、読書家。小学校のテストは満点だったし、作文も上手だったから。

あれ?もしかして読めていない?と認識したのは、中学受験がきっかけだった。国語の偏差値の変動があまりに激しいので、一緒に読んで、おおおっとなった。

厄介なのは、頓珍漢は頓珍漢なりに真剣に考えた形跡があり、本人の説明をきくと、毎回、うーーーむ、なるほどそう解釈したのか、になっちゃうところ。単純に「頭が悪い」では片づけられない、何かがある気がしてしまうのだ。。。

都度フォローするようにしているが、今なお、娘は少しでも高度な読み取りを必要とする場面では、かなり苦しんでいる。

通っている中学は、定期テストはどの教科も初見の資料を読み取り、分析して数百字で論述するスタイルをとっている。本人は4回に1回はズレた解釈のまま、明後日の方向に全力で走った解答を、大まじめに書いてくる。困ったものだ。

親友にこの話をしたら、彼女も子どもの国語力に頭を抱えていた。あちらは漢字が酷く、「天の橋立は天下のメイショウだ」を「名称」でもいいはずだ、と譲らないそう。

「天下のメイショウときたら、名勝に決まってると思うけれど、本人は名称でも意味は通じると頑張るの。いや、名称なら『天下』が邪魔でしょと思うけど、本人は、天下=世の中って解釈しちゃうから、天の橋立は世の中で知られている名前だとなって、これの何がおかしいのか?になるわけ」と嘆いている。

親友のお子さんのように、全国で有名な公立高といえばここと、すぐに名前があがるような、それこそ天下の名門校に通っている子でも、こんな感じなのかと。まことに日本語は難しい。

そういえば中学時代、定期テストではいつも1番で神童と名高かった同級生が大学受験には苦戦した。毎年、東大に50人以上進学するような進学校出身だが、本人は2浪してMARCHに進んだ。

彼曰く、決して受験勉強をさぼったわけじゃないそう。「高校受験と違って、大学受験は問題の文章が長かったのが敗因。大人になって自分は学習障害だと気づいた」といっていた。彼にとっては日本語の長い文章は、英語より難しいそうだ。

この読めない問題、いい解決策はあれば、ぜひ教えていただきたい。










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