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認知症の徘徊

高齢者が増え、在宅医療が推進されていますが、最近、認知症の人の徘徊が増えています。
消防としてどう関わってくるかというと、行方不明者の捜索として依頼が来て、消防団と共に捜索になります。

ここ5年で急激に増えて感じがしていますね。
運よく無事に見つかった人もいれば、残念ながら亡くなった人もいます。
池に落ちる、海に落ちる、山で遭難してる、様々なパターンがあります。
過去には田んぼ用の用水路が詰まっていて、棒でトンネルを突っつくと、行方不明者が出てきたこともありました。

偶然、見つけるパターンもあります。
救急要請で、「路上に高齢者が倒れている」との通報。
傷病者から話を聞こうとするも、支離滅裂。傍らには自転車が倒れていました。
傷病者:「家に帰ろうとしてたら転んだだけ」
救急隊:「ご自宅はどちらですか」
傷病者:「〇〇の近く」

その場所は、ここから30キロ近くある場所でした。
たまたま自転車のカゴに、病院の診察券があり、そこの病院に連絡して人物特定ができました。
迎えにきた息子さんからは、一日中探していて、もうちょっとで捜索願いを出すところとのこと。

認知症の人が徘徊をすると、びっくりするような距離を移動するんですよね。
たしかに認知症のせいで、認知機能は衰えているんですが、身体機能は維持されている人もいるので、こんなパターンになります。

最近は、GPS機能がついた腕時計や、発信機、身元が分かるように服や靴に連絡先が書いていることもあります。

救急隊からご家族に連絡してあげて、迎えにきてもらいますが、その時の反応は様々です。

本当に心配して、「良かった~」と言ってくれる家族もいれば、

「もう私たちも困っているんですよ!」と不機嫌な家族もいますね。

そんな時は淋しくなります。
昔はその親があなたのことをいつも心配し、見守っていてくれたのに。
逆の立場になったとき、冷たくあしらわれるとは、思わなかったでしょう。

私の親もまもなく70歳。
女手一つで息子2人を育ててくれました。
長男は大手企業に高卒で入り、その会社では30年ぶりの大出世。
手のかかった次男は、消防士になり、指導救命士として人助け。

先日、母親が入院した時に、手を握りましたが、
いつのまにか母親の手のしわが増えていて、
血管が浮き出るようにやせ細り、
母親の老いを実感しました。

元気な内にしっかり親孝行をして、
たとえ認知症になったとしても、兄弟で支えていこうと思います。

願わくば、認知症の人がもっと暮らしやすい社会、
例えばICTやIoTを使って、安心安全な暮らしを送り、
支える家族の負担も軽減できるシステムの構築ができたらいいですね。

「いつか来た道、これから行く道」

人を大事にし、人に優しい、消防士でありたいです。



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