夢を叶えた五人のサムライ成功小説【川端雄平編】2

※過去に書いた作品の続きで、長編ギャグ成功自己啓発小説です。


この日もバイトが終わったら弾き語りをしよう。


肩に背負った相棒のギターが微笑んでくれた気がした。


店内は客でごった返す。
はて?今日は近隣で何かあっただろうか・・・。


一日店長として本村拓也が来るわけでもない。
それにしてもいったい、この人だかりは何だろうか・・・。

雄平は店内に入り、我が目を疑った。


なんと眼前には本村拓也が居るではないか!
これは夢か幻か・・・。


雄平は人混みをかき分けて、本村拓也の前で立ち止まった。
『俺、歌手に・・・歌手になりたいんです』

そう発するや直ぐ様、護衛の警備員に首根っこをつかまれた雄平は、手に噛みついて大声で叫んだ。


『ちょっと離せよ。俺はこの店のスタッフだ。あとどうして本村拓也が居るんだよ』
警備員は思わず痛みで雄平を手放した。


怪訝な表情で警備員は雄平を睨みつけて言い放った。


『何てことしやがるんだ』
『それは俺の台詞だよ』


そこへ小林店長が駆けつけた。
『川端、大丈夫かぁ?』
『小川店長~』

警備員に事情説明し、何とか理解は得たものの、雄平はいまだに不愉快な面持ちで周囲を見渡した。


小林は懸命に状況を把握していない雄平に対して丁寧に説明した。


聞けばスマッフの某番組が10周年を迎えたそうだ。


それを祝う企画として日本列島の旅突撃レポートという特番が三時間枠で組まれたらしく、その収録の最中でたまたま本村拓也がチョコを食べたいと駄々をこね、このコンビニに立ち寄ったそうだ。


警備員は付き添いの護衛で、大の本村拓也のファンでもあった。

本村拓也は唇にチョコをべっとりとつけて雄平に近づいた。
『歌手になりたいのか?』
『はい』
『ギターを貸してみろ』


雄平は言われるままにギターを渡した。
『夜空のコチラを知ってるか?』
『はい、知ってます』
『俺が弾くから歌ってみろ』


雄平は突然の出来事の連続に驚きを隠せずにいた。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?