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デレラの読書録:伊藤亜紗『感性でよむ西洋美術』
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伊藤亜紗,2023年,NHK出版
古代から近代までの2500年分の西洋美術をサクッと振り返られる本書。
キーワードは、感性。感性とは「考えつつ、感じる」ということ。
では「考えつつ、感じる」とはどういうことか。
それは絵を見た印象を言葉にしてみるということである。
西洋美術の歴史は、〇〇様式の変遷としてすでに物語化されている。
本書ではザックリと、古代→中世→ルネサンス→バロック→新古典主義→ロマン主義→写実主義→モダニズム→印象派→キュビズム→抽象画という風にまとめられている。
本書は各時代の作品を見て実際にどう感じるかを考える。
実際に感じることを言葉にしてみると、社会的・宗教的な事情だったり、ロジカルな思考の反映を目指す作家の意図だったり、生々しさを表現する意図だったり、金属チューブが存在すること(絵具を外に持ち出すこと)によって可能になった表現だったりと、様々な事情に関係することが分かる。
ようは、西洋美術は作家の表現が社会事情との関係のなかで制約され、時に反発しながら、ゆっくりと弁証法的に変化してきたということだろう。
弁証法、つまり前の時代を受け止め否定しズラしながら、その時代の美術家は制作してきたということ。
では現在の作家たちはどういう風に作品を作っているのか。
過去作品との比較が、現代の作品理解を深めるための一つの方法であるということを再確認できた。
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