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"GOOD VIBES ONLY !!!" スペインのクルー "theBasement" 独占インタビュー

 スペインのハウスレーベル、"theBasement Discos" をご存知ですか?"GOOD VIBES ONLY" "ハウスミュージックディーラー" という2つのプロパガンダをあげて、ディープハウスをメインに、ブギーのリエディット、DJツール(フリーダウンロード!)やFutureFunkのDJにも使いやすいようなフィルターハウスなど、すでに21タイトルの作品をBandcampでリリースしています。

 彼らは、theBasement "Discos"として作品をリリースするだけではなく、スペイン国内で大規模なパーティを開催したり、拠点、スペインバレンシアのクラブミュージックシーンの歴史について研究をしたり、幅広い活動を行っています。

 彼らは一体どのような人たちでスペインで何をしているのか、日本初!独占インタビューに成功しました!!

 "ハウスミュージックディーラー" theBasement" は、ハウス好きのDJたちによるコミューン、もしくは、協力しあうクルーのような感じですか?

 そのとおり!私たちは、スペインの美しい海岸の都市、バレンシアで、ハウスミュージックをもっと活発化させようとしているコレクティブなんだ。別の言葉で言い表すとすれば "ハウス好きの友達グループ"って感じかな。

 このプロジェクトは通常何人くらいでやっているんですか?皆さんの年齢は?スペインでは比較的、若いクルーになりますか?

 私たちは10人のグループでやってる。皆それぞれで役割があって、単純にレコードレーベルだけではなく、イベント企画、ブッキング、ラジオもやっているし、ウェブサイト運営や、デザインの仕事などもしているよ。

 様々な年齢の人がいるけど、皆、80年代生まれだね。若いメンバーもいれば年上のメンバーもいるけど、良いもの、良くないもの、についてはみんな共通の認識をもっているよ。

 具体的にはだれがやっていますか? リーダー的な方はいますか?

 私たちは縁の下の力持ち、的な感じで名前は公表していないんだ。でもそれぞれの分野でリーダーはいるよ。4つの分野にわかれていて、レコードレーベルセールス(コミュニケーション)やブッキング担当、製作チーム管理部門だ。全員が納得できる内容に決めるのは、すごくムズかしい事だけど、お互いの専門分野を尊敬しあってベストを尽くしているよ。

 さまざまな活動の中で、一番メインの活動は何になりますか?

 メインの活動は私たちの街(バレンシア)でのパーティの企画だね。
 午後からの野外でのパーティであったり、週末のフェスも企画しているし、クラブでナイトパーティもやっているよ。2012年から続けているから、スペイン国内ではそうやって知名度が上がっていったんだ。
 きちんと音楽レーベルをはじめようと考えたのは2019年のはじめからで、私たちの活動の中で、今、どんどん重要性が高まってきているよ。

 最近の野外での活動をもっと詳しくきかせていただけますか。例えば、どんなところで、どれくらいの人数が来るようなパーティをやっていますか

 私たちのやっているパーティの規模は、狂っているよ!城の中でやってみたり、山の中でやったこともある。まちなかの通りで開催する事もあるし、15世紀の修道院を貸しきったり、公園でやる事もあれば、ホームタウンの公民館を占領したこともあるね。
 300人規模のパーティからはじめたんだけど、いまや2,000人~3,000人規模になってるんだ。いくつかyoutubeのリンクを貼るから是非、この楽しい雰囲気をチェックして欲しいな!

バレンシアの火祭り : https://www.youtube.com/watch?v=8WrxjQX-jvo
カルメン修道院 : https://www.youtube.com/watch?v=Hk4HK-a4nI4&t=6s
モンタネホス 山キャンプ : https://www.youtube.com/watch?v=609iF9DsBOI
バレンシア市庁舎 噴水広場 : https://www.youtube.com/watch?v=HYgVEpdGgNA
ナーサリ公園 : https://www.youtube.com/watch?v=B8NDcP9XQJo

 バレンシアのクラブシーンは、バルセロナやマドリッドと比べるとどのような特徴がありますか?

 マドリッドやバルセロナというのは超巨大都市なので、毎日、何千人もの旅行客が訪れていて、それは週末も平日も関係なく、そのせい、デカい文化的な催し物や、ナイトライフなんかもさかんだね。
 すごく大きい街だから、それぞれの規模も巨大だし、ほぼ毎週何かをやってるよ。
 それに比べると、バレンシアは小さい町なので、施設なんかも小さいけれど、熱烈なプロモーターやDJがたくさんいて、お互い個人的に仲良くしているよ。それが "GOOD VIBE" をキープする良い役割になっているんだ。
 クラブシーンに焦点をあてると旅行客はあまりいないかな。だから、毎週のように世界的に知られたDJが来ることはないし、来る事があれば、それは超巨大イベント、ってイメージだね。
 だから、ローラン・ガルニエやフニー(Hunee)、ジェフ・ミルズがくる場合は…、何かのお祝いの時くらいなんだ。
 私たちは、謙虚に、そして同時に自分達のやっている事に誇りを持ってやっているよ。

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 バレンシアのクラブカルチャーは他のヨーロッパの国々とどのような関係性にありますか?

  80年代にさかのぼると、バレンシアはイギリスとのコネクションもあり、ヨーロッパのアンダーグラウンドカルチャーによってとても重要な場所だったんだ。でもそれは何世代も前の話だね。今はバレンシアは独自の動きをはじめているよ。スペインのナイトライフというと皆マドリッドやバルセロナを想像するし、バレンシアには世界的に有名なDJやプロデューサーはそんなにいないけれど、この国のエレクトロニックミュージックがはじまったのはバレンシアからなんだ。もしこの話題に興味があれば、"バラッカの崩壊"** について調べることをオススメするよ。
 2015年に、私たちはこの歴史について4つの記事を書いたので、是非チェックしてみて欲しい。 (*内容はスペイン語です。)

 ■ 特集記事 : 物語はバレンシアではじまった。(進化と黄金期)

 1話 : 伝説のクラブ"バラッカ"について
https://thebasementxxx.com/webapp/la-ruta-del-bakalao-1/
 2話 : 伝説のクラブ "チョコレート" について
https://thebasementxxx.com/webapp/la-ruta-del-bakalao-2/
 3話 : 伝説のクラブ "スプーク ファクトリー"
https://thebasementxxx.com/webapp/la-historia-empezo-en-valencia-la-ruta-tomo-3/
 4話 : その他、主要クラブ "スパイラル" と "パズル" について
https://thebasementxxx.com/webapp/la-ruta-del-bakalao-4/

 ( 注釈 ** // 80年代初頭、バレンシア伝説のクラブ、バラッカ、チョコレート、スプークファクトリーなどを中心にして、ディスコのDJのファン・サンタマリアが活躍、毎日テレビやラジオでもクラブミュージックが放送され注目された。シーンは90年代半ばまで続くが、ハードドラッグが広まり、警察の取り締まりが激しくなり、うちに衰退してしまった。)

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 "theBasement"のメインジャンルを言葉で説明すると?(私は皆さんのモットー "Good vibes only" が凄く好きです!)

 おお!説明するなら、"みんなの幸せの為のハッピーミュージック"だ。メインはハウスミュージックで、ディスコ色がかなり色濃いやつだね。ディスコ・ハウス関連レーベルになれる事を目指しているよ。
 でも音楽を分別する気はなくて、最高のグルーヴポジティブなバイブのある良い音楽なら何でもレーベルにフィットすると思っているんだ。

 何がきっかけて曲をリリースすることになったのですか?(theBasementの発足は2012年ですが、最初のリリースは2016年ですよね?)

 ハウスパーティを企画するようになって必要な残りの1ピースは音楽レーベルを立ち上げる事だと考えたんだ。2016年に私たちはレコードのリリースを試みたんだけど、それはあまりにも大変な作業だったし、過程がスローな上に、製作にかなりの予算が必要だった。

 そして3年がすぎて、それなら回転の早い、リスクも少なくて、すぐに発表できるデジタルリリースに切り替えようと考えた。もしあるひとつのリリースが皆にウケなかったとしても、すぐに次のを出すこともできるからね。
 そして嬉しいことに、みんな、どのリリースも好んでくれているんだ。世界中からサポートをいただいていて、それに対するフィードバックやコメントは、常に私たちにやる気を与えてくれるよ。

 リリースしているアーティストは地元のアーティストが中心ですか?何人かは別の国のアーティストもいるように思いますが、彼らとはどのようなコネクションですか。

 まったく逆で、ほとんどプロデューサーはスペインでは無い所のアーティストだよ。Kostrok、 Jazzman Wax、 Whatever Charles、Parissior、 Oscar Barilaなどはスペイン人だけど、そのほかは色々な国のアーティストだ。何人かはドイツだったり、イギリス、フランス、そして、ベルギー、セルビア、アイルランド、ポーランド、メキシコ、そしてオーストラリアだね。最終的には、アーティスト達やサポーターで、ワールドワイドなファミリーを築きたいと思っているんだ。
 実は、次のリリースは日本人アーティストのAFAMooを予定していて、初のアジアのメンバーが迎えられて、私たちはものすごくエキサイトしているよ。

 私たちは、ハウスラバーを通じて、世界中とつながりたいと思っている。彼らとつながって、彼らの音楽をサポートして、ただレーベルでリリースするだけではなく、彼らの他のリリースもサポートしたいと思っているよ。愛することで、愛される。シンプルな理論なんだ。

 今後のリリースのアイディア、予定などはありますか?

 すでにたくさんスケジュールされているよ。第3弾のエディットシリーズ。2作のコンピレーションに、私たちが愛し、リスペクトしている何人かのプロデューサーによる作品も予定している。それぞれの発表の日々が待ち遠しいよ。

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 *写真 : NGO団体にフェスの売り上げを寄付するtheBasementメンバー

 最後に是非、このインタビューを読んでいる、家にいるクラブミュージックラバーに一言メッセージをお願いします!

 これはすべての音楽を愛している人に届いてほしい大切なメッセージなんだけど、音楽を作っている友達をサポートしてほしい。友達ではなくても小さいアーティストをどんどんサポートしてほしい。何故ならどんなアーティストも最初は小さいところからスタートするからだ。ボブディランだって、ローラン・ガニエもドレイクだったり、カールコックスやマドンナだって最初は小さいアーティストだったんだ。好きなアーティストが育つのを皆にサポートしてほしい。ソーシャルメディアで共有したり、サンクラにコメントをつけたり、あなたのSpotifyのプレイリストに加えるだけでも良い。簡単なことだけど、それが本当に手助けになる

 加えて、愛には愛を。GOOD VIBEを絶やさないように。他人には親切に。
メディアの言うことは半分嘘だと思ってきくように。人の善い行いを信じるように。生活のバランスを大事に。

そして一番大切なのが、生き急いで、あなたの生活を見失わないよう!

Thank you!

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インタビュー、お楽しみいただけましたか!もし記事を楽しんでいただけたら、是非、気に入ったポイントなどをシェアしていただけると嬉しいです!好きな方が多ければ、是非、今後も続けていきたいと思います。

最後に、私から theBasement Discosの最新リリース2作を簡単に解説して終わります! (P)

オーストラリアのディスコリエディットを多く発表しているデュオ Tuesday Brunchによる、超ハッピーバイブス高めな正統派フィルターハウス!130BPM前後の早めのハウスで、どの曲もフロアが幸せになること間違いないヤツです。この二人組みのInstagramからもハッピーバイブスさが感じられます!笑 (https://www.instagram.com/tuesdaybrunchmusic/)

デトロイトハウス色強い、ディープハウスを多く発表してきたフランスのプロデューサー Larry Houlの最新のリリースは実機!の暖かさをバッリバリに感じるブギー色強めのハウストラックです。スペインのプロデューサーWhatever Charlesによるコールドなディープハウスリミックスも含んだ実用性の高いかっこよい一枚です!

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