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自閉症スペクトラム(ASD)とは

自閉症スペクトラム(英語:Autistic Spectrum Disorder 略称:ASD)について、ご存知でしょうか?この文章を見ている皆さんのなかには、すでに知っている方も多いと思います。ご自身やご家族やご友人が、ASDの方もいらっしゃるかもしれませんね。ここではASDの特徴について、おさらいのために説明します。

自閉症スペクトラム(ASD)の三つ組みの特徴


自閉症スペクトラム(ASD)は、発達障害の一種。発達障害は、脳の発達が原因とされていて、「できること」と「できないこと」の差が大きいのが特徴です。発達障害のことを、発達凸凹と表現する人もいます。

では、自閉症スペクトラムにはどんな特徴があるのでしょう?自閉症スペクトラムという考え方は、イギリスの精神科医であるローナ・ウィングさんによって提案されたものです。ローナ・ウィングさんは、自閉症の特徴として、以下の3つを挙げています。(三つ組みの障害と呼ばれているものです)

1.社会性の障害

  • 人とうまく関われない

  • 相手に共感することができない

  • 場の雰囲気を読み取れない

2.コミュニケーションの障害

  • あいまいな言葉を理解できない

  • 顔の表情などから気持ちを察することができない

3.想像力の障害

  • こだわりが強い

  • 変化に対応するのが難しい

自閉症スペクトラム(ASD)はグラデーション


ところで、自閉症の傾向のある人たちを見てみると、それぞれ個性があります。自閉症状が重い人・軽い人、知的な発達の遅れがある人・ない人……

自閉症スペクトラムは、そういった特徴をデジタル式にくっきり分類しないで、アナログ式に連続体としてとらえたものです。スペクトラムという言葉自体、連続体という意味があります。虹のグラデーションを想像すると、分かりやすいでしょうか。

下の図でいうと、Aのようなカナータイプの自閉症(知的障害を伴う自閉症)も、Bのようなアスペルガー症候群(知的障害を伴わない自閉症)も、自閉症スペクトラムという大きなひとまとまりに含まれます。

※ アスペルガー症候群という診断名は、現在のDSM(アメリカ精神医学会が作成している心の病気に関する診断基準)にはありません。2013年出版の第5版(DSM-5)以降、アスペルガー症候群は自閉症スペクトラムのなかに位置づけられることになりました。

自閉症スペクトラム(ASD)は環境が大きく影響する


さて、上の図。縦軸が「自閉症状」で、横軸が「知的な遅れ」となっていますね。奥行きの軸として「環境」も加えることもできるのではないかと、個人的には思っています。この環境こそが、自閉症スペクトラムの人の生きやすさに、大きく影響しているに違いありません。

同じ人であっても、自閉症の特徴が目立つ場合もあれば、目立たない場合もあります。例えば職場でも、騒がしいオフィスと静かなオフィスでは、仕事のしやすさも違ってくるはずです。

さらに大人の場合は、子どもと比べると、二次障害が性格に影響することもあります。自閉症スペクトラムゆえに、環境に上手くなじむことができなくて、心に暗い影を落としてしまうケースです。(逆に言えば、環境を本人に合わせることにより、二次障害を緩和できる可能性はあります)

自閉症スペクトラムといっても、十人十色。
100人いれば、100通りの個性があります。

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