自閉症スペクトラム(ASD)・3つのポジティブな特徴
自閉症スペクトラム(ASD)には、どのような特徴があるのでしょう。イギリスの精神科医であるローナ・ウィングさんは、「三つ組み」の障害があると定義しています。
社会性(人とのかかわり方)
コミュニケーション
想像力(気持ちの切り替え・応用力)
ASD当事者なら個人差はあっても、この3点に何らかの困難を抱えています。
ところで最近、この「三つ組み」について、とても分かりやすく書かれている本を見つけました!「あなたがあなたであるために」-自分らしく生きるためのアスペルガー症候群ガイド……という本です。
精神科医の吉田友子さんによる著書ですが、監修はなんと、ローナ・ウィングさん!そう、なんと「三つ組み」の提唱者であるご本人が、この本の作成に関わっているのです。
と、ローナ・ウィングさんのお墨付きもある通り、この本ではASDのポジティブな特徴が、優しい言葉で打ち出されています。ASD当事者の私が読んでみたところ、自分をまるまる肯定された思いになりました。青少年向けに書かれた本ですが、大人が読んでも充分参考になります。
ここでは本書を引用しつつ、ASD当事者の私の視点も交え、「三つ組み」の特徴について紹介したいと思います。
※ここでいう自閉症スペクトラムとアスペルガー症候群は、ほぼイコールと考えてください。DSM(診断基準)が2013年に第5版に改定されてからは、自閉症スペクトラムのなかに、アスペルガー症候群が含まれることになりました。
1.社会性(人とのかかわり方)の特徴
「社会性」について、辞書には「集団をつくって生活しようとする人間の持つ基本的な傾向」と書かれています。
ASDの場合、自分の発想やルールに対するこだわりが強いため、集団生活において上記のような特徴がみられるのかもしれませんね。「真面目で公平で誠実で優しい」というのは、素敵な長所です。
さて、社会においては、同調圧力がかかることがあります。常識で考えることを暗に求められたり、周囲の人に妙に気を回す必要があったり……自分のこだわりがあるASD当事者にとっては、そのような曖昧な社会は生きづらいです。
でも、大勢が正義とは限らないですよね。社会の旧来的な雰囲気がおかしい場合もあります。そう考えると、ASDの個性の強さは、ある意味貴重です。
2.コミュニケーションの特徴
ことばや数字や専門用語に対するこだわりは、貴重な個性だと思います!
たとえば、金融業界で働いている場合は、1円でも間違いのないようにコミュニケーションを取ることを求められます。法律関係やIT関係など、専門用語のオンパレードな業種もあります。強いこだわりがあるならば、それを生かせる仕事に就ければいいんですよね。
プライベートでも、趣味の話を熱く語ることのできる当事者は多いと思います。人間関係を広げて、自分と気の合う友達も見つけるのもいいかもしれません。(もちろん、無理に友達を作らないのも、ありだと思います)
3.想像力(切り替え・応用力)の特徴
「三つ組み」の特徴でいちばんピンと来づらいのが、想像力の項目だと思います。「気持ちの切り替えや応用力」と考えると、分かりやすいのかもしれませんね。
たとえば相手の心を想像する場合、自分の気持ちを切り替えて、相手の心に視点を飛ばすことになります。その視点をひょいと飛ばす、というのが、なかなか難しいというイメージでしょうか。
でも、周りのことを気にしないで、自分の世界に没頭できるのは、周りのことを気にしすぎてしまう人にとっては、うらやましい個性です!
それに、想像力の特徴があるからと言って、想像力が全くないということではありません。ASDのアーティストもいるし、イマジネーションが豊かな当事者もたくさんいます。
まとめ
「あなたがあなたであるために」-自分らしく生きるためのアスペルガー症候群ガイド(吉田友子:著、ローナ・ウィング:監修)の引用も交えて、ASDの特徴について語ってみました。これらの特徴は状況によって目立ったり、目立たなかったりします。
上記の文にもある通り、不安や緊張や疲れを減らしたり、工夫をすることによって、長所を活かしていけるといいですね。
これをご覧になっているあなたも、弱点ばかりを見つめて、落ち込むこともあったかもしれません。実はこんなに長所があるのだと、気づくきっかけになれば嬉しいです。
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