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高い家具と安い家具、その違いと選び方のポイント

インテリアコーディネーターに相談すると、高い家具ばかりすすめられるんじゃないか。よく言われます。

私の回答は「半分ホントで、半分ウソ」

正直自分でも買える家具やカーテンを、わざわざお金を払って私に相談してくださっているんだから、自分が思う最良の商品をご紹介したいというのが本音です。でも私も小学生の子供がいる一般的なファミリー世帯、いくらいいものを、といっても限度があります。

また小さいお子さんがいるご家庭に、高価なラグやソファをおすすめして、いつよごされるか気が休まらない、ということは絶対にあってはなりません。いいものを大切に使うことは教育的にも大切だけれども、いいものが負担にならないような配慮は必要です。

一方で、私がコーディネーターの役割の中で非常に重要に感じているのが、お客様に後悔のないいい買い物をしてもらうお手伝いをするということ。家具は長い年月暮らしを支えるものなので、購入のときに少し背伸びをしても妥協せずに最適なものを選ぶ必要があります。そのために商品の良さをわかってもらい、全体の予算を調整することで購入できるよう努力します。

要は商品のメリットとデメリットをきちんと理解することができれば、高い家具にも安い家具にも買う意味があると思うのです。

というわけで、(同業者も見ているので勇気が必要ですが)高い家具が高い理由と、安い家具を選ぶ時に知っておくべきことを、私なりに解説してみたいと思います。家具選びの参考になれば幸いです。長い記事なので、目次を参考にしてくださいね。

木製家具の価格を左右するポイント

 ー(1)どんな材料で仕上げられているか

なんといってもポピュラーなのが木製の家具。テーブルや椅子、収納などあらゆるところに木が使われていて、見た目にも感触的にも、そしてコスト的にも人にやさしい家具の代表です。

まず知っておきたいのは、仕上げ(見た目)が木のように見えても種類が違うということ。木製には本物の木を使った無垢材、パネルに木をうすく剥いだものを貼り付けた突板(つきいた)、木目をプリントしたシートを張った樹脂系化粧合板などがあります。3つ目は木製ではなく木目調ですが、「木製シェルフ」で検索するとこれらが混ざって出てきます。

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無垢の木を、考え抜かれたデザインと優れた技術で家具に仕上げています

もちろん無垢の木は作る際も扱いづらく技術が必要で、樹種や状態によっても価格は変わってきます。板も重くなるので、それらをしっかりと支えるために加工にも手間がかかります。だからこそしっかりとした作りの、美しい木目は味わいがあるし、きちんと木の特性を生かしたデザインの家具はとても美しい。100年前のアンティークも、無垢だからこそあの状態で残っていると言えると思います。

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造作家具には化粧合板をよく使います。

DECOTEのコーディネート実例→ ROOM no.10

じゃあ突板や化粧合板が劣っているかと言われると全くそんなことはなく、さまざまなメリットが挙げられ、私もよく使います。軽いことや価格が抑えられること、メラミン化粧合板は表面がとても硬く傷に強いので家具の天板に使え、メンテナンスも楽になります。

化粧合板にもランクがあり、安い化粧合板の家具は木目のプリントが嘘っぽかったり、強度がなく傷がついたり角が剥がれてきたりします。経年変化で味がでない、というのは無垢の家具と比べたときにはデメリットと言えるかもしれません。他に比べて安く感じる家具は、できれば実物を見て表面の仕上げが気にいるレベルか、確認することをおすすめします。

 ー(2)接合部分はどうなっているか

ふたつめのポイントは、その家具が組立式か完成品かということ。組み立ての代表格はIKEAですが、自分で運んで組み立てる分価格を抑えられます。ここで知ってほしいことは、接合部分が家具の大切な部分だということ。組み立てるために素人が接合すると、必然的に弱くなります。

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我が家のダイニングテーブルは、母が仕事場で使っていたテーブルをかれこれ20年以上使っています(IKEAではありません)。天板と脚はボルト金物で止まっているだけで、長い年月引っ越しや模様替えを繰り返したおかげでもうグラグラです(笑)。

本棚のように一度置いたらほとんど動かさない家具はいいですが、引き出しを開け閉めする、椅子を出し入れするなど、移動や可動が多かったり、体重など重いものを支える家具に安いものを使うと、接合部からどんどん緩んだり破損したりすることは十分考えられます。

また見た目的に接合部をきれいに仕上げようと気を使っているのか、それともボルトが丸見えなのかでも、手間のかけ方が価格に反映されます。高い家具はそういう細かいところまできちんと考えられているから高いのだといえます。

ソファの価格を左右するポイント

 ー(1)生地の質がとても重要

以前働いていたカーテン屋さんで人気だったのが、椅子やソファの張り替え。布なのでよごれるのは避けられませんが、本体がしっかりしている場合は捨てるのはもったいない。そんなお客様が多数来られました。

価格を聞いて、なかにはびっくりされる方も。布を張り替えるだけなのに、ソファが買えるほどの金額になることもあるからです。
(※厳密には表面の布だけじゃなく、中のクッション材もヘタっていることが多いのできちんと直します)

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ブリガンタンソファ。私がリーン・ロゼが大好きなのは生地がスペシャルだから!

ソファは生地を多く使い、縫製や張り方にも技術が必要なので、実は表面に結構お金がかかっています。さらに生地の価格もピンきりなので、しっかりした質のいい生地を選ぶと金額も上がります。

新品のものでも布のランクによってずいぶん変わりますし、革を選ぶと倍ほどの価格になることもありますよね。いいソファは生地が本当にいいんです。洋服と同じです。

小さなお子さんがいたりペットがいて、よごれることが予想される場合は、あえて安いソファもご提案します。お父さん、お母さんが笑っている方がいいですもんね。

インテリアで統一感を持たせるために、私は生地が選べるということを重要視しています。生地が選べることで価格は上がりますがイメージに近いものが探せます。濃茶かベージュしか色が選べないソファでもイメージ通りであればお得感があるかもしれません。カバーが交換できるタイプか、張り込みかを選べるソファもあるので、使い勝手のいいものを選んでください。

 ー(2)ソファの中身で、座り心地が決まります

ソファの価格を左右するもう一つは、中身の仕様。体に近い部分に座り心地をよくするためフェザー(羽毛)を使っているものは当然値段が高くなりますし、体を支える芯材となるウレタンフォームを数種類組み合わせてへたりにくさと座り心地の最適バランスを追求したソファは長く快適に使えます。

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ACTUSで扱うブランド、アイラーセンのソファ断面

クッション材がへたった場合、前述のように張替えの際になおすこともできますが、あまり安いソファの場合は新しく買ったほうが(構造も一新されるので)いいかもしれません。

また我が家のように小学生男子がいたりすると、お友達が知らない間にソファで飛び跳ねていたりして、ソファの構造によっては笑えない事態もありえます。使う年数や使い方で、価格帯を吟味することをおすすめします。

収納家具の価格を左右するポイント

 ー(1)既製品か、セミオーダーか、オーダーメイドか

当然ですが同じ仕様であれば、価格は既製品<セミオーダー<オーダメイドと高くなる傾向にあります。セミオーダーというのは壁面収納やキッチンボードなどで箱状の既製品をパズルのように組み合わせたり、伸縮できるもので隙間を埋めながらお部屋にぴったりの家具をつくること。

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「システム家具」ともよばれる、セミオーダーの収納家具(マノーネ)

単体の家具が、お部屋のサイズにピタッとあっているものより劣るのかと言われればもちろんそんなことはなく、好みの問題です。ただ木製の家具と同じく、表面の仕上げによって差がつきますし、壁面収納はサイズも大きくなるので、仕上げ材のランクによって価格もぐっと上がってきます

 ー(2)オープンの棚か、引き出しや扉がついているか

同じ収納でも、ものがどこに入っているのかがひと目で見えたほうが使いやすい場合と、見た目がごちゃごちゃするので扉や引き出しにしまいたいという場合があるかと思います。オープンな棚はワンアクションで取り出せるので使いやすいメリットがあり、引き出しを多く作ると整理しやすく、たくさん収納できたりします。

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(左)ひと目につかないところは使いやすくオープンに作りました
DECO-TEのコーディネート実例→ ROOM no.46

価格の話をすると、やはり引き出しや扉が多いほうが高くなります。レールを付けたり、棚板や扉をつけたりという手間が増えるからですね。造作の家具をデザインするときは、両方を組み合わせて、使いやすさと見た目のバランスを探っていきます。

カーテンの価格を決めるポイント

 ー(1)やっぱり生地の質感と色!

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カーテンはもう、生地ありき。何で価格が決まるかといったら生地でしょうか。ただ安いからといって不良品がないのもカーテンで、安いから切れやすいなどといったクレームもあまり聞きません。

新築となると家中の窓にカーテンを作ることになるので、価格は少しでも抑えたいところですよね。大きめのショールームに行くと、安くても生地はしっかりしているように見えるし、なにも問題はないように思えます。

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DECO-TEのコーディネート実例→ ROOM No.45

ただ好きな方には、ぜひ!いくつかのメーカーのショールームをくらべてみてほしい。国産で私が好きなのはフジエテキスタイルのカーテン、質感もいいしカラーバリエーションも洗練されています。マナ・トレーディングにいくと世界中のカーテンが見られるし、国内在庫をもつ価格を抑えたラインナップも見られます。

ショールームで実物を見たら、少しいいものがほしくなっちゃうと思います。やっぱり違うんです。特別な窓に特別なカーテンをかけると、気持ちも上がりますよ。

 ー(2)生地の量と縫製、加工方法

生地の質の他に価格を左右するものといえば、ヒダの量です。よく聞く1.5倍ヒダは、窓の幅に対して1.5倍の幅の生地を使っています。あまりヒダがないとカジュアルな印象に、2倍ヒダのカーテンにするとボリュームがでて見栄えがします。

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無地のカーテンよりも、柄物のカーテンの方が値段があがります。カーテンはほとんどの場合生地を継いで作りますが、柄を合わせるために無駄が多く出てしまうから。

さらにその巾を継ぐ作業も、いい生地の場合はわざわざヒダの見えにくいところで継いだりするんです。いいものはきちんとした手間をかけて作るから価格も上がる。家具もカーテンも同じですね。

まとめとポイント

家具もカーテンも安いから悪ではないし、高いからベストな選択というわけでもないと思います。人によって重要度が違い、全体の予算もある。だからこそなぜ値段が高いのか、あるいは安いのかを知って、納得して買うのがベストではないでしょうか。

かくいう私も好きだし、いいものを見ちゃっているので、購入には非常に悩みます。だからこそちょっと背伸びして買えたときは嬉しさも倍増!ぜひいいお買い物の参考にしてくださいね。

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