水が足りない害
雨季のダラムサラにも、水が足りないという不思議な状況が勃発している。
雨が多いので、一見水が豊富そうであるし、
実際そこかしこ水は流れているのであるが、
何ということか。
生活用水が足りない。
数日前から、洗面所(風呂場)の水の出が悪いなとは思っていたものの、
筆者の部屋は水道パイプの源が二つあり、台所で水を汲んでは洗面所へ運んでいた。
日常生活はそれで支障なかったので、気にせずにいたけれど、
昨日階下の大家さんに、外の階段から呼ばれた。
「ロブサンラー。ロブサンラー。」
(ロブサンは筆者の名前。ラーは敬称。「ロブサンさん」と呼んでいる)
「はい!」
「ロブサンラー、水は来てるか?」
ロブサン台所チェック。
「来てます!」
「台所じゃなくて、風呂場のほう。」
「この間から来てなくて、台所から水を運んでます。」
「わたしの風呂場には何日か全く水が来てない。身体も洗えない。」
(大先生のお部屋は筆者の部屋のほとんど真下。風呂場の水源は同じ。)
「ここんとこ、水不足の場所が多い。
○○僧院も二週間くらい前から水が全く来なくなって、◇◇(僧院付きエンジニアさんの名前)は今日もパイプの配管を見に行った。
IBD(仏教論理大学)も水が来ていないそうだ。
別のパイプ(プライベート)で水を引いてるだろ?
パイプが壊れたか詰まったかで水が来ないらしい。
風呂場のほうは、タンクに水がある程度溜まるまで、栓を締めておくから。」
「台所に(水が)来てるから、大丈夫です。」
という具合で、水が多いとも少ないともいえない状況に陥っている。
先日近場のリゾートホテル地区で水害があり、
その時にも大量の雨水が生活用水を供給するパイプを破壊し、
水道水が数日間枯れた地区が幾つかあった。
観光客の多さも、ここ数日の水不足に関係しているのかもしれない。
ダラムサラでの小さな水不足は可愛いものではあるが、
今年は世界中で、集中豪雨の被害が酷い。
ヨーロッパの国々でも流された車が市街地に積みあがっていたり、
現在最も酷い被災地の一つに、中国がある。
地下鉄や長いトンネルが冠水して、多くの犠牲者が出ているらしい。
被災された方々には、心よりお悔やみを申し上げる以外、言葉はない。
各地で大量の水が猛威をふるうなか、飲料水や身体を洗うう水など、清潔な生活用水を得ることは、非常に難しいのではないだろうか。
しかし考えてみると、常識を超えた被害を受けているのは、やはり人間の手が入った場所が多い。
自然のままの状態で同量の雨が降っても、
いや、自然のままの状態でこれほどの雨が降るのかも定かではないが、
これほど甚大な被害が出ることは無いのではないか。
トンネルは掘らなければ、そこに閉じ込められることは無い。
あまりにも大きなダムを作らなければ、決壊を怖れる必要はない。
水の流れのあるところに居を置き、農地を作り、
収穫した作物を足りないところに持って行って分ける。
過剰に作る必要もないし、贅沢をしなければ、衣食住の供給が足りないこともないだろうと考えるのは、おめでた過ぎるのだろうか。
今捨てているものを、捨てない程度に消費すれば良いのである。
人は賢いけれど、賢さを使ってやり過ぎもする。
賢さ、智慧を、正しく使うことも、人間に与えられた智慧ではないのか。
DECHEN
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