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ソマン・ナコ・タボ~人界へ~

コロドンパからソマンへ下りてきた時にも、
人が多い場所へ来たと感じたものだが、
ソマンからナコへ帰る時にも、
人が多い場所へ行くのだと感じたものである。

コロドンパとソマンの印象が強すぎて、帰りたくない気持ちになっていたのだが、やむを得ず下りてきた、という感じである。

「また来ようね」と友人と言いあったものだが、
その時にはメメがいないと思うと、
今回のソマンは、本当に一期一会の機会だったと実感した。

アマチュンやみどりちゃんも、コロドンパへの案内が終わったとたんそれぞれの家庭に戻った。
まるで道案内のために、ソマンに滞在してくれていたかのように。

我々も涙ながらにメメに別れを告げた。
メメは、お互いに見えなくなるまで見送ってくれた。
空には、あの大きな黒い鳥が飛んでいただろうか。

下山は非常に容易で、腹を壊すこともなく、道を間違えることもなく、
携帯のバッテリーが切れることもなく、
無事軽トラ運ちゃんを見つけ、ナコまで送ってもらった。
途中、アマチュンなどローカルの人々のおかげで適正価格が判明し、値段交渉で僅かにゴタゴタがあったものの、無事に帰ってくることができた。

ソマンで2泊したので、旅程は既に遅れている。
翌日、バスでタボへ帰ることにした。

昼過ぎにナコに着いたので、昼食を食べようということになり、
マーケットの入り口にある地元の人が入りそうな食堂に入り、ベジ・トゥクパ(野菜汁麺)とお茶を注文した。
先日おばちゃんと山の祠に参った後で、お茶を飲んだ場所である。

食事がてら情報収集をする。
タボ・ナコ間のタクシーは幾らぐらい?
3000ルピー。
タボ・ナコ間のバスは幾らぐらい?
120~130ルピー(実際は女性割引で116ルピー)。
この違いである。

バスは何時くらいに出る?
朝は9時。午後は2時半くらい。

話の途中で、今ソマンから帰って来たこと、コロドンパへ行ったこと、メメに会ったことなどを話すと、丸顔のおじさんの様子が急に友好的になった。
メメの威力である。

因みに、ベジ・トゥクパは100ルピー、お茶は20ルピーだった。

宿に帰って、明日発つ旨を伝える。
バスの発着所から離れているので、バスの時間に合わせて送ってくれるという。
宿の従業員の兄ちゃんは、午後のバスは12時だという。
更に誰かは、2時だという。

バスは午前中に1本、午後に1本しかない。
午後のバスを逃すと移動することが難かしくなるので、とにかくそのバスに乗ろうということになった。

翌日午前中に、湖の周りを少し掃除し、観音様の真言をしっかり見えるようにして、お加持のお砂を湖にサラサラと入れた。
何となく喜んでくれたように感じて、明るい気持ちで宿に戻った。

12時、時間通りに宿を出て、バス停にやって来た。
バス停は工事中で、砂埃もうもうである。
ソマン・ダバというレストランに入って訊くと、バスはしばらく来ないから待っておれという。
時間がありそうだったので、ベジ・モモ(野菜餃子みたいなもの)を注文して腹ごしらえをしようということになり、2人で1皿頼んだが、意外にも非常に美味しかったのでもう1皿追加して、完食した。
1皿100ルピーだった。
近辺のレストラン事情を考えれば、安い方である。

ソマン・ダバで待っていた時、山の祠へ案内してくれたおばちゃんが、たまたま通りかかった。
お礼を言って、ソマンとコロドンパにも参拝したことを伝えた。
これからタボに帰ることも伝えると、別に表情が変わることはなかったが、『少し寂しそうだたかな』なんて、筆者は勝手に思った。

ピオ発のバスは、ナコに2時ごろ到着した。乗客の食事のため数分停車し、2時半ごろタボへ向かって発車した。
昨日のレストランのおじさんの言葉が、最も正確だった。

スピティ郡に入るスムドでバスは一時停止し、外国人がチェックポストで出域登録をするのを待っていてくれた。
入域時とは別のお巡りさんであったが、入域時の人とおぼしき若いお巡りさんが、視線を合わせないまま優しく笑って、道の横にいた。
若者の優し気な微笑みからも、何となく土地の優しさ、物質的な面はさておき、精神的な豊かさを感じた。

夕方5時半、タボ着。

以前宿泊していた部屋にそのまま泊まることができた。

また人界に帰ってきた。
ナコでは休む時間もなく動いていたので、少しゆっくりしようということになった。

この時点で9月10日。
インナーライン・パーミットは、15日まである。

つづく。


DECHEN
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