法学ラウンジ Day 7~実務家の方との体験記録~

今晩は。今日は自室の机の整理とかやってたので民訴の判決による訴訟の終了~既判力の客観的範囲~の復習と短答憲法100問くらいしかできてないのだけれど、一日の終了の直前になって今後あるかどうか分らない貴重な体験をさせてもらったので本日記録を付けている。
テーマはH28予備試験刑事訴訟法だ。なんと僕がTwitterのラウンジ垢に掲載していた問題を添削してくださったご厚意にあふれる方がいらっしゃったのだ。そしてその人と色々本問を通じてやり取りをしていた。
ほぼ確定で実務家(弁護士)の方です。実務に出たらこういったことも学べるのか⁉と非常に驚いたし、試験と実務との差の大きさを多少は垣間見たのではないかと思う。
ひぃっ!とはなったけれど同時にゾクゾクしていた。
なんだろう。俺らがやってるのってすごく狭い世界だったんだなって。でもそこから飛び出したらスケールのデカい世界が待ってるんだなって思った。
そりゃワクワクするでしょ?しないわけがない。

さて、感想の並べはここまでにして、どういったやりとりをしていたのかをサクっとここでは記しておきたい。気になった方は法学のラウンジ(@Lounge_for_Law)に飛んで実際にその目で是非確認してほしい。

①ざっとの反省点~序論~

今回の問題では再逮捕・勾留の可否についての問題だった。
再逮捕・勾留をするにあたっては
・罪証隠滅の可能性
・逃亡の可能性
についても言及しなければならないのだけれど本問の僕の答案ではそれをしていなかったというのが致命的な誤りなのは自己添削していた段階で気づいてはいた。また、近接所持についても触れないとイケナイ。たしかにいくら美術品が転々流通しないものであるからといっても、犯行の日から1ヶ月も経ってました~!とかだったら流通してもなんらおかしくないし。そのため4日しか経ってないよね?という認定は極めて大事な要素になっているのだがそこに触れられていないのはダメですね


②ここからが本題です

ただ、再逮捕再勾留の可否のところで、被疑者の身体拘束が20日でフルで拘束されていたというのは見落としてた。添削していただいた方からも『身体拘束期間は指を折って数えてください!!!!!!!!!!!』としっかり指摘していただいた。全く気付いてなかったのでここは留意しておかなければならないな。
また被疑者の身体拘束による不利益と比してもやむを得ないということについては、①で書いた通り身体拘束の必要性、つまり
逃亡の虞
罪証隠滅の虞
の2つを検討しないといけないけれど、後者については窃盗被害物が既に売却されている事実を基にどうやって罪証隠滅を実現させるか?という指摘があった。なるほど…一見するとたしかに難しそうだな…古美術商に駆け込んで無理やり破壊させるか、それとも俺が売却したことは黙っていろ、と脅すかくらいだろうが…それは少し無理があるのかな(そもそも罪証隠滅を図れるか怪しいし…指紋とかついてたりするだろうし。指紋だけじゃ犯人性の証拠としては弱いかもしれないけれど、可能性は浮上しそうか?)。罪証隠滅の客観的可能性は確かにあまりないかもなぁ。逃亡する虞があるというのは甲?が独り身だったというのはあるが住居とかはネットカフェとかで寝泊まりといったかんじの住所不定というカンジではなかったと思う。
また、仮に逃亡の虞があるとかいっても身体拘束期間は20日間みっちりやってるわけで被疑者の身体拘束の負担はデカイのは間違いないと思うし、捜査機関が新事情を発見できなかったのはそれは捜査機関の責任だろ⁈と言われたら何も反論できそうにないな…上手い事隠蔽されてて発見は無理です!とかいう事情があったらひっくり返るかもしれないけど。
原則例外論をしっかり考える必要があることを認識させられた。特に採点していただいた方に『やばい完全に俺の思考が見透かされている…』と思ったのは、事情の発見に引っ張られ過ぎているような印象を受けました、というコメント。もう仰る通りです先生…何も異論はございません…事実です。
要件をしっかり固めておかないとなと反省です。

➂受験生の世界と実務の世界って全然違い過ぎる。面白いという件

さて、ここからは採点していただいた方とのやり取りになる。

A:求令状ってなんぞや?

逮捕勾留の必要のところでは、求令状の可否というのもオーバースペックにはなりはするが有用な観点らしい。求令状なんて初めて聞きましたよ私⁉なんですかそれ?と思って調べたのとリプいただいたのだけれど、
被疑者勾留無しに勾留を請求するということらしい。この場合は職権発動とのこと。ひぃっ!その1である。
なお、この場合、理論上では国選弁護人が付されていた場合【被疑者勾留は満期を経過していて失効しており、『新たな事実』として勾留状が出ていることになる】から被疑者段階の勾留は釈放扱いで国選弁護人は解任とのこと(38条の2)。
さて、新たな事実、と『』で書いたが、実務では事実の同一性を認める(二度手間であるし)とともに、これは訴因変更と裏腹、とのこと。裏腹ってなんぞ(そもそも語意を知らんというおろかっぷりな私である)と思い質問してみたら、
・【被疑事実と公訴事実の同一性の問題の判断基準って、訴因変更の可否の範囲と基本的には一緒ですよね、ということです。つまり、訴因変更ができないレベルのものなら、事実関係の同一性なし(別罪として追起訴するかどうか)になりますよね】
とのこと。なるほどそういうことか。たしかに『同一手続で出来るかどうか』というのは訴因変更の趣旨でも共通していたな。

B:同一性の並行世界と世界融合

たしかに同一性がありうるなら、公訴事実の同一性についての判断には
・基本的事実の同一性
・単一性(実体法一罪)
の二方向があるなら、科刑上一罪のときにはどう考えるかとかも問題になるっぽい。
ただ、これも『同一の手続きで審理可能or Not』について考えることは変わりないのかなとは思った。そしてその考慮については
・事実の同一性
・単一性
の2つから考えるんだけど、もしか科刑上一罪といえるなら再逮捕ダメ、ということになる(原則)けれど、科刑上一罪であっても、事実が共通していない場合には流石に別々に捜査するしかないから逮捕可能ということになる。こう考えると訴因変更の可否に使っていた思考枠組みが再逮捕・勾留の可否でも活用できそう(たしかに一罪一逮捕一勾留が不当な身体拘束を防止するということからすれば、一回的手続きで出来るなら…ということになるから似通っているといえるのは違いないか)だな…
他にも、かすがい外し、なんていうのもあるらしい。

④そろそろ…

こうしてみると、今まで公訴は公訴、捜査は捜査と分けて捉えていたけれど、二つの世界は意外と交わることが多いなって思えた。まさかこんなところでつながってくるとは…
諸制度同士の比較というをすると結構体系がダイナミックに見えるのかもしれないなと気付かせてもらえた。というより弁護士の方とこんなにやり取りするなんて実は人生初のことである。
ある人は体系をダイナミックに捉えるという言葉をちょくちょく使っていたのだが、それがどういうことなのか見えた気がする。制度同士を比較して共通項と相違項を抽出しそれを趣旨と絡めてストックしていくことで体系にマッチする思考が入るのかな、なんて思った。
明日からの学習に取り入れてみたいと思う。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?