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「Netflix ルパン広告」の考察




1. なぜアイデアとして優れているか?

「ハイジュエリーの広告という体裁を取りながら、商品がない」というギャップ。

パット見た雰囲気は、ティファニーやその他ハイブランド広告で見るようなブランド広告の体裁なので、ジュエリーの広告かな?と直感的に錯覚してしまう。
そして、ジュエリー広告でジュエリーがないということが、最大の矛盾であり、その違和感が惹きになっている。

そこから周りをよく見ると、「ルパン」「ネットフリックス」の文字。
ルパンは怪盗という認知があるからこそ、宝石が盗まれたことがルパンに繋がっている。

最小限の情報で、最大のインパクトと謎解きが脳内で行われる面白さのある広告。

2. ビジュアル表現のよさは何か

日焼けのあとでジュエリーの痕跡を表現しているところ。


ビジュアルについては、もしこの表現じゃなかったら、、と逆説的に考えて掘り下げていく。


①もし、「指輪の入れ物が空っぽ」だったら?

それこそよく見る表現方法なので、ビジュアルにインパクトがない、ベタな印象になってしまう。


②手だけが見えている状態で日焼けした表現だったら?

見せ方にもよるが、ハンドクリームや爪ケアなどの手に関係するような他の商品に見える可能性があり、「宝石が盗まれている」という文脈を理解するのに時間がかかる可能性がある

③人の顔が見えた状態だったら?

最初に人の顔に印象が持っていかれ、日焼けしたおしゃれな人に見えてしまい、こちらも文脈を理解するのに時間がかかる

④腕輪の日焼けだけの表現、または、指輪だけの日焼け表現だったら?

指輪だけだと領域が小さいから目につきにくい。腕輪だけだとジュエリー以外のもの(時計やヘアゴム跡)に見えかねないので、どちらもあるかつ色々な形の日焼け跡があるとジュエリーらしさが出る


⑤男性だったら?

男性がジュエリーつけている印象より、女性のほうがつけている印象があるため、より直感的にジュエリー広告であることを認知しやすい。


3. 構図の妙は?

腕や顔の配置で、平行四辺形の形になり、中心のジュエリーに目がいく配置


写真自体は、枠からはみ出る構図なので、周りに大きく余白を取ることで窮屈にならず、洗練された印象を持たせる

4.フォントの特徴は?


洗練された雰囲気を持ちながら、伝統的な印象を持ち合わせている「Garamond」を使用し、歴史あるハイブランドの雰囲気を演出している。


ちにみに「Co」は、「仲間たち」という意味で、ティファニーのロゴに似せながら、物語の登場人物を想像させる表記の仕方をしているところもいい。

5. 個人的な感想

ルパン=怪盗という認識が世間にあるのもの、という前提だからこそなせるグラフィック。


だからこそ、世の中に共通認識があるものでないと、ここまで削ぎ落とした表現にできない。汎用性は低いものの、直感的にルパンを想像させる凄みがこのグラフィックにはあると感じました。


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