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「資生堂」グラフィックの考察


資生堂の(おそらく)ブランディング広告。
※公式では見られなくなっているため真相は不明

1. なぜアイデアとして優れているか?

有機的な人間の体を、幾何学的なシェイプで表現していること

資生堂は、スキンケアやメイクなど、人の肌に触れる商品を作る化粧品メーカーとして認知度の高いブランド。そのため、人の肌をビジュアルに落とし込んでいるのは納得できるが、写真をそのまま使うことで、表現としてベタになってしまい、かつ体の生々しさが払拭できない。
このグラフィックは有機的な人間の体を、幾何学的なグラフィックを使って表現しているところにアイデアがある。
人体の形は現実世界では決して幾何学的にはならない。顔から体のライン、指、足まで、すべてが有機的な曲線から成り立っている。
これをあえて幾何学的な曲線のみで表現することによって、表現にオリジナリティがでる。

2. ビジュアル表現のよさは何か


このビジュアルは幾何学的に曲線を使っていることに加えて、色のバランスも絶妙である。
全体に色をつけると、イラストのような野暮ったさがでてしまう。そのため、白いグラデーションを輪郭に沿って最小限に使うことで、透き通っている肌の透明感や清潔感を演出している。
さらに、肌の色と背景の色を逆転することで、直接的に肌であることを認識させず、「これはなんだろう?」という引っ掛かりを与えて興味を惹く演出となっている。
資生堂ロゴは大胆でなく、さりげなく置かれることによって、ビジュアルを邪魔しない潔さを感じさせる。


3. 構図の妙は?

体のパーツだと認識できる角度を計算し、うまく配置されている。体のパーツだと分かるよう、画角に対してうまく収まるような大きさで制作されているため、直感的に体だと認識できるようになっている。

4.批判的視点

左上の体のパーツが何かわからなかった(今も認識できていない)。
最小限の表現に落とし込むときは、瞬時に何か理解できるようなビジュアルになっているかを、見る側の目線で見てもらう必要がある。


5.個人的な感想

「有機的なものを幾何学的で表す」「肌色を肌に使わず、背景に使う」など、このビジュアルを見て、逆説的な表現によって見る側に引っかかりを与えることができるのではないかと思った。
当たり前の反対が何か、ということから逆算した表現を模索したい。

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