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お絵描き初心者にオススメの本を、実際に買って読んでみた上でご紹介

趣味にしろ仕事にしろ、これからお絵描きを始めようと思った時に「どの教本を買えばいいんだろう?」ってなった経験は無いでしょうか。
ぶっちゃけ自分が気になった本を買うのが一番なんですが、世の中には絵描きの教本が溢れかえっていて結局どれ買えばええねん…ってなると思います。「いざ買ってはみたものの、思ってたのと違って損した…」って経験はなるべく少なくしたいですよね。

なので今回は実際に自分が買ってみて「買って良かった!」と思った教本をジャンルごとに紹介します。合うかどうかは人それぞれですが、少なくとも自分は「買って良かった!」と思った本に絞ります。

ちなみに今回紹介されなかった教本がダメ!という訳じゃありません。あくまで一個人のオススメを並べるだけですので、ご自身が気になった本があれば是非そちらを買いましょう。
また後半では、実際に買ってはいないもののこれまで見かけた中で良さげな教本を載せますので、そちらも参考にしてもらえれば幸いです。

※初心者に特にオススメの本には【★】をつけてます。実際に買った本のみ対象。
※今後オススメしたい本が見つかったら適宜追記します。
※この記事を投稿して数日後に突然Amazonアフィリエイトが解約されました。リンクから購入しても筆者には一銭も入らないのでご安心ください。つれぇ


●ドローイング

【★】たてなか流クイックスケッチ

「これからお絵描きを始める人に一冊だけ薦めるならどの本にするか」と聞かれたら迷わずこの本です。それぐらい良本でした。
良い点としてまず完全初心者に寄り添った構成になっている点が挙げられます。絵を描いていない人にありがちな先入観を取っ払ってくれた上で、人体を描く上での簡単なテンプレートを紹介し、そして気楽に描くことを勧めてくれます。これがとにかくよかった。
言ってしまえば自分のお絵描きに対するスタンスを決定づけてくれた本でもあります。

ドローイングする上でのtipsや著者の作例も沢山載っています。
人体の描き方が分からない人、絵を描くのが辛い人、ポーズがぎこちないのを何とかしたい人にオススメの本です。


リズムとフォース

この本では「フォース」という概念を軸にドローイングを解説しています。
先ほど紹介した本と比べるとややリアル寄りで情報量も多いですが、ドローイングをする上でのヒントが盛りだくさんの一冊です。流れるようなポーズを描きたい人にオススメ。

また、この本の著者であるマイケル・マテジ氏のYouTubeチャンネルに、実際にドローイングしている動画があります。腕の動かし方がめちゃくちゃ参考になるので、一応リンクを載せておきます。

実際に描く様子を観察・真似することは非常に大切です。描いている時の目線や姿勢、腕や指の動かし方は自分の動作に役立てられるので、色んな方の動画を漁ってみるのも楽しいですよ。
ちなみに画面だけ映してるメイキング動画はオススメしません。実際に作者の腕が見える動画を探しましょう。


●ライティング・構図

【★】Vision ヴィジョン ーストーリーを伝える:色、光、構図

この本はどちらかと言うと映画や映像作品を作りたい人向けの教本ですが、お絵描きにも通ずるものがあったので今回取りあげました。
色や光の取り扱い、カメラワークや構図の紹介といった様々な要素を、実例をあげながら丁寧に紹介してくれます。

自分は冒頭の「関連付け」の項目を読んで、これまでの考え方が180度変わりました。
すぐ役に立つ技術書というよりは、創作する上でのヒント集みたいな本です。行き詰った時にこの本を流し読みしてみると、意外なところに解決法が見つかるかもしれないのでオススメです。

ちなみに、著者のラフスケッチを集めた本『Sketchbook ハンス・P・バッハーの「構図」と「ショット」のアイデア 』が出版されています。
こちらは技法の紹介はほとんど無く、スケッチが大半を占めるのでご注意ください。


【★】画づくりのための光の授業 CG、アニメ、映像、イラスト創作に欠かせない、光の仕組みと使い方

ライティングに関する要素を基本から応用まで網羅している本です。ライティングが分からない人はまずこれを買えば大体OK。
色んな写真や作品のショットが盛りだくさんなので、見ているだけでも楽しめる一冊です。
これもすぐ役に立つ本ではありませんが、読めば読むほど味が出る本なのでオススメです。

ちなみに自分は合間のtipsが役立ちました。特にP38のtipsでは、どれくらい練習すればいいのかの目安が立ったので非常に助かりました。


●キャラクターに関する知識

【★】イラスト解体新書

「キャラクターを描きたいんだけど何をどうすればいいのかわからん!」「実際に描いてはみたけど何か変」って人にオススメの一冊。
人体の比率、男女の体つきの性差、顔や手足の描き方など細かく網羅しています。NG例も併記してあるので、初心者の頃に役立つ内容がしっかり揃っています。
これはすぐ役に立ちやすい本だと思います。先述の「たてなか流クイックスケッチ」とこの本があれば、人体は大体描けると言っても過言ではないですいや過言か?
解体新書の名に恥じないお絵描き入門書です。


キャラクターイラストの引き出しを増やす ポーズと表情の演出テクニック

キャラクターの性格や表現したいポーズ・表情の作例がぎっしり詰まった一冊。
「オリジナルのキャラを描いたんだけど、なぜか今一パッとしない」といった人に刺さる本です。どんなキャラでも似たようなポーズや表情になる人には特にオススメ。
この本を読めば、性格や演出を要素として分解・構築しやすくなれるかもしれません。


絵になるキャラポーズの法則 コントラポストを応用した画期的なポーズの基本

少し昔の教本ですが、タイトルの通りコントラポストに焦点を当てた一冊。様々なポーズを紹介しています。
個人的に良かったのはデコルテやお尻の描き方といった、他の教本では省かれがちな細かい要素が色々紹介されていた点です。これまでとは違った視点が得られます。
小中高の小さい子がとるポーズも網羅しており、低頭身のキャラを描きたい人にも参考になる一冊です。


●解剖学

【★】スケッチで学ぶ美術解剖学

解剖学の教本で迷ったらこれを買え・その1。
冒頭の「最短で学ぶ美術解剖学」ではその名の通り、解剖学で学びたい部分がこれでもかというくらいわかりやすく簡潔にまとめられています。部位ごとに色分けもされていて非常に見やすいのも特徴。
後半のTIPSでは解剖学にまつわる小ネタをシンプルに網羅しています。中には知っておくとイラストのランクを一段階上げてくれる、ちょっとしたスパイスのような知識も。
「解剖学は勉強したいけどあまり難しいのはちょっと…」という人にオススメです。


【★】リシェの美術解剖学

解剖学の教本で迷ったらこれを買え・その2。
先述の本がわかりやすさ重点だとしたら、この本はとにかくディテール重点。
筋肉や骨格の名称、前後左右から観察した際の形状など、非常に細かい部分まで知ることができます。「スケッチで学ぶ美術解剖学」が解剖学のガイドブックだとしたら、「リシェの美術解剖学」は解剖学の大辞典と言えるでしょう。
デッサンを基にした、様々なポーズをとった際の筋肉の動きも掲載されているので「こういうポーズをとった時にあの筋肉はどうなってるんだろう」という問いにも答えてくれます。

この2冊があれば解剖学は何とかなります。
基本は「スケッチで学ぶ美術解剖学」で学び、詳細を知りたくなったら「リシェの美術解剖学」を開く。これであなたも解剖学マスター


●風景

【★】TIPS! 絵が描きたくなるヒント集

風景の教本で迷ったとき、本格的な本や小難しそうな本を買うくらいならこれを買った方がいい。そんな一冊。
タイトルの通り、風景やパースの解説はもちろん、木や海に雲といった難しそうなモチーフの描き方といった、イラストを描くのに役立つヒントがたくさん紹介されています。
中には適当なやり方(いい意味で)の紹介も。それでいて、特にパースは徹底的に解説されています。

自分はこの本を読んでいるうちに、風景に対する難しそうなイメージがいつの間にか無くなってました。雲や草むらの描き方がわからなかったけど、この本のお陰で何とか描けそうです。初心者にこそオススメの一冊。


吉田誠治作品集&パース徹底テクニック

先ほどのTIPS!より前に出版された本です。
解説に関しては正直TIPS!と被る部分が多いですが、こちらは吉田誠治先生の作品集がメイン。
様々なシチュエーションの風景イラストが掲載されているほか、何点かメイキングも収録されているので学びの多い一冊です。
自分はこの本を読んで「どんなに凄いイラストでも最初はざっくりとしたラフから始まる」ことが大きな気付きでした。このお陰でイラストを描くハードルは大分下がりましたね~。


あなたの絵に物語性を与える方法

ライティングや構図といった解説も多く含まれていますが、風景に関する教本として紹介します。青と緑の使い方が印象的な加藤オズワルド先生の一冊。
「主役を目立たせたい」「躍動感を出したい」といった「目的」を達成する体裁で解説しています。NG例のイラストも隣にあるので、どこが駄目でどこが良いのかを簡単に比較できるのもありがたい点でした。
後半では実際に加藤先生が描いたイラストを基に、あらゆる意図を解説しています。構図からモチーフのライン一本まで、イラストを描く上で無駄な要素はほとんど無いことがうかがえます。

巻末には表紙イラストのメイキングがアイディアを練る部分から載っているので、イラストを描く手順が分からない人にもオススメの本です。


●参考資料

女子中・高生の制服攻略本

女子生徒の制服はこの本で全て解決
女子中高生に並々ならぬ情熱を注いでいるクマノイ先生の一冊。語弊あり?
最初この本を読んだとき、あまりの情報量にガチで変な声が出ました。ここまで制服に対する熱量を持つ人がいたとは。。。
基本的なセーラー服はもちろん、ブレザーにボレロ、ブラウスにワンピース、スカートにタイツに体操着にシューズにカーディガン等々…ほとんど載ってます。しかもそれら一つ一つのバリエーションも豊富で見てて飽きない。

「制服攻略本」と題されていますが、制服広辞苑と言ってもいいくらいです。
女子中高生は結構描く機会が多いと思うので、この本を持っておけばもう何も怖くない。


FINAL FANTASY XIV: A Realm Reborn The Art of Eorzea - Another Dawn -

ファンタジー衣装に関する資料の一例として紹介します。有名なMMORPG「FINAL FANTASY XIV」の設定資料集。
FF14は新生してから10年経過しており、その分実装された衣装の量も半端ないです。あらゆるファンタジー衣装が作られたといってもいいでしょう。
拡張パックごとに資料集が出ているので、ファンタジー衣装を描きたい人は買って損は無いと思います。

また、特定のジャンルの衣装を描こうとした時にゲームの設定資料集はめちゃくちゃ役立ちます。ダークファンタジーなら「DARK SOULS」、戦国時代の意匠なら「SEKIRO」、ロボットなら「ARMORED CORE VI」といった具合です。フロムばっかり
資料集は気付いたら絶版してた!なんてことがザラなので、欲しいと思ったら早めの購入をオススメします。


●お絵描きに関する考え方

【★】ディック・ブルーナ 永遠のデザインとことば

あの有名なミッフィーの作者であるディック・ブルーナ氏が遺した、デザインに関する色んなお話集です。
デザインに関する解説書ではなく、作品に登場するキャラクターや配色の説明、自身にまつわる色んなお話が掲載されています。

何故この本をオススメするかというと、絵を描いていく上での心のオアシスみたいな本だからです。
現代は数字や見た目、他人の評価に追われることが多い日々ですが、ブルーナ氏の言葉を聞くとこんなに優しい気持ちで絵を描いてもいいのかと、あらゆるページで思い知らされます。

お絵描きが辛くなったときにこの本を読むと、創作と改めて向き合う良いきっかけを貰える優しい一冊です。あと純粋にみんなかわいくて癒されるのでオススメ。


考え方で絵は変わる イラストスキル向上のためのダテ式思考法

絵を描く際によく浮かぶ疑問について丁寧に回答している一冊。その数50!
イラストや図説もあるので比較的読みやすいと思います。絵に関する悩みや迷いが生まれた時は、この本を読み直すのもアリだと思います。

余談ですが、「あの有名なイラストレーターがああ言ってるならそれは間違いなく正しい」と思考停止になるのは危険です。たとえ相手が著名な作家だとしても、自分の芯の部分にある考えはブレずに持っておくことは、創作活動をしていく上で非常に大切です。
どんなに素晴らしい作家でも、我々と同じ人間です。決して神では無いですし、絶対なんてありません
声に出す必要はありませんが、内心ちょっと反骨精神を持っておくぐらいが丁度いい距離感だと自分は思ってます。あくまで自分はですが。


○買ってないけど良さげな本

ここからは実際に買ってはいないものの、良さそうな本について紹介します。

絵を学ぶときに一番最初に読む本! 効果を2倍に上げるイラスト学習法 神技作画シリーズ

今年の6月に出版された本です。令和最新版。
実際にKUA(京都芸術大学イラストレーションコース)で講師を務めている方々が解説しているので、その内容は折り紙付き。タイトルの通り、これから絵を描き始める人にはうってつけの入門書かも?
KUAで学習する内容と結構似ているので、体験入学みたいな感じで読むのもありかもしれません。
ただし、広く浅く解説している本なのでこの本一冊だけで上達できるわけではなさそう。あくまで入門書、またはガイドブックとして読むといいでしょう。

技法書を紹介する記事で「技法書を紹介する本」を紹介する…という変な話ですが(
寺田てら先生の表紙がかわいいので、所有欲も満たせる一冊だと思います。


うまく描くの禁止-ツラくないイラスト上達法-

イラストレーターを目指す人で知らない人はいないであろう、さいとうなおき先生の著書。絵描きの悩みについて解説している本です。
YouTubeチャンネルを見ればわかる通り、結構即効性のある情報を提供してくれます。
『イラスト最速上達法』や『7日間で上達!さいとうなおき式お絵描きドリル』などの本も出版していますが、これらは人を選ぶのに対して『うまく描くの禁止』は比較的万人向けの本と言えるので、最初に買う教本の1つとしてオススメできそうです。


ものがたりの家-吉田誠治 美術設定集

吉田誠治先生による、建築に関する資料集。
本書で紹介されている建築の一部には、実際にKUAの講義で使われたものもあります。実際に受講した身としてタメになる話が多かったので、その点でも紹介させていただきました。
空想の建築が30点以上収録されているので、創作のヒントとしてオススメの一冊です。


アーティストのための人体解剖学ビジュアルリファレンス

解剖学に関する一冊。
この本はスケッチや図説だけでなく、モデルの写真やポリゴンを用いて丁寧に解説しているため、より解剖学の理解が深まる一冊です。
実際にこの本を買った親友の評価が高いのもあり、今回オススメさせていただきました。切り取り線があるらしく、ページ単位で取り回しがいいのも良い点。
※ヌード表現が含まれているので、人によっては注意です。


ポーズの美術解剖学

美術解剖学専門の加藤公太先生によるポーズ集。1,425体も収録しています。ヤバい!
シンプルに色分けされており、ドローイングやスケッチをする上でも最適です。

POSEMANIACSの30秒ドローイングで事足りるんじゃ?と思うかもしれませんが、これは紙媒体・電子書籍としていつでも参照できることに意義があります。
サイトにアクセスできない状況でもドローイングが行えるというのは、選択肢を確保しておくという点で非常に重要です。
決して安くはありませんが、買っておくと安心できる一冊です。


カフェスケッチ / CAFE SKETCH:感じることはタカラモノ

日本のビジュアルストーリーテリングにおける立役者の栗田唯先生による著書。カフェスケッチについて紹介しています。
これまでビジュアルストーリーテリングに関する教本はあまり無かったんですが、2023年にようやく出版されました。

絵でストーリーを伝えることを軸にしつつ、フレーミングやアイディアを捉える練習法が紹介されています。
「絵は難しいもの」という先入観を取っ払ってくれる一冊の一つです。「たてなか流クイックスケッチ」と併せて読むと効果的かも。


●さいごに

以上、ざっくりとご紹介でした。興味が湧いた本が一冊でも見つかっていれば幸いです。
言うまでもありませんが「買って満足したからあとは積本行き」は一番駄目なパターンです。まあ自分もよくやるんですが
内容1つだけでもいいので、きちんと自分のお絵描きに反映させることが大事です。

ちなみに、最近発行した新しい本だから良い内容がある・古いから内容が陳腐化してる……というわけではありません。昔の本でも役に立つ内容は山ほどあります。
教本を買う行為は、いわば未知なる世界の旅行です。9割の内容が今の自身の役に立たなくとも、1割が役に立っていればそれだけで「勝ち」です
どれも安くは無いですし、お金を無駄にしたくない気持ちはわかります。それでも、興味のある本は恐れず手に取ってみると新たな世界が拓けるかもしれません。


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