街での独白
今日も相変わらずの今日であって、特別なんてものは無かった。能無しでブサイクで中年オヤジのアル中が、何か良い事起きないか、なんて思っていたらおかしい。解っているからオレはこの街にいる。
この街には自覚のない狂人が大勢いる。自覚無しの狂人であるオレはそいつらを見下すのは簡単だが、見下す価値すらないのも大勢いる。
自分が誰かを忘れずにいれば、金も命も要らなくて楽しく死ねたりするものだろう、なんて想いあり。
死人が足りない島国で自分の死体を恐れてどうする。この街で、この瞬間死体となって転がっていることに何の不都合も感じない。死ぬ事に何か問題があるでなし。家族も恋人も友人もいないオレはオレ1人だけのものだ。
今、目の前の奴が刺し殺されたって声を上げたりしない。次の瞬間、オレが刺されたってそんなのそれだけの事だって。滅びる世界でそんな事どうしたよ、だ。
青空から槍が降ってきても不都合しないオレのままで、さあ、酒だ。