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より「実践的」に、より「アカデミック」に (2022/8/25) 

記事の長さはおよそ2,000文字。3〜4分程度で読めます。

【教育 Future of education】
コロナ禍と大学生の変化
学びに「受け身」増える
総学習時間は減/対面授業の転換必要

2022/8/23(火)日本経済新聞朝刊


記事のポイント

  • コロナ禍で、大学生の学習・生活に起きた変化に関する民間調査の結果がまとまった。

  • 調査結果から浮かんだ課題

  • 授業時間外学習はほとんど増えていない

  • 遠隔授業の導入で課題を出す授業の割合が増えたが、(1週間平均で)16年の2時間42分が21年には3時間29分と47分の増加。1日わずか7分弱。

  • 「授業等への出席時間」は11時間42分から8時間34分に大幅に減少。総学習時間は減ったともいえる

  • 「あまり興味がなくても単位を楽に取れる授業が良い」と考える学生は08年の49%が63%に増加。

  • 「大学での学習の方法は、大学の授業で指導を受けるのが良い」と思う学生は同じく39%から57%に増えた。

  • アクティブラーニング型授業の増加と逆行する形で学生は受け身になっている

  • 理由としては明確な目的や問い、教員からのフィードバックなどが十分に実践されていないという教員側の要因が考えられる。

  • 学びの充実度や成長実感、教育や学生生活への満足度は対面と遠隔の割合が7対3の場合に最も高く、遠隔授業の割合が高まるほど満足度などは低くなった。

  • 学習習慣が未確立で、必ずしも明確な目的意識なく入学し、授業以外にも様々な経験を欲している多くの学生にとって、1人で画面と向き合い学び続けることは相当困難

  • 遠隔授業の満足度は「好きな場所で受講できる」など利便性に対する評価が高い。

  • 一方、学びの質の向上に関する評価は必ずしも高くない

  • 今後、大学教育が検討すべき方向性は2つ。

  • 1つは効果的な遠隔授業のデザインと実践

  • いま1つは対面授業のアップデート。(対面ならではの学びを経験できる授業への転換)

  • 大学経営が厳しさを増す中、新しい大学教育へ変容できるのか。この数年が大きな分岐点

  • 大学とはどのような場所であり、どうあるべきなのか。社会全体で共有・解決すべき課題である。

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こんなふうに考えた


ベネッセが実施した「第4回大学生の学習・生活実態調査」の
調査メンバーでもある関西大学 山田剛史教授の投稿です。

アクティブラーニング型授業が推進されているにもかかわらず、
大学生の学びが受け身になっているようですね。

由々しき問題ともいえますが、ある意味では当然の結果ともいえます。


医学部や工学部のように、
特定分野の専門知識を学ぶ学部の場合は少し状況が違うかもしれませんが、
多くの文系学部の場合、
大学の授業で学んでいることが社会に出てどのように役に立つのか、
実感できていない学生がほとんどではないでしょうか。

私は大学のときに受けた「会計」や「経営」など
より実学に近い科目でさえ、
それを学ぶことが自分にとってメリットがあるのか理解できませんでした。

大学で学んだことが役に立つんだと本当に理解できたのは、
社会人になってからでしたね。

社会人になって、「学び」の重要性を身にしみて実感できたので、
主体的に学ぼうと思えたし、学びがより楽しくなりました。
そして、学んだことがいままで以上に身につくようになりました。

学びの楽しさに高校生のときに気づいていれば、
東大にだって入れていたかもしれません(笑)


「参加者主体の学び」を提唱している ロバートパイク氏の著書
『クリエイティブ・トレーニング・テクニックハンドブック』で
研修内容をよく学んでもらうための3つの方法が紹介されています。


  • T-E-A (Theory  Experience Awareness) :理論・体験・気づき

  • E-T-A (Experience Theory Awareness):体験・理論・気づき

  • E-A-T (Experience Awareness Theory):体験・気づき・理論


出版社へのリンク:


これまでの日本の大学教育は「TEA型」でした。

諸外国の最先端知識を学んで、
「追いつけ追い越せ」の時代にはそれがよかったのでしょう。

しかし「正解のない」これからの時代には、
実践して必要性を痛感してから学ぶ「EAT型」の方が
より重要になって来るのではないでしょうか。

「大学とはどのような場所であり、どうあるべきなのか」
の問いに対しては、

「大学→社会」の一方向だけではなく、

必要性や自身の興味・関心に基づいて
「社会→大学→社会→大学・・・」と
行ったり来たりして学ぶ機会を提供する場になることが
大切なのではないかと思います。


もちろん大学には実践的な知識を提供するのみならず、
純粋にアカデミックな場を提供する役割もあります。

「より実践的に」「よりアカデミックに」
これからの大学のあり方ではないかと思いますね。



本投稿は日経新聞に記載された記事を読んで、
私が感じたこと、考えたことについて記載しています。

みなさんの考えるヒントになれば嬉しいです。
「マガジン」にも保存しています。


「学びをよろこびに、人生にリーダシップを」
ディアログ 小川




美味しいものを食べて、次回の投稿に向けて英気を養います(笑)。