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雑草の名前① 〜万国共通言語〜 

少々間が空いてしまいました。

今日は雑草の名前について軽く話していこうと思います。

道端に生えているどんなにちっぽけな草花にも、当然名前はついています。

例えば前回紹介したこの雑草。


この雑草は、(ナガミ”ノ“ヒナゲシという言い方もあるようですが)正式名称はナガミヒナゲシといいます。
ヒナゲシに比べて実が細長いことからこの名前がついたと思われます。

しかし、海外の人間に「nagami hinageshi 」と言ったとしても、(相手が偉大な植物学者であったとて)どの植物を指しているかは伝わらないでしょう。
それもそのはず、ナガミヒナゲシというのはあくまで和名。つまり、日本語の正式名称です。

英語ではどんな風に言われているか調べてみると、
long-head poppyというみたいです。意味はやはり、実の細長いポピー(ケシ)といった感じです。

今回はたまたま和名と英名の語源が似た感じでしたが、語源が違う場合もあるので、和名から英名を類推するのはほぼ不可能です。

ということは、生物学者は和名と英名の両方を暗記しているのか??というと、そうではありません。

生物には、学名という、万国共通言語があるのです!

例えば先程のナガミヒナゲシ(long-head poppy)の学名は、Papaver dubium L. と表記されます。
やや小難しい話になりますが、学名は「属名+種小名+命名者」というふうにルールが決まっています。
属名は、生物の分類階層の一つである「属」の名前のことです。種小名はその種の特徴を表す形容詞がつきます。命名者はそのまま、その学名をつけた人間の名前が来ます(省略形で書かれることが多いです)。

ちなみに学名には英語ではなく、ラテン語が用いられます。つまり、ナガミヒナゲシの種小名にdubiumとありますが、dubium という英単語はありません。
なぜラテン語なのでしょうか?
例えば日本語を学名に用いたとしましょう。我々日本人にとっては嬉しいように思いますよね。しかし、よく考えてみてください。我々は、1000年前の日本で使われていた単語、文章を簡単に理解できますか?多くの人はできないと思います。「かたはらいたし」とか「ずちなし」とか言われても、分からないですよね。
逆に、100年前の人間は、「エモい」なんて形容詞の意味なんて分からないですよね。
こんな具合に、言語は使われるうちに変わっていき、死語とか新語とかがどんどん生まれていくわけです。もし現代も使用され続けている言語を学名に使ってしまうと、ここら辺がややこしくなっていくはずです。
しかしラテン語は、現在ほとんど使われなくなった言語であるため、このような時代による言葉の変化が生じないという点で、学名にするのに都合が良かったわけです。

話が長くなってしまいました。
今日は学名の説明に留めておきます。
次回、学名の凄さと、和名の面白さと複雑さを熱弁したいと考えています。

最後に、長らく投稿してなかったため溜まっていた雑草の写真の一部を投下します。



恐らくこのくらいの時期から日本全国の路傍に生えまくるであろうマメグンバイナズナ(Lepidium virginicum L.)です。
果実がハートのナズナと違い、果実が○です。個人的に可愛くて大好きな雑草です。

マメグンバイナズナ@京都
2024年4月


こちらも最近目立ち始めてきた美しいピンクの雑草、ユウゲショウ(Oenothera rosea L'Hér. ex Aiton)です。夕方に花を咲かせることから夕化粧と書きますが、実際は昼前にも咲いている印象です。

ユウゲショウ@京都
2024年5月


コヒルガオ(Calystegia hederacea Wall.)がひっそりと咲いていました。ちょっと早めの開花な気がします。6月以降が本番かな?

コヒルガオ@京都
2024年5月

最後に、腹立つやつが大学の圃場にいました。
メリケントキンソウ(Soliva sessilis Ruiz et Pav.)という外来雑草です。
地際に生えて背も低く大きくもないので一見無害そうに見えますが、果実が棘まみれになります。この写真はまだ果実完成前です。
こいつが公園の芝生なんかに侵入したら、裸足で遊んでいた子供が痛い思いをすることになり、有害雑草と言えます。
近年かなり増えているようで、目立たないためいつの間にか大群がいた!ということも珍しくありません。
見つけたら果実をつける前に防除しましょう!

メリケントキンソウ@京都
2024年5月


では、今日はこの辺で。
読んでいただきありがとうございます!

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