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就活🖕

私は面接をする時、スーツという皮を被る。
面接時、常に笑って、常に相槌をうっている。
質問されたことに対して、思ってもいないことを笑顔で答えている。
いつからだろうか、質問されたことに対して、思ってもいないことがすらすら出てくるようになったのは。
自分でも分からなくなっている。

面接が終わると、この上ないほどの疲労感がどっと押し寄せる。
スーツという皮を脱ぐ。しかし、疲労はとれない。
どんどん皮が自分の中に入ってきて、癒着している気分だ。
企業にメールを送る。
「今回○○様のお話を聞き、貴社への理解を深めることができ、ますます貴社への入社意欲が高まりました」
このフレーズ、就職活動を始めた当初はGoogleで調べ、コピー&ペーストしたものを打ち変えていたが、今はらすらすらうてるようになっている。

昨日、二次面接があった。
私はいつも通り皮を被って面接をした。
初めて圧迫面接を受けた。
面接が終わり、いつも通り企業にすらすらとうった文章を送った。
家に着き、静かで暗いリビングで一人カップラーメンを食べながら、竹内まりあの「元気を出して」を聴いた。
歌詞の中に「人生はあなたが思うほどわるくない」というフレーズがある。
そのフレーズを聴き涙が止まらなくなった。
何か堰き止めていた壁が一気に崩れたような感覚だった。
「嘘をつき続けて入った会社で、やっていけるのか」
「しんどい、つらい、にげたい」
ずっと思わないように、考えないようにしてきた言葉が一気に口からこぼれ出た。
本当は正直に伝えたい。
「志望理由は特にない。生きるために企業を受けている」と伝えたい。
でも、こんなことを言える時はこないだろう。
私はきっと就職活動が終わるまで嘘をつき続ける。
笑顔で思ってもいないことをすらすら口から出すのだろう。
この嘘が、いい嘘か悪い嘘かと聞かれたら、それはもちろん悪い嘘だと思う。
これを仕方ないことだと思うのも何か違う気がする。が、私には嘘をつくしか方法がないのでこのまま変わらず就職活動をすることにする。

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