「フォポケット」(コイネージ【新造語の試み】21)
なにか物を取りに行こうとして、部屋を移動した途端
「あれ!?なにを取りにきたんだっけ!?」
と、肝心要の記憶がすっぽ抜けてしまうことがよくある。
他にも、
「あの人の名前なんだっけな…?」
「あー、今なにやろうとしたっけ?」
など、一番大事なことが、「ボンッ」と消え去る"あの現象"。
もはや生理現象同然の「日常茶飯事」。万人が必ず一度以上経験しているであろう、宿命に等しき「超あるある」。
「そういや、"あれ"の一般名称ってないよな」と思い、一つ命名を試みた。
「仕事・日常生活の中で、記憶が瞬間的にすっぽ抜けてしまう脳の現象」。
これを表す
「フォポケット」
という言葉を新たに造り、そう呼んでみる。
「フォポケット」とは、
forget(フォゲット 忘却)とpocket(ポケット 穴隙)を合わせた造語。
ビリヤードの球が、テーブルのポケットへ転がり落ちるように、
航行中の飛行機がエアポケットに入るように、
何気なく歩いていたら、突然記憶が「スポッと」忘却の穴に落下する様をイメージした。
筆者のケースだと、
シャワー中、何か考えながら洗っていると(僕は①洗髪1回目→②洗顔→③洗髪2回目→④洗体の順で洗う)
「あれ?俺洗顔したっけ…?」
となることがたまにある。
他にも仕事中、
「あれ、俺この作業やったっけ…?あぁ、やっとるわ」。
スケジュール確認しようとスマホ開いた途端
「(以下同文)そうだLINEだ…」。
小学5年生のとき、スイミングスクールへ行く途中
「あれ?家の鍵かけたっけ…?」
と不安になり、確認しに戻ったのを記憶している(もちろん、しっかり遅刻した)。
ちなみに、この現象を表す専門用語の一つくらいあるだろうと調べてみたら、「脳疲労」という(割と普通の)名前があった。
この「フォポケット」もとい「脳疲労」は、脳からのアウトプットに対し、情報のインプットが過多になっているのが原因という。
つまり、「ボケて脳が衰えてきたから」という一般的なイメージと異なり、むしろ使い過ぎているからフリーズを起こしてしまっているのだ。
ならば、小5の自分とか、20代女性とか、絶対にボケているわけがない人がちょくちょく陥るのにも合点がいく(…といいつつ小学生で情報過多?当時スマホやらネットやらなかったのに?そこはあまり釈然としないかも)。
もちろん、仕事で大きな損害を出し、信用を損なう事態。その引き金になりかねないフォポケットは断固忌避の対象。頻繁に起こすなら、それなりに対処を考えた方がいいだろう。
しかし、日常生活で「物取りに行って、なにをとるのか忘れた」くらいならば、すべての老若男女の自然現象。いや、むしろ様式美。
「やべ、なに取ろうとしたのか忘れてしまった…」
「あははーあるある〜」
「それ脳使いすぎてるんだよ〜、ボケてんじゃなくて」
といった具合に、雑談のネタにでもして笑い飛ばしてしまうのが"吉"。
その方がストレスにならず、むしろ話すというアウトプットをすることで脳疲労の予防・解消になるのではないか、と考える。
なお、「フォポケット」の言葉は僕が勝手に考えたもので、扱い的には「一般用語」の位置付けと捉えている(「風邪」が正式な医学用語ではなく、一般用語であるように)。
また、「脳疲労」は、物忘れ自体を指すのではなく、「情報過多により脳が疲れた状態」を指す。瞬間的な物忘れはその"弊害の一つ"であり、他にも感情がコントロールできない、集中が続かないなどといった事態も起こしうる。
「瞬間的な物忘れ」自体をさす名前は存在しておらず、「フォポケット」という命名を試みてもいいのではないかと思われる。
(参考記事)
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