哀歓
朝になれば色彩は変わり
新鮮なみずみずしい花のように
この世界はつづく・・・・・・
何も振り切れないまま最高の復讐をしているような
歓びのステップを踏むものをぼんやりと見つめていた
でたらめで切ないほど哀しい
それでいて高尚なまでの美しさを湛えた
あからさまな諦めの裏返し
濃淡が混ざり合うモノトーンに投影される色彩のビジョン
見えるものと見えざるもの間に軋む音
それを聴くものがどれほどいるのだろう
黒い霧に包まれ罪のない天使が流す薄紅の涙
それに気付いているものがどれだけいるのだろう
伏魔殿の庭で散らばったルビーをついばむ小鳥たちは疑うこともしない
誰かに期待をすることも
理解されることも望まないであろう
ひとりきりのステップ
誰にも奪うことのできない
心象世界に広がる
歓びのインスピレーション
内側に同じようなもの流れている気がして
強力に惹きつけられたと同時に
悠然として軽やかに踊るあなたが羨ましく
いつの間にか瞳から涙が零れていた
窓の外を流れる天の川
ブラックムーンは静かな夜の海を照らし続け
糸に吊るされた星が哀し気に夜風に揺れる
この夜を超えれば
また新しい歓びの花が咲く