美月

東京から標高1,000mの山の上に移住しもうすぐ8年。天空のホテルのロビーで占いをして…

美月

東京から標高1,000mの山の上に移住しもうすぐ8年。天空のホテルのロビーで占いをしていました。雄大な景色の中で言葉を綴り、写真を撮り、点描画を描いています。もうひとつの日本語、手話を学んでいます。美しい手話は私の世界を広げてくれました。静かで穏やかな、言葉探究の旅は続きます。

マガジン

  • 心象風景~記憶の記録~

    心に描かれている風景を綴ります。

  • 心の音

    嬉しくて、楽しくて、悲しくて、切なくて・・・・・・。心は色々な音を響かせています。心を100%正確に言葉に置き換えることは出来ません。でも私の心の中にあるものを言葉や絵でこの世界に響かせたい。ささやかな響きですが、あなたの心と共鳴するかもしれません。是非、心の目で見つめ、心の耳で聴いてみてください。ゆっくりのんびりと呼吸をするように。

  • ショートエッセイ

    この世界の何処かにいる誰かに届きますように・・・・・・。

  • 好きな言葉・好きな作品

    心に響きを与えてくれた作品について綴っています。

  • 詩集

    心の赴くままに詠います。

最近の記事

  • 固定された記事

生きることは語ること 語ることは繋ぐこと

「世界では7,139種の言語が使用され、約40%の言語が絶滅の危機に瀕している。」  意志疎通、文化、社会生活などにおいて、言語はなくてはならないものだ。人間が成長する上でも言葉は脳細胞の発達と密接な関りがある。人類と言語は運命共同体。でも、使う人間がいなくなれば、その言葉は絶滅してしまう。  今、手話を勉強している。手話の歴史を知ることは、言語絶滅の危機をリアルに感じることでもあった。  2006年「手話は言語である」と定義した「障害者権利条約」が国連総会で採択され、手

    • 千年の時

      私は私が何者であるのかを まだ思い出せない たまゆらの命を輝かせる光なのか それとも 消えゆく影なのか・・・・・・ 遠い魂の記憶が蜃気楼のようにゆらめく ひとり知を愛する心 美しい人を恋する想い その情熱の中で 生き求める 魂の翼は哲人の精神のみに芽生える 一千年を三度  同じ生を選び 三度目に訪れる一千年の終わりの時  翼を纏い  かの世界に飛び立つ 翼をくれたプラトン・・・・・・ あの時確かに見た  清らかな光に想いを馳せ ただひたむき

      • 翠雨

        鬱蒼と茂る木々 蝉時雨が空間を埋め尽くすように  隙間なく響きわたっていた ベンチに座って瞳を閉じていると 忙しそうな羽音が耳元をくすぐる そっと瞼を開けると  真っ白な日傘の中に レースのような羽衣を纏った青いトンボがとまっていた このままじっとしていよう・・・ 暫くすると  すぅっと日傘を離れ 視線を導くように目の前の柵にとまると 玉虫色に輝き始めた じっと見つめる柵越しの水面に  水の輪がひとつふたつ広がり 水の精が踊り始める 夕立・・・

        • 秘密の公式

          以前「一つの感覚の刺激によって別の知覚が引き起こされる」現象、共感覚について書きました。 子どもの頃は数字に色がついて見える「色字共感覚」があったため計算がとても苦手でした。 数字と色が混ざり合って脳が混乱してしまうのです。 とけることのない数字と色の魔法 でも、それが私にとっての当たり前の世界。 私の場合、1は白、2は赤、3は緑、4は黄色、5は青、6は茶色がかったオレンジ、7は桃色、8は水色、9は茶色、0は黒。 年を重ねるにつれ色は薄くなりましたが、この配色はず

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        生きることは語ること 語ることは繋ぐこと

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        記事

          太陽1周の旅

          地球は太陽の周りを1年かけて1周する 年齢は地球が太陽の周りを何周回ったかを数えているのです 地球の速さは時速約10万7000km 物凄いスピードで宇宙を進んでいる 地球自身も1日1回転しているので 赤道上では時速約1700kmにもなる 地球は人間も空気も乗せたまま運んでいるから 同じ速度の中にいる私たちは 時速約10万7000kmの風を感じることはない そして ちょうど良い距離に月と太陽がいて 絶妙なバランスを保っている ほんとうに奇跡の星 もうすぐ

          太陽1周の旅

          ニュームーン

          ほんの少しの優しさが欲しくて 小さなお月様をふたつ買いました ニュームーン 高冷地で咲く花 元気そうな苗をひとつ選んでもらい もうひとつは自分で選ぶことに 密やかな姿に惹かれて  一番小ぶりで控えめな子を選びました そのせいか 何も言わずに100円引いてくれました その子が真っ先に花を咲かせました 思った通り  誰よりも優しいお月様でした 今宵は新月 夜空にお月様はいないけれど 満天の星空にニュームーンをかざし 私だけの満月の夜空を作ってみる

          ニュームーン

          瞑想浴

          バスタブの底に ゆっくりと身体を沈め 水のヴェールに包まれて  水の音を聴いていると 胎児の頃に戻ったように安心して いつの間にか無心になる 肉体の衣を脱ぎ  裸の心を水に浮かべて 無重力にしてあげると 思考から離れた心は  自由に水面を漂う ふわり ふわり 羽根のように軽い心 水の底に横たえた身体を起こすと 肉体に戻った心は 急にずしりと重くなる 心の重さは 体重の何%あるのだろう・・・ 計り知れないひらめきとともに 瞑想から目覚める

          幽玄の夜

          つま先まで紺碧の幕が降りると 微かに一番星が輝き始めた 薄雲の向こうで  月が頬杖をついて ぼんやりとこちらを見ている 「いつも明るくなんて出来ないよね こんな日があってもいいよね」 届くはずもないのに 何となく 手を伸ばし 月の頭をそっと撫でる 憂いを帯びた静かな夜の丘 透き通る風が 月光のベールを引き寄せると 目の前を小鹿が駆け抜けていった 夜空を飛ぶように 煌めく幻想のカケラを散りばめながら 幽玄の世界に居るような錯覚の中で 瞬間の残

          幽玄の夜

          真夜中のメール

          真夜中に届いた一通のメール Tomと言う人から 「Dear Emma, good night..」  誤送信のようです 一日の最後に  最愛の人に想いを馳せ  贈る言葉 たった一言に愛を感じて心が温かくなりました 「Dear Tom, good night..」  心の中で  この星の何処かに住むTomに伝えました そして  ふたりの幸せを祈りました

          真夜中のメール

          宇宙人

          山で暮らすようになってから 星空の勉強をし 星空ナビゲーターの資格を取りました 標高が高く空気が澄んでいるので 東京の200倍の星を見ることが出来ます 満月の時は月明かりで本が読めるくらい ある満月の星空観察会の時 お母さんが 「月明かりが邪魔をして星が見えないなんて贅沢ね」と言うと 少年が 「月じゃないよ!! 邪魔なのは太陽だよ!!」と叫びました お母さん 「太陽は沈んでいるから関係ないよ  太陽見えなかったじゃない」 少年 「月は太陽の光を反射してる

          忘れられない手紙

          ホテルのフロントにあるものが届いていました リーディングを受けてくださったお客様が 翌日チェックアウトの際に フロントに残してくださったメッセージ 森の妖精から手紙をもらったようで 心がときめきました こんなことがさりげなくできる人って 素敵だなぁ・・・・・・ 決して大袈裟ではなく ささやかだけれど 確かな幸せを 心にもたらしてくれました そんな時に想うのでした 救われているのは私の方だと

          忘れられない手紙

          蒼の世界

          カモメのジョナサンは仲間たちのように毎日餌を採るだけの暮らしには満足できず、飛行技術を向上させるために日々ひたすら努力を重ねていました。 普通のカモメらしく生きることの出来ないジョナサンは、とうとう群れを追放されてしまいます。 それでもジョナサンの空を飛ぶことへの情熱は消えることはありませんでした。 普通のカモメを遥かに越えた飛行能力を身につけたジョナサンは、ある日自分の能力を超える飛行技術を持った2羽の輝くカモメと出逢います。 彼らの導きによってジョナサンはより高次

          蒼の世界

          幸せの瞬間

          明るく静かに澄んで懐しい文体、 少しは甘えてゐるやうでありながら、 きびしく深いものを湛へてゐる文体、 夢のやうに美しいが現実のやうにたしかな文体…… 私はこんな文体に憧れてゐる。 だが結局、文体はそれをつくりだす心の反映でしかないのだらう。  私には四、五人の読者があればいゝと考えてゐる。 だが、はたして私自身は私の読者なのだらうか、 さう思ひながら、以前書いた作品を読み返してみた。 心をこめて書いたものはやはり自分を感動させることができるやうだつた。私は自分で自分に感動で

          幸せの瞬間

          色音~言葉の色 音の色~

          水色の音楽が好き わすれな草やすみれ色の言葉が好き 朝焼けや夕焼け 澄んだグラデーションのような文章が好き  子どものころ、数字や文字に色がありました。 例えば、1は白、2は赤、3は緑、4は黄色、5は青・・・・・・でした。 「一つの感覚の刺激によって別の知覚が引き起こされる」現象。 共感覚と言うそうです。  文字を書けるようになると、左利きのせいか鏡文字を書いていました。 何故か、あ・ぬ・ね・めなど、難しい平仮名ほど確実に鏡文字で書いていました。  私が反対なのか?この

          色音~言葉の色 音の色~

          蓮華の如く

          蓮は極楽浄土に咲く花 良い行いをした者は 死後に極楽浄土で蓮の花の上に生まれ変わる という思想があります インドでは極楽浄土は蓮の花の形をしている と言い伝えられています 花言葉は  「清らかな心」「神聖」「雄弁」 「離れゆく愛」  悲しげな花言葉もありますが 由来は 蓮の花は夏の短い時期しか咲かず 早朝に咲いた花は昼には閉じて 3日ほどで散ってしまいます 花びらが1枚また1枚と散って行く様子から  そんな花言葉になったそうです 執着を感じさ

          蓮華の如く

          愛月~1,000mの愛~

          生まれてくる時間と場所を間違えた。きっとそうだ、そう思うことにしよう。  東京生まれの東京育ちでありながら、心も身体も永遠に馴染めそうにない感覚。それはまるで時間軸の歪んだ不思議の国を彷徨っているようでした。 東京は朝早くから夜遅くまで活動し一日が長いのに、時間がとても早く過ぎていくように感じられました。いつも何かに追われ、いつも何かを追いかけ、走り続けているうちにどんどん月日が流れて行きました。  もしかしたら大切なものを見逃してしまっていたかもしれない。 時々漠然とした後

          愛月~1,000mの愛~