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『にじさんじGTA』が面白い

 6月15日から始まった『にじさんじGTA』。にじさんじに所属するライバー達で専用サーバーでのオンラインマルチプレイを行うこの企画は、数多くの参加者を呼び込んでの大盛況となっている。

 オープンワールドの3Dアクションゲームとして名高い『Grand Theft Auto(グランド・セフト・オート)』シリーズの現行最新作である『GTA5』をベースに、オンライン用としてリリースされているのが、今回の舞台となった『Grand Theft Auto Online(グランド・セフト・オート:オンライン)』だ。
 このゲームでは、複数の街や集落からなる島を自由に動き回り、プレイヤー自身の思うがままに振舞うことができる。旅行客のように観光を楽しむこともできるし、ギャングとなって大小さまざまな犯罪に手を染めることだって可能だ。
 また、今回の企画においては職業関係のMODが導入され、プレイヤーそれぞれが仕事を持って収入を得ることができるようになっている。自由気ままに行動するというよりは、半ばロールプレイのような形でサーバー内の活動が進んでいくのは特色のひとつと言えるだろう。

『にじGTA』における職業

 今回行われている『にじGTA』では、プレイヤーである各ライバーが自身の職業を持っている。種類は様々だが、いくつかの系統に分かれているようだ。

警察

 サーバー内で起きている犯罪の通報を元に行動して、街の人や財産に危害を加えているプレイヤーを捕まえるのが警察の役割だ。
 基本的には警察署で通報が来るのを待っていたり、パトロールをしているが、ひとたび犯罪の報せが届けば現場に急行してくる。また、銀行強盗が起きた際には犯人との交渉にあたり、カーチェイスで勝負をする。職業柄マップ内を広く移動することが多く、また生傷が絶えない仕事となっているようだ。
 今回の企画では、ローレン・イロアスが警察署長となり、警察官達のサポートや指揮に当たっている。

ギャング

 もっぱら犯罪行為で生計を立てているのがギャングのプレイヤー達だ。彼らはコンビニや商店で強盗を働いたり、銀行を襲撃したりして市民の命や財産を脅かしている。また、違法な銃器を手に入れたり、怪しげな花を摘んで薬品を作ったりと、いかにも悪い奴がやりそうなことに手を出しているようだ。
 ギャングのボスはグループを作れるなら誰でもなれるようで、今回の企画でも複数のギャンググループがマップ内で暗躍している。また、大型のミッションを受けるために複数のグループが一斉に活動することもあるようだ。

救急隊

 プレイヤーがケガをしたり、ライフが無くなって行動不能になった時、治療をしてくれるのが救急隊員を務めるプレイヤーだ。彼らは救急車やドクターヘリで事故現場へ駆けつけ、負傷者を治療して回っている。また、直接病院に連れて来られたプレイヤーを治療し回復させるのも、彼ら救急隊の仕事となっている。
 基本的には他人を助ける役回りなのだが、マシンの操縦に不慣れな人も多いので、逆にケガをして助けられている場面もあったりする。また、相手の立場を問わず助けに行く立場ということで、配信の中で様々なプレイヤーと触れ合う場面が多くある。慌ただしいが、見ていて楽しい職業と言えるだろう。

飲食店経営

 マップ内には、カフェや食堂などの飲食店を開いているプレイヤー達もいる。店舗のオーナーと従業員は、それぞれのコンセプトに沿ったメニューを人々に提供しているようだ。それぞれで制服を決めていたり、オリジナルのイラストを使った料理を出していたりと、サーバー内での生活に華やかさを与えてくれている。
 何やら兼業で良からぬ仕事に手を出している人もいるとかいないとか……。

タクシードライバー

 マップ内でオリジナルのタクシーを走らせているのがタクシードライバーのプレイヤー達だ。乗客の依頼に合わせて、目的地まで彼らを送り届ける代わりに運賃を請求することで生業を立てている。
 今回の企画では乗客に高額の請求をしてきたり、タクシー業者同士でライバル競争をしていたりと、なかなか愉快なことになっているようだ。

メカニック

 プレイヤー達が移動手段として使っている自動車を整備したり、改造したりするのがメカニックの役割だ。彼らは整備工場で搬入されてくるマシンを診るだけでなく、故障して立ち往生している現場まで出向いて修理を行ったりもする。
 マシンの改造にかなりの資金が必要になることから、パトロールやカーチェイスのために公費でパトカーを使っている警察がもっぱら顧客になっているようだ。とはいえ、他の職業のプレイヤーも頻繁に利用しているため、何かとプレイヤー間の交流が見られる職業ではある。

記者

 マップ内を歩き回りながら事件や事故、お店などを取材して記事を書くのが記者の役割だ。自分の足でネタを取りに行くだけでなく、プレイヤーの依頼を受けて宣伝記事を書いたりもしているようだ。『にじGTA』で唯一のジャーナリストとなっている北小路ヒスイの配信では、島の各地を悠々自適に見て回っている様子が伺える。

 また、職業としての収入以外にも、ギャンブルなどで手持ちの資金を増やしたり、鉱石を採掘したりといった手段でお金を得ることはできるようだ。配信によっては、そういった姿を見ることができるかもしれない。

『にじGTA』の魅力

 『にじGTA』の一番の魅力は、過去にさまざまあったマルチサーバー企画と同様に、普段絡む機会のないライバー同士が不意に出会ってドラマが生まれることだろう。

 同業者ということで顔を合わせやすいだけでなく、事件の犯人として追いかけたり、タクシーを拾ったり、空腹をしのぐために店に入ったりすることで自然とやり取りが生まれる。これは、行動に制約の少ないオープンワールドの形式だからこそ楽しめる要素だ。マップ自体も広過ぎず、施設の分布のも相まって他プレイヤーとは比較的交流がしやすい。
 また、それぞれに職業があることで、お互いに会話を進めやすいというのもドラマ性の強化に繋がっている。立場が明確なことで押し引きや交渉がしやすく、視聴者にも状況が伝わりやすいというのは、ロールプレイ要素の良さが出ていると言えるだろう。

 もう一つの魅力は、暴力的なカオスと平穏な日常が合わせて存在できることだろう。
 一部のプレイヤーが暴れることで全体が巻き込まれるというよりは、マップのどこかで騒ぎが起きて、それ以外の場所ではのほほんとした空気が流れている。ライバー自身の意向、あるいは視聴者の希望として見たい景色を、各々の邪魔をあまりせず実現できていることが、この企画における何とも言えない居心地の良さをもたらしている。
 もちろん、企画の最終日ともなればプレイヤー全員を対象としたイベントも行われるだろうが、それはそれでお祭りのようなものなので、気兼ねなく楽しむことができるだろう。

『にじGTA』を見るにあたっての注意事項

 最後に、今回の企画を視聴するにあたって心に留めておいてほしいことを語っておこう。

 第一の前提として、『にじGTA』はライバーが主人公でありプレイヤーとなっている。視聴者は、あくまでその様子をゲーム画面という映像を通して覗いているに過ぎない。ライバーの行動指針であったり、活動の予定であったりは、彼ら自身の意思に従ったものであり、視聴者側の意向でどうこうするものではないということは、十分理解する必要がある。
 過去の企画においては、ライバーに対して有利になるよう行動を指図したり、他のライバーの助力を得た方が良いと考えてむやみやたらと名前を出したりする視聴者が散見された。しかしながら、そういった行動はたとえ善意のものであってもライバーの望むものではないし、その期待に応えられるわけでもない。
 配信という形式をとる以上、視聴者との会話は少なからず発生する。そこにおいてコミュニケーションをとること自体は自由だ。しかし、ゲームプレイにおいては壁を一つ隔てた先にいることを承知して、我慢強く見守るようにするべきだろう。

 もう一つは、配信内容の切り抜きについてだ。
 今回の企画においては様々な視聴者が切り抜きを作成してSNSや動画サイトに投稿している。それらの多くは配信の中の見どころや面白い場面を切り取ったものであり、自由に楽しんでも問題はないだろう。しかし、投稿者の考え次第で恣意的な場面の切り取りになっている場合もあることは留意する必要がある。
 実際のところ、切り抜きは事実の提示ではなく二次創作だ。切り抜きの内容について個々のライバーに問いただしたり、その場面を例に出して再現を強請るようなことは絶対にやめた方が良い。また、今回の企画を運営する叶や星川サラに、直接問い合わせるようなことも控えるべきだろう。
 よほど問題のある行動が発生していれば、運営担当のライバーはその場で関知しているし、然るべき対処もとる。そうでない場合は、基本的に緊急性のないもの、穏便に解決が図られるものとして、視聴者側は静かに見守るべきだ。あくまで切り抜きの内容は切り抜きの中だけで消化することを、一視聴者の心情として皆に願いたい。

これから後半戦に入り、様々なイベントが発生するであろう『にじGTA』。楽しく賑やかに、企画を視聴していけることを心より祈っている。

#にじさんじ #にじGTA

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