嶋浩一郎×井口理 対談まとめ

カンヌライオンズ2019PR部門の(多分ゴールドだけ?)分解が終わったので一息休憩ということで、2か月ぶりに嶋さんのPRまとめ記事を書きます。今回は私もお世話になった「戦略PRの本質」の著者井口理さんとの対談。さすがアドタイ。豪華。

Media: AdverTimes

Date:2016.02.22

そもそものPRの定義

「PR」とは、世の中に議論を投げかけて、納得させて、ひとつの新しい「合意」を生み出していくこと。パブリシティはあくまで手段。

(井口さん)PRの成果は3ステップに分けて考えることができますよね。一つ目は認知の獲得(Awareness)、次が意識の変化(Perception Change)、そして行動の変化(Behavior Change)
(嶋さん)態度変容まで起こせれば最高! そのためには、課題に対する、着眼点が命だと思います。「なるほど!」と、こちらが思わずうなずいてしまうような、鋭い洞察力で問題を捉えてほしい。

たとえば「フードロス」という課題に対して、メディアで報道されているのは流通による大量廃棄。だけど、実際流通する前の野菜(畑でとれた野菜)はもっとたくさんの形をしていてそれがきれいな形になってないだけで廃棄されるファクトもある。野菜の形を知らない人たちにこういう野菜を気づかせたらフードロス削減に寄与できるかもしれない。

PR部門の審査員はファクトが大好き

(嶋さん)あまり知られていない、ある事実を「発見」し、その「事実」に基づいて、共感を呼ぶ「ストーリー」を紡ぐ。それがPRパーソンの醍醐味というか、腕の見せどころ。

例)

実は発展途上国のほうが酔っぱらい運転が多い

「女性らしさ」は生まれつきなのではなく、後天的に社会に教えられるものであるということを発見。(#LikeAGirl/Always)

クリエイティブジャンプ&実現性

カンヌはクリエイティブを高く評価する。その手があったか!という驚きや気づきのある企画につい惹きつけられてしまう。

プラスしてフィジビリティ(実現可能性)が大事になってくる。アイデアにクリエイティビティが必須といっても、想像というか妄想じゃ、ダメ。

「こんなことできるといいな」というレベルで止まっていたら、それはまだ、アマチュアの発想だと思うんですよ。クライアントに信頼されるビジネスをやっているプロフェッショナルとしては、フィジビリティは避けて通ってはだめですよね。
過去、誰もやったことがないような、新しいことを切り開いてきた人たちって、規制や法令のことに精通している。例えば、東京都の条例ではプロジェクションマッピングは100㎡までしかできないとか、ヘリコプターを飛ばしたいけど航空法上、飛ばせるのか、とか、景品表示法や広告条例なんかも知り尽くしていますよね。自分で警察に行って、道路使用許可をとった経験があったりとかね。きちんと「限界」を知っている人こそが、これまでも新規性のあるプロモーションを作ってきたと思いますよ。

ヤングカンヌはアイデアまで、カンヌは実際にやった人たち。

PR部門審査員が惚れるポイント

1課題に対する視点を鋭く

2ソリューションにクリエイティビティを

3そして、フィジビリティを無視しない。

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