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1st Partyデータを活用したデジタルマーケティングの広告配信

Cookie規制によってデジタル広告で3rdパーティデータを利活用した見込み顧客の獲得が今後難しくなることが予想されます。ですが、企業のマーケティング活動において消費者(顧客)と接点を持ち正確に有意義な情報提供を継続して行っていきたいことと思います。
今回は、過去のお問合せや商品購入、展示会などで取集した消費者(顧客)からお預かりしている情報である1stパーティデータや同意取得済みのゼロパーティデータを活用したデジタル広告のターゲティング手法を紹介していきます。

消費者(顧客)情報を活用した広告配信のターゲティング

企業が自社のマーケティング活動で直接収集し保有している消費者(顧客)情報をもとにデジタル広告を配信することができます。
自社のCRMや顧客リスト、カスタマーデータなど管理されている消費者(顧客)のメールアドレスや電話番号、郵便番号などの情報をターゲティングとして活用することができ、消費者(顧客)情報は1stパーティデータとも言われ、同意済みの消費者(顧客)情報はゼロパーティデータと称されるようになりました。
消費者(顧客)情報を活用したターゲティング手法によるデジタル広告の配信が可能な代表的媒体は、Google、YAHOO!JAPAN、Facebook、Instagram、Twitter、LINEになります。

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各媒体によって広告配信に必要な消費者(顧客)データやポイントが異なるため、媒体ごとに紹介していきます。

Google広告

Google広告の「カスタマーマッチ」になります。
自社が管理・保有する消費者(顧客)のメールアドレス、電話番号などのデータを暗号化された状態でGoogleと共有し広告配信ができます。

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Google広告関連ページ
カスタマーマッチについて
カスタマーマッチのポリシー

Yahoo!ディスプレイ広告

Yahoo!ディスプレイ広告(YDA)の「カスタムリスト」になります。
自社が管理・保有する消費者(顧客)のメールアドレスやアプリ用広告識別子(IDFA/AAID)のリストデータをYDAと連携し、Yahoo!JAPANの登録データと照合することによってカスタムリストを作成し広告配信ができます。
アプリ用識別子を利用する場合は消費者(顧客)から同意を取得したデータのみ可能です。

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リストデータを連携してターゲティングを行う

Facebook/Instagram広告

Facebook/Instagram広告の「カスタマーリストに基づくカスタムオーディエンス」になります。
自社が管理・保有する既存の顧客(CRM)データを活用しFacebook/Instagramのユーザー登録に使用されている情報と紐づけて広告配信ができます。
メールアドレスだけではなくターゲティング可能な識別情報を多くリストへ追加することによって消費者(顧客)とのマッチングを高めることができます。アップロードされた情報は暗号化されます。

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カスタマーリストを利用する際には注意が必要になります。下記も必ず確認しておきましょう。

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欧州(EU)のプライバシー規制について
カスタムオーディエンスの顧客情報を使用するときのベストプラクティス
カスタマーリストをフォーマットする方法

Twitter広告

Twitter広告の「テイラードオーディエンス」のリストになります。
自社が管理・保有する消費者(顧客)のメールアドレスやモバイルIDを基に、特定のお客さまのみに広告配信することができます

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テイラードオーディエンス関連記事
テイラードオーディエンス
リストのカスタムオーディエンス

LINE広告

LINE広告の「オーディエンス」になります
自社が管理・保有する消費者(顧客)のメールアドレスや電話番号、アプリ用広告識別子をLINEサービスのユーザー登録に使用されている情報と紐づけて広告配信することができます

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オーディエンスを使って配信する

各媒体の広告配信プラットフォームから広告配信する場合、消費者(顧客)のリストデータのボリュームを確認しましょう。
各媒体ともにプライバシー保護の観点から100件以上のデータ数から広告配信が可能です。媒体によっては1000件以上のデータ数を推奨しています。
データ数が少ないとアップロードしても各媒体の登録情報と紐づかず数が少なすぎて広告配信ができない場合があります。

消費者(顧客)情報を活用したアプローチ方法

消費者(顧客)の情報をターゲティングへ活用することによって広告の効果を高めることができます。

●見込み度の高い既存顧客へアプローチ
ECサイトなど一度購入につながった顧客に対して、別商材やおすすめなどを紹介し再度購入を促すことができLTVを高める施策として活用する

●見込み度の高い類似顧客へアプローチ
自社の優良顧客リストなどから媒体側で類似リストを作成し、配信することで、より購入見込み度の高い新規ユーザーを獲得する施策として活用する

●新規の顧客のみへアプローチ
すでに会員登録や商品購入している顧客をリストから除外することで新規ユーザーのみへ訴求する施策として活用する

●休眠顧客へアプローチ
一度購入してから一定の期間、商品の購入が無いユーザーのみへ訴求する施策として活用する

●広告配信したくない顧客を除外
すでに会員登録が完了している顧客への広告配信は必要がないため除外することで広告費の無駄づかいを防ぐ

消費者(顧客)情報を活用したターゲティングの注意点

消費者(顧客)情報を活用したターゲティングによる広告配信は、各媒体の注意点もありますが、特に注意しなければならないのが、消費者(顧客)情報は「個人情報」ということです。

広告代理店で広告運用を実施している場合、個人情報の取扱いには細心の注意が必要です。
各媒体の広告配信プラットフォームへ消費者(顧客)のデータをアップロードする際は、代理店へ任せるのではなく、広告主側の担当者がアップロードの作業を行うや顧客情報を暗号化し広告配信プラットフォームへアップロードできるツールを導入することも場合によって必要になります。個人情報の取扱いには広告主と広告代理店で十分に協議しておくことが大切です。
また、昨今の個人情報保護法の観点から、消費者(顧客)から同意を取得しているゼロパーティデータであるかなど確認が必要になります。

まとめ

消費者(顧客)情報を活用したターゲティングの広告配信は、3rdPartyデータの利活用が難しくなる今後のデジタルマーケティングにおいて消費者(顧客)との接点を密にする重要な施策になると思われます。しかし、個人情報保護法の観点から取り扱いには十分に注意しなければなりません。また、消費者(顧客)情報を活用したターゲティングによる広告配信ばかりでは広告が届く消費者(顧客)に不快を与えてしまうことも考えられるため、頻度やクリエイティブにも細心の注意を心掛けることによって有意義な情報提供が可能になるのではないでしょうか

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