ショートショート【かく】 (ちょい怖)最後まで読んでね
僕はあるものをかかない。
かくと言っても色々ある。
本を書く、空想を描く、痒いところを掻くなど様々な時に使える。
そんな僕は非常にある物をかきそうになっている。
2025年春
僕は先週結婚したばかりで憧れの土地に妻と一緒に新婚旅行に来ている。
僕の憧れの地とはヨーロッパ全土だ、あまりどこにどんな国があるとか知らないのだがヨーロッパが好きだ、しかし妻もあまりヨーロッパを知らなかった為今回はヨーロッパ一周ツアーなるものに申し込んだ。
「しかしバスの中まで暑いなぁ、異常気象は進行しているんだな。」
地球温暖化は進行しており、この日は37度もあった。汗っかきな俺は額と脇から水のように汗が流れ出ていた。
ツアーには僕たちを含め6組みくらいの日本人カップルが参加していることが最初のバスに乗った時にわかった。
その6組みの内の一番若そうなカップルの男が丁度1時間前話に来た。
「一緒に夕食でもいかがです?」
「これから特に予定もなかったので良いですよ。なぁ良いだろ?」
妻は嫌な顔一つせずに頭をこくりと上下させた。
「よし、食べに行きますか。」
と言うことで4人で夕食を食べにいくことになった。
今いる地方は城壁で有名な土地でどうせなら名物料理を食べにいくかと言うことでその地元で1番のレストランに入ることにした。そのレストラン内は混み合っており、盛況とも言える状態だが逆に少し落ち着かないかなと言う印象だった。
簡単なコースを頼んで最初の料理(前菜)がきた。その時相手の男性は鞄の中から鉛筆とA4サイズのノートを取り出した。そして前菜を見ながらノートに書き始めた。
僕は気になり、相手の奥さんに「旦那さんは絵が趣味なんですか?」と聞いた。
「いいえ、かくと言う行為が好きなんです。」
「え?それは絵を掻くことが好きと言うことなんですよね?」
「違います、かくが好きなんです。」
「ん?将棋ですか?」
「将棋も好きだと思いますよ。ちょうど出来たみたいですよ、あなた、出来たものをお見せしてくださいな。」
「ん?こんなものを見て楽しいかなぁ。まぁいいか」
と言い旦那は俺に鉛筆ごとノートを俺に渡してきた。
そこには・・・・
3角鉛筆で書かれた俺がいた。絵には今日の服装をして今座っているところが書かれていた。
「これって俺ですよね?」
「正確には違います。」
「どう言う意味です?」
「貴方という汗っかきで少し角のある発言をされる方をモデルにイメージした角さんです。」
唐突に奥さんが話を挟んだ。
「旦那はいろんなかくさんが好きなんです。最初は水戸黄門の拡散だけだったのですが、次第にエスカレートして”かく”を連想するものを見るとノートに書く修正がついたみたいです。」
「そうなのですか、少し変わったご趣味ですが絵を書くのは心を癒してくれますからいいご趣味だと思いますよ。ところで、僕たちは以前からヨーロッパの遺跡などを見たくて来たんですが、ご夫婦は何か見たいものとかあります?」
「はい、ベルギーのフランドル地方東部リンブルク州には絶対にいきたいと思っています。」
旦那は今日1番の笑顔で答えてきた。
「ベルギーはビール美味しいですもんね。僕たちも同行しようかな。」
「それは・・・個人的には嬉しいけど一般的にはやめておいた方が良いと思いますよ。」
「なぜです?」
「私の最終目的である核(かく)兵器に火器(かき)を当てに行きますから巻き込まれるかもね。」
僕は今、目の前にいる男に対して非常に寒気を感じている
カクカク・・・・カクカク・・・・・・・・・
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