仕事に優劣はないという話

時計屋の店員さん

時計の電池交換をしてもらった。

その店は20時30分閉店であり、私は20時10分に店に着き、「電池交換したいんですけど」といってカウンターに時計を置いた。

店員さんは、とても柔和な笑顔の方で、時計は動いているが、時間がズレていることを指摘したが、動いたり止まったりしていることを伝えると、「わかりました。では電池交換が必要かどうか、中を見させていただきます。」と、番号札を渡し、「20時25分に来ていただけますか。」とサラリと言った。

店内を見て回り、時間になって戻ると、時計は動いており、「電池交換が必要だったので、変えておきました。」とのことだった。

なんと無駄がなく、気持ちの良い接客であったことか。

閉店ギリギリに来ても嫌な顔一つせず、真摯にスピーディーに診断、対処し、おまけに水に強い時計ではないから気をつけて下さいね、と助言までしてくれた。

勘違い

ここでわたしは、自分はこれまで、無意識下で、職種には優劣があるという勘違いをしていたことに気がついた。

優劣といっても、給料の高い低いではない。

「どれだけ人の役に立っているか」ということだ。

だから私は、優れた仕事だと信じて、福祉の仕事を選んだ。

みんながやりたがらなかったりする、辛い仕事。だけどやりがいがあり、何より人の役にたつ。福祉の仕事は、「いい仕事だ」と、間違いなくそう思っていた。

しかし、仕事とは、要は社会に空いている穴を埋めること。福祉じゃなくても、人の役に立つことは山ほどある。役に立つから「仕事」なのだ。

そしたらシンプルに、自分が興味ある分野で、日々研鑽すればいいだけじゃないか。

なにをカッコつけて、いい人ぶっているのか。自分に腹が立ってきた。

真っ当な人生を送りたい、立派な人になりたい。そんな思いは捨てて、自分の欲望を辿って生きてみるのも、いいなと思えた。

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