日本で「1番怖い映画」は何か?その答えは、もちろん…
どうも、佐藤です。
皆さん、「日本最恐のホラー映画」と言われたら何を連想しますか?
『どう考えてもリングやろ!!』
『いや、呪怨だね!』
『仄暗い水の底から一択』
『黒い家の今泉くんはやばい』
『回路!!回路!!』
『最近だと残穢も良かった』
『震える舌だな、ホラーじゃないかもだけど』
YES、答えはそれぞれに違っていい…
はずがないんです。
何を隠そう、私は前回こんなnoteを書き…
そこで第一位が白石晃士監督の『ノロイ』だと発表しました。
本作が自分の中で「史上最悪の気持ちになれる後味クソ映画」の栄冠を勝ち得た理由は、至ってシンプル。
ただひたすら、めちゃくちゃ怖いからです。
それなのに…
周りに見てる人が少ない!!
完成度の割にマジで知名度が低い(気がしている)んですが、きっとこのCMは見たことありますよね…?てかこのCMがヤバすぎて見た人が少ないのかも…。
ということで今回はなぜ本作が最恐であるのか、その所以を再びBest3形式で発表していきたいと思います。
それでは、爆走兄弟・烈&豪!
第3位 フェイク・ドキュメンタリーである
映画が観客に恐怖を与える上で、もっとも大切なものは何でしょうか。
ものすごい特殊メイク。膨大な量の血のり。役者の人間離れした動き。不安を煽る音楽。
要素は色々あるものの、突き詰めれば一つの答えに行き着きます。
それは、「説得力」です。
道筋は様々ですが、ホラーを作る人々は皆コレを喉から手が出るほど欲しています(たまに『来る』や『貞子vs伽倻子』みたいな飛び道具もありますが…!!)。そして、コレさえキチンと抑えられていれば、あとは多少おざなりでもなんとかなるものです。
どうすれば観客に、「作り物であることを忘れてもらえる」か…
そうだ!!
「コレは本当にあった出来事である」って、もう言いきっちゃえば良いんだ!!
というわけで生まれた手法が、フェイク・ドキュメンタリー(モキュメンタリー)なんですね。
最近話題になった『コリアタウン殺人事件』もこのジャンルに属しています。あれはプロットもテクニックも監督名も全部捨てて「説得力」に全てを全振りした怪作です。というか、マジでマジモンの可能性も…!?『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』が好きならぜひ一度見てみて下さい。
話をもとに戻すと、『ノロイ』も現実と創作の境界をメチャクチャにするべく無名の役者を起用しまくり、CMも最小限の情報量(冒頭で紹介したアンガールズがテンパるやつ、怖すぎて放送禁止になったなんて噂もありやしたね)に抑え、挙句の果てに作中で失踪する主人公・小林正文が書いたブログを公開するという大胆な作戦に出ました。
ブレア・ウィッチが1999年にヒットして以来、6年かけて邦画ホラーも追いついたという感じがします!これは盛っているわけじゃなく、ガチの太鼓判です。
え!?これでもまだ見ない!?
じゃあ次行きましょう次!!
第2位 気持ち悪い「手抜き」感
さてさて、先ほど「説得力には様々な要素がある」と言いましたが…
その中でもかなり重要となってくるのが、「オバケのビジュアル」です。
監督は観客に「うげえ、このオバケはリアルやな…」と思ってもらうために試行錯誤を繰り返します。
ん?
いやちょっとまて
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「リアルなオバケ」ってなんだ…!?
宇宙人やUFOと同じで、一体誰がその「正解」を提示することができるのでしょう。
髪の長い女?ゾンビ?人面犬?ちっちゃいおじさん?
これまでいろんなオバケたちがスクリーンに登場してきましたが、どの容姿が1番説得力がある、なんて決められませんね(一応ネットでは「コレが一番だ」という意見を時折見ますが…確かに怖い)。
反面、NG事項にはひとつゆるぎない鉄則があり…
「既に世にあるビジュアル」を使った時点で、テッペンは取れないです。
言わずもがな、「あ!"他の映画"でこの幽霊見たことある!」と思われた瞬間、観客は現実に戻っていってしまいます。リアルさを与えるために、誰も見たことのない映像を作る…。なんとも矛盾した話に思えますが、ホラー映画においては本当に大切な要素です。
そして『ノロイ』は、この問題を非常に斬新な方法でクリアしました。
そう
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お化けのビジュアルを、あえて『合成ありあり』にしたのです!!
誰もが精巧なCGを追求する中で、「異物感」を出すためにちょっぴり手を抜く…その結果、誰もスクリーン上で見た事のないお化け像を生み出す事に成功したんですね。」
白石監督はこのバランスが非常にうまく、名作『カルト』でもそのテクニックが惜しみなく発揮されております。ぜひ見てほしい。
余談ですが、いつか稲川淳二の怖い話を聴いていたとき、彼が突然『生首ぐらいの大きさのものがドン!!!!!』と叫んで度肝を抜かれたことがありました。
生々しさを伝えるためには、時に技巧を捨てた方がいい。そうですね、音楽も同じですね。自分がボーカルを努めているバンド・マケロルズも素朴さが光る良いバンドです。という事で一曲置いておきます(話はまだ続きますが、いったん休憩で再生ボタンを押してください!)。
こういう宣伝手法は青汁のCMでよく見ますね。老夫婦の泣ける話かと思いきや、『そんな前田さんの支えとなったのが…』みたいなやつです。あれはズルいけど、毎度毎度だまされて思わず見入ってしまいます。
YES、いわば「禁じ手」…。
そう思えるような必殺技が、実は『ノロイ』の中にも盛り込まれているんです。いいつなぎ(?)が出来たところで、一位に進みます!
第1位 『禁じ手』を使ってる
いったいどんな技なのか。
論より証拠ということで、自分が小学校の頃から忘れられない「あるお話」を通して、皆さんも体感してみてください。
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とある旅館に泊まり、部屋で暇をもてあましていた男は、ビデオデッキのそばに1本のVHSテープが置かれているのを発見します。
シールに書かれたタイトルは『夏祭りの思い出』。
なんだか興味がわいてきて再生してみると…
テレビ画面には、どこかの神社のお祭りで、綿飴を持った5歳くらいの子供を背後から撮影した様子が映し出されました。
『ねー見てみてママ』
『うわあすっごい!』
『人がたくさんいるね』
たどたどしい発音で話しながら、女の子は嬉しそうにあたりを歩き回ります。
ああ、これは誰かの忘れ物だ。
前にこの部屋に泊まった家族が、間違って置いていってしまったのだろう。
なんだか他人のプライベートを盗み見してしまった気がして、男はテープを取り出そうと、ビデオデッキに手を伸ばしました。
顔に近づくテレビ画面。
その瞬間、映し出されていた女の子が振り返り、言葉を発します。
『ねえママ!また、こようね』
ふいに画面がフリーズし、下部に無機質なゴシック体の白字で、次の一文が現れました。
『みなちゃんは、このあと殺されました』
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話はこれで終わりで、みなちゃんの詳細も、男のその後も、なぜこのテープが部屋に残されていたのかも、まったくもって謎です。
それでも、場面を想像しながら聞き入ってみると…
この都市伝説には、そうした不完全さすらも吹き飛ばすような「説得力」=「雑さ」=「異物感」=「人の心を鷲づかみにする魅力」がありませんか!
以来、脳科学的なものは全く知らない自分ですが、以下の仮説を自信を持って提唱しています。
”人間は動画に集中しているとき、いきなりデカデカとゴシック体で端的なメッセージを見せられたら、それを「唯一の真実」だと思い込んでしまう”
そして…
個人的に「向井秀徳ナンバーガール効果」と読んでいるこの激やばテクニックが、『ノロイ』でも惜しみなく使われているのです。
劇中のどこで見れるのかはもちろん言いませんが、自分はこのシーンを目の当たりにした時に「うひょーーーー!!」と思い、白石監督の性格の悪さと本作のすごさを思い知りました。
観客に恐怖を与えるためなら、手段を選ばない。
そんな『ノロイ』を、ぜひぜひ見てやってください。
そして見終わった後は、われわれマケロルズの良い曲で癒されてください。
出来れば毎日聞き続けてください。そう、青汁のように…。
ではまた!!
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