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【続巻マンガ紹介】『左手のための二重奏』が 9巻で完結!

マンガが好き過ぎて、マンガの貯蔵量が60,000冊を越えながらも、毎月新しいマンガを買い漁る僕が、前回1~8巻までの名言を紹介したマンガである『左手のための二重奏』(©松岡健太/講談社)の最新刊:9巻を紹介させていただきます。

左手のための二重奏 9巻 感想

ついに今回の9巻で最終回を迎えました…。

最終巻のはじまりは、周介が父親の暴力を受けてきた過去が引き金になり、自分の演奏は『壊す』を解釈として聴く人を怖がらせるだけでなく、自分自身すら壊す音になってしまう展開から…。

今まで灯と一緒に築いてきた音が、技術が、2人が左手と右手でピアノを弾いてきたということが周介にとって別の意味を持っており、その意味に心の端で苦しんでいたというのは、読者視点で僕は、ピアノに向かう情熱やライバルへの想い、上手くなりたいという感情、さまざまな音の意味・解釈を追求してきたスピード感あふれる物語であまり目を向けていなかったことでもありました。

物語のはじまりを振り返ってみれば、周介が事故から戻って来て最初に悩んでいたことは、灯の父である御影にどう償いすれば良いのかということであり、その後に左手に灯が宿っていることをピアノを弾いて認めてもらえたことで、「彼女をピアノの世界に戻すこと」が周介の目標だと勝手に認識していました。

でもそれは、形を変えた「償い」であり、周介にとって重大な意味な意味合いは「罪の意識」と「償い」でした。

自分がいま奏でている音は「破壊」の音であり、それはそれで表現法として自分も周囲も受け容れてくれるかもしれませんが、灯を死なせてしまった事実を周介自身は受け容れられないという、自分自身が過去を否定してしまう根源があったのかと、この葛藤が今までの伏線となっていたのかと思うと鳥肌モノです。

周介が「償い」の意思を持って黙々と歩いている頃、灯は周介の左手でスマホからライバルであり親友の音理のSNSへ「ピアノを楽しめなくなった友人を励ましたい」とメッセージを送り、音理は作曲してみてはどうかと提案します。

『あなたがいま自分が思う最高のものができなくても、できる範囲のことを精一杯すればきっと大丈夫』、『貴方の笑顔にしたいって気持ちはどんな曲でもきっと伝わる。その人がいつか笑える時が来たら、きっとその人も誰かを笑顔にする。私も親友から貰ったからわかるの。笑顔って繋がるから!』と言ってもらった灯は、「笑顔にしたい」と作曲アプリで作曲は拙いながらも周介への想いを届けます。

そして灯が作曲した曲を聞いて少し前を向いたそんな周介に、友人の彰や灯の父の御影、師匠のグレゴが声をかけ、後押ししてくれる展開に…。

彰は学校内で周介と演奏勝負を持ち掛け、自分自身が周介の影響でピアノの弾き方を大きく変えた経験も含めて、周介の過去に囚われた弾き方を否定せず、過去を踏まえたうえで『今』を受け容れる解釈を周介に届けます。

彰の演奏が心に届いた周介は、「過去」の意味合いを変え、「償い」は形を変えてピアノに向き合えるようになり、改めてピティカへ向けて灯の父:御影に償いの思いがあったことを伝え、逆に御影は娘が初めての場所で迷っていた不安から救ってくれてありがとうと、周介にとっては悔やむべき当時の出来事(事故)を御影は事故ではなく、その前の状況に感謝していたと伝えます。

「過去」は変わりませんが、「今」を変えることで「過去の捉え方」は変わるのかもしれませんね。

御影とのやり取りの後、改めて灯が立つ予定だったピティカの舞台に周介が立つために、師匠のグレゴは『進む道はお前が決めろ!理想の演奏を探し続けるか、本当の演奏を世界にさらけ出すかどっちを選んでもいい。お前の選んだ演奏を俺は全力で支える!』と背中を押します。

物語はピティカの舞台に周介が灯と立ち、周介は「灯と一緒にこれからもピアノを弾いて、この大好きなことずっと一緒に笑っていこう」とし、灯は「周介の手に生きている奇跡に感謝して、その感謝の想いで自分たち音の絵に色をつけたい」と、これからもお互いに叶えたいたくさんの夢を一緒に歩んでいこうと演奏します。

灯という存在が左手に宿ったことで、償いの呪縛に囚われていた周介の手を借りて、「生きたい」「ピアノが弾きたい」という願いを持ち続けながら、左手(灯)と右手(周介)の2人がこれからもたくさんの夢を叶えていくであろう物語の最後は、とてもほっこりとした気持ちで満たされました。

左手のための二重奏 9巻 名言一覧

灯があの日、本戦の舞台で弾くはずだった曲。それを一緒に弾いて俺は…、あの日なくしたものを少しでも取り戻せたらって…。そう思ってたのに、…また元通り、色んな人を傷つけちまった。

的場 周介

昔の感覚を重ねると良い音が出る。殴る相手の顔目掛けて拳作る時…みたいな、昔の自分が弾きたくない演奏がーー、俺の一番を出してきやがって、どうしたらいいかわからねぇんだ。

的場 周介

友達も家族も、どんな俺だろうと受け入れてくれる。…それがわかってんのに、…俺だけが絶対に許さねぇ。

的場 周介

灯は…、俺の中で生きてる。一緒に世界中を笑顔にする。傷つけてきた昔の自分から変わることが灯と御影さんへの償いだからーー。

的場 周介

間違ってることを証明するーー。
間違いって簡単に決めつけるな…っ。
過去の自分がいたから今があるーー。

的場 周介

この曲でピティカに行くはずだった未来を取り戻すことが自分の償いなんだよ…っ。間違った過去を捨てて、灯を世界の舞台に連れていく。だから二度と…っ、過去の音は弾かない。それが間違ってんなら答えを教えてくれ。

的場 周介

音は戻ってこない。
弾いた音から逃げない。
自分の全部…、最後まで弾き続ける。
俺はピアニストだ…!

的場 周介

あの日の過ちを少しでも元に戻すことが償いのカタチだって信じてた。でもそれは自分が歩いてきた人生から逃げてるって気づいたんです。元には戻らない「今」をちゃんと生きようと思います。

的場 周介

捨てたい過去も後悔も全部抱えて、誰かのためじゃない。「的場周介」を生きていくことが、…俺の償いです。

的場 周介

来てほしかった。こんな綺麗で…、普通に過ぎていく日が。でもわかったんだよ。俺のピアノはこの日を取り戻すためのものじゃないって。俺は過去から逃げねぇ。

的場 周介

好きな音も嫌いな音も、この手が鳴らした音だからちゃんと聴くよ。全部握りしめて生きていく。俺のこれからを。

的場 周介

二人で色んなことができるようになって、俺たちはここまで来られたんだ。きっとこの先、どんな困難だって越えていける。俺は俺を生きて、灯は灯を生きてずっとピアノを弾こう。世界で一番大好きな子と一緒に、ずっと笑って。

的場 周介

音楽は自由。優しい音を辛く感じたり、楽しい音で傷つけてしまったり、色んな人や心がある。今は笑顔にならなくてもいいの。いつか笑えるための「勇気」をあげたいな。

弓月 灯

ピアノの神様ーー。私の願いはいっぱい叶いました。ピアノを好きになってほしい人がいた。笑顔でいてほしい人がいた。もっとピアノが弾きたかった。この舞台にもう一度立ちたかった。

弓月 灯

私が左手に生きているこの奇跡にありがとう。
この感謝で私たちの音の絵に色をつけたいと思います。

弓月 灯

今日ピティカに出て、みんなの前で最高の演奏ができた。でもそれよりもシュウくんが今心から笑えてるのが私一番嬉しくて…。私が左手にいる奇跡はこの気持ちのためにあるんだって気づいたの。ありがとう。

弓月 灯

叶えたいこと…!無限にあるねっ。だからシュウくん、これからもずっとそばにいてね。

弓月 灯

おじさんにかける言葉、ちゃんと見つけてから会ったほうがいいよ。ピティカ本戦に集中しなさい。的場くんが「何」を弾くか、私…、ちゃんと聴かせてもらうから。

久遠 音理

あなたがいま自分が思う最高のものができなくても、できる範囲のことを精一杯すればきっと大丈夫よ。

久遠 音理

貴方の笑顔にしたいって気持ちはどんな曲でもきっと伝わる。その人がいつか笑える時が来たら、きっとその人も誰かを笑顔にする。私も親友から貰ったからわかるの。笑顔って繋がるから!

久遠 音理

僕たちピアニストは拙い演奏も解釈も、自分の演技をーー、「今」を受け入れて最後まで弾き続けるんだ。ピアノも人生も一緒じゃないか!

鳴井 彰

目を背けたい過去と全部弾くんだ。それが的場くんの弾くべきピアノだ。自分の音が他人を傷つけるなんて勝手に決めるな!君の演奏に僕は絶対に負けないっ。

鳴井 彰

シュウの手は今…、誰かが引っ張ってやらなきゃいかん。でもその「誰か」ってのは今回は“俺たち”じゃない。俺たちのやることは、シュウが戻って来た時にちゃんと迎え入れる。

グレゴリー・ザハロフ

本当の自分、…本能。今回のミカゲの件でお前は自分にしかない「武器」を見つけたワケだ。別に戻さなくてもいいんじゃねぇか?俺はその音に心が震えたぜ。

グレゴリー・ザハロフ

どんな演奏をしたってお前はお前なんだ。
本当の自分…。
その感情が音を強くしてくれる。
演奏者として最高の幸せじゃねぇか。

グレゴリー・ザハロフ

進む道はお前が決めろ、シュウ。理想の演奏を探し続けるか、本当の演奏を世界にさらけ出すかどっちを選んでもいい。お前の選んだ演奏を俺は全力で支える。今日中に決めてこい…!

グレゴリー・ザハロフ

いかがだったでしょうか?

『左手のための二重奏』は、劣悪な家庭環境で育った不良少年と天才ピアニストの少女の出会いから「世界中の人を笑顔にする」という夢に向かって、亡くなってしまった少女の夢を叶えるために死に物狂いで突き進み、そんな少年の姿に引き寄せられる人々と変わっていく少年の物語が描かれた、作者:松岡健太先生に敬意を表して感謝を伝えたい最高の作品です。素敵なマンガをありがとうございました。

少しでも興味のある方は読んでみて損はないと作品だと思います!

それでは今回はここまでです。

最後まで読んでいただきありがとうございました!

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