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祈りの風景

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第5章 巨木信仰と縄文



樹木の記憶

 岩手県陸前高田の海岸線は、かつて見上げると首が痛くなるほどの高さの松が7万本も並ぶ景勝地だった。3.11のあの日、巨大津波はその松をことごとくなぎ倒し、沖へと運んでいってしまった。後には、樹高35mのひょろ長いたった一本だけが残った。

 青い海と白い砂浜そして輝く緑が鮮明なコントラストを描いていた海岸は、無残ながれきに埋め尽くされ、どうしたわけかその一本の松だけが、ひとり取り

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