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2020/11/24-11/29 dB日誌

11月24日(火)

晴れ。ここ数日、大阪、兵庫でもコロナ感染者が増えている。目には見えない気持ち悪さがある。寒い日が続いているが、空気はきれいな気がする。

今日は自宅(AOZARA HOUSE)で、武内さんを迎えての視覚ラボ。目が見えない人のダンスをつくろうという試みである。武内さん以外に、文、由美子、はるかと私が参加。

まず、武内さんの話をたくさん聞くことができた。視覚障害といっても一様ではない。武内さんの場合は、ぼんやりと見える程度で、いわゆる全盲ではない。

これから、メンバーも多少増えていくと思うが、いちいちの話を聞くことから丁寧にそれぞれのダンスを引き出すことができればと思う。

健常者、障がい者という線引きではなく、それぞれの人がもつ生きるための表現の可能性を生み出せればいいなあと思う。

障がいを健常者のレベルではからないこと。対等な関係であることは、寄り添うことより寄り合うことが大切だ。

私も耳が遠くなったのか、相手の話す音は聞こえるのだが、意味がわからないことが増えてきた。制約が増えてくるが、いかに想像力を発揮できるか。勝負どころだ。

武内さんの話で、ある時全く行われていることがわからなかったが、衣擦れの音を聞いた時に全ての状況が理解できたということや、風の動きや言葉のリズムで理解ができたことなど、おもしろい話が満載であった。

ところで、昼食はベトナムのサンドイッチ、バインミー。フランスパンに焼き豚あるいは鶏肉とパクチーなど野菜をはさんだもの。美味。(大谷)

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11月25日(水)

Coming Soon!

11月26日(木)

天気は曇のち晴れ。今日はコミュニケーション教育事業としてダンスのアウトリーチをしに垂水の乙木小学校へ行ってきた。対象は1年生と3年生。垂水駅からバスと徒歩で20分ほどのところにある坂の上の学校で、景色が素晴らしい。校門の前に立つと長い坂の下に明石海峡大橋と海が現れ、絵葉書か映画にありそうな極上のアングルで目に飛び込んでくる。気持ちがよくて深呼吸したくなる場所だ。夕方にはその大橋の向こう側に赤い夕日がとっぷり沈む様子が見られる。子どもたちはこの景色を見ながら毎日登下校している。

今回は3回目のアウトリーチで、最終日。授業内で発表も行った。前回2回目は生徒さんが授業に少しづつ慣れてきた様子だったので、最終日の発表ではどんな姿が見られるのかとワクワクしていた。

体育館で待っていると生徒の皆が「サッチー、おはよう」「ミカデリーやろ」「アヤ〜」「じゅりや」と私達講師やアシスタントの名前を覚えて挨拶しながら入ってきてくれる。元気な顔も照れた顔もマイペースな顔もある。3年生の中には私もうお姉さんよと、ツンとした顔の後ろにまだまだ子供らしい顔を隠しながら女子2人でくっついて入ってくる人達も。

授業中の生徒さん達はとても素晴らしかった。小学低学年の柔らかい体と頭から出される遊びと真剣の間のような動きの数々。軽やかなティッシュの動きを真似ると床にふわりと落ちる様子まで全身で表し、それもそれぞれの解釈で少しづつ違ったダンスになる。一人で舞台に立つソロは、興味と緊張を抱えてドキドキしがらも、エイ!と舞台に飛び出すその瞬間も見事だった。自分で考えたダンスを皆からの視線や応援を受けて全身で披露していた。舞台に同じように立たなかった人も、皆が踊る様子を見ながら自分だったらこうするよと小さく指先で踊ったり、飛び跳ねて楽しさを表しそりして、その場をそれぞれのペース楽しんでくれていたように見えとても嬉しかった。人との距離を保つためにフラフープを使って行ったワークでは人との間隔や相手との間を探す時間になっていたように思う。最後の発表では半分づつ見合い、見ていた一人の生徒が「命がつながっているみたい」と大人をびっくりさせる名言をそっと残してくれた。彼の目から世界を見てみたいなぁ。

帰りはまたいい景色を見ながら坂を下り、垂水でしか買えない美しくて美味しいタルトとキッシュのお店へ。今日の事を家の人に聞いてもらおうとゴルゴンゾーラのキッシュも買っておく。私はタルト4つとトマトのキッシュ。(西岡樹里)

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11月27日(金)

晴れ。推しの誕生日!

連日のアウトリーチ事業。ほとんど事務所にも行っていないので、今劇場では何がどうなっているのかほぼ把握できてないほど、こちらに集中?させてもらってる。今日からは中学生。子どもと大人の狭間なビミョーなお年頃。講師は升田さんと等々力さんのウタタラのお2人。昨年度も違う中学校でこのお2人にお願いしたのだが、私も含め、きっと普通に過ごしていたら出会わないものに出会わせてもらっている。その時の生徒の(特に男子の)反応がいいんだわ、これが。笑 今年もミーアキャットみたいな反応が見れるのかなあ、とわくわく。

今日のワークはお2人の人生から言葉を抜き取り、”オノマトペ”をキーワードに進める。最近授業でもオノマトペをやったところだそう。まあでも「小2の子ども」や「高山植物」からオノマトペなんて授業だったら考えないでしょう。生徒のみんなも「は?!」とか「分からん!」と言いつつも、めちゃくちゃ面白いオノマトペを出してくる。それをどんどん動きにしていくのだが、、、うーん。もう少し作戦会議が必要だったような。。。子どもの雰囲気や学校によって、もちろん違ってくるのだが…。事業終了後、先生たちも含めて振り返りと、改めての作戦会議。子どもたちの裏での感想も聞きつつ、次回はガラッと内容を変更しようとなる。これが吉と出るか凶と出るかは分からないが、彼らに合わせてこうやって内容は出来ていく。こちら側が伝えたいことの軸は変わらず、色んな方向から突いてみる感じ。私自身も関わり出して数年。引き出しも徐々に増えてきているなあ、と感じつつケーキを食した。(新家)

[コロナ対応]また徐々に増加傾向の中、学校ではすでに除菌セットを用意をして下さっていた。マスクもしてて顔は分からないし声も聞き取りにくいのがこの事業との相性の悪さ。検温、消毒、マスク着用。生徒との距離感。

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11月28日(土)

曇りちょっと晴れ。風が冷たくなってきた。8時半にdBに集合し、キャンプ用カート2台と台車1台、手持ちの荷物少々を分担して徒歩2−3分のふたば学舎へ運ぶ。搬入・仕込み、諸々変更部分のリハーサルを駆け足で済ます。本日は「ダンスキャラバン 長田区公演」の本番。今年度最後のダンスキャラバン。しかし、ここ数日の全国的なコロナ感染者増加に伴い当日までキャンセルが続く。いつもならふたば学舎内や校庭では子どもたちがたくさん遊んでいる・・・はずが、子どもの姿は見えず。近くの公園にも商店街にも子どもがいない。みんなどこへ消えたのか。と思うくらい。結局、午前の回は中止を決断。午後の回も不安は大きかったが、ダンスキャラバンを楽しみにしていた子どもたちが家族で参加してくれた。ワクワクとドキドキの狭間を行き来しながらも、最後はキラキラした表情と満ちた身体がたくさん見られたので、出演者・スタッフ一同ホッとした。しかし、このような状況下でオフラインの舞台芸術や体験をどう届けることができるか、安心して参加してもらうにはどう告知するべきか、大きな課題が残った。いつもより広報に力を入れたくさんの方に協力していただいたが、今一度根本的な広報を見直す機会として次に活かしたい。長田区の担当の方にもお手伝いしていただき、30分足らずでバラシ終了。とにかくみんな手際がいい。dBロビーでサクッとピザとビールで乾杯し早々と解散。その後、文さんが書いてくれている助成金の申請書をチェックしながら色々と好き勝手な意見を言う。気づけばお腹が鳴るほど時間が経っていた。dBを出た瞬間、ザブーンと大雨が降ってきた。また明日から寒くなりそうだ。(田中)

[コロナ対応]来場者全員の検温、手指消毒、マスク着用、連絡先提出。家族ごとに間隔をおいて鑑賞。会場の消毒や換気。演者と観客の距離を取る。

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11月29日(日)

晴れ、洗濯は3回。昨晩「チャオチャオ!ベトナム水上人形劇!」の2回目の配信を終えた。安堵。

「シンポジウム: 封鎖都市と演劇身体――GLOBAL PANDEMIC 2020 の中に如月小春を甦らせる――」を、途中まで視聴する。

ずっと憧れの人、如月小春さん。戯曲家で、演出家で、アジア女性演劇人会議を生みだし、子どものワークショップの先駆け的な存在だと思っている。私は著書のなかでしか出会っていない。何度と如月さんの著書に助けられながら、ここまで来たか。今回のオンライン・シンポジウムでは、如月さんが蘇る!? 過去に録音された声で登壇されるとのこと。初めて聞いた如月さんの肉声。音の高低、速度、質感、、、こんな話し方をする方だったんだなぁとしみじみ思う。声が他者に与える情報量は、予想を遥かに越えて多いのだなぁと実感する。演劇をされている方には今さら何を言ってんだ!って思われるだろうけど。

登壇者の方々の声を通して、如月さんの先見性を見る。第二部では、李静和さん、矢内原美邦さん、羊屋白玉さん、相馬千秋さん、そして渡辺えりさんの女性たちの顔ぶれが映る。胸が詰まる。これまでも、現在も、ご自身のフィールドを拡張しながら活動し続ける方々。闘い続けてきている、という言葉が相応しいかもしれない。底からこみ上げてくるようなエネルギーをもらった時間だった。

写真はシンポジウムで語れた言葉のなかで走り書きしていたもの(横堀)

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