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永遠が通り過ぎていく 戸田真琴さんが、永遠と愛を求めて足掻く少女に贈る処女オムニバス映画

あらすじ

文筆家としても活躍するAV女優の戸田真琴が手がけた短編3作品から成る初監督作。
戸田が、自身の人生における大きな喪失のようなものをベースに、言葉と映像で語り直すことを試みた「戸田真琴実験映画集プロジェクト」として2019年に製作され、自主配給で上映された自伝的な3本の短編作品をまとめて劇場公開。
植物園で互いの宿命を解析し合う少女たちを描いた「アリアとマリア」、キャンピングカーで旅に出る男女の刹那の交流を描く「Blue Through」、監督自身の送った手紙をもとに大森靖子が書き下ろした楽曲を使用し、喪失と祈りを描いた「M」の全3編で、全作品の監督、脚本、編集を戸田真琴が手がけた。

感想など

淡い自然光を生かした儚げな映像美や「永遠」を求める少女のナイーブな自意識が剥き出しになったモノローグなど、「リリィシュシュのすべて」の頃の岩井俊二監督作品の影響を感じさせながらも、宗教2世だった子どもの頃の疎外感や永遠の愛を得られない孤独感など戸田真琴さんのパーソナルな部分が、より良く織り込まれていて、クライマックスの大森靖子さんの「M」が流れるシーンは、戸田真琴さんだけでなく孤独の中で愛を求めて足掻く少女の自意識が痛切にシンクロしていて、特に10代の少女に必見のオムニバス映画。
「強く強く生きるのは、どうしょうもなく恥ずかしい。若くてダサくて不器用で、傷だらけだから美しい」by「M」大森靖子。
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