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SHE SAID シー・セッドその名を暴け #MeTooに火をつけたジャーナリストの戦い

あらすじ

ニューヨーク・タイムズの記者ミーガン・トゥーイー(キャリー・マリガン)とジョディ・カンター(ゾーイ・カザン)は、大統領選挙戦の最中にドナルド・トランプのセクハラを告発したことをきっかけにハリウッドに君臨する映画プロデューサー、ハーヴェイ・ワインスタインの数十年に及ぶ性的暴行について調査を開始する。
取材を進める中、ワインスタインが過去に何度も記事をもみ消してきたことが判明。
さらに、被害にあった女性たちはそのほとんどが示談を受け入れており、証言すると秘密保護義務を盾に訴えられるということに対する恐れやハリウッドで干されるという恐怖や、当時のトラウマによって声をあげられずにいた……。
問題の本質は業界の隠蔽構造だと知ったミーガンとジョディは、調査を妨害されながらも信念を曲げず、示談契約の内容を証言するミラマックスの財務担当者や証言を決意した勇気ある女性たちと共に突き進む。
そして、サバイバーたちによって遂に沈黙が破られ、ワインスタインによる悪質な事件の全貌と真実が明らかになっていく……。
映画プロデューサー、ハーヴェイ・ワインスタインによる性的暴行事件を告発した女性記者たちの実話を映画化。

解説と感想など

90年代ハリウッドを席巻したミラマックス制作の映画。ミラマックスの会長としてハリウッドを牛耳ってきたハーヴェイ・ワインシュタイン。
彼は、キャスティングや脚本にも口を出す強力な権力を乱用して、アシュレイ・ジャッドやローズ・マッゴーワンやグウィネス・パルトローなどのハリウッド女優にはキャスティングをエサに、ミラマックスの職員には脚本の打ち合わせなどを名目にホテルの部屋に誘い込み、暴行などの性犯罪を引き起こした。
被害者には、多額の示談金を払って、記者などに告発しないことや示談契約の内容を明かさないなど秘密保護条項により沈黙させ、警察や検事局は密室の出来事による証拠保持などが保持出来ないことから捜査することに消極的であることから、犯罪は隠蔽されてきた。
ニューヨーク・タイムズのジョディ・カンターとミーガン・トゥーイー記者が、ハリウッドの権力者ハーヴェイ・ワインシュタインがミラマックスの職員やハリウッド女優に対する性犯罪を告発すべく、ワインシュタイン側の圧力や示談契約書の秘密保持条項で訴えられることを恐れて証言を渋る被害者から粘り強く証言を集め、ミラマックスの財務担当者から示談契約書の内容を証明する書類などの証拠を集め、ハーヴェイ・ワインシュタインを告発するまでの取材の過程を、製作陣とミーガン&ジョディが
話し合いを重ねて定めた本作のガイドライン
☑︎過剰な脚色を避け、可能な限り純粋に現実を描いた
☑︎ハーヴェイ・ワインスタインを映さない
☑︎女性に対する暴行の場面はいっさい描かない
☑︎その代わり、サバイバー自身の声や言葉を使って描写するに沿ったあえてドラマチックではなく随所に実際のワインシュタインと被害者の音声を記録したテープを使ったり、ワインシュタインの被害者の恐れや証言するまでの葛藤やママ友として先輩後輩でもあるジョディやミーガン記者がいかに証言することを恐れる被害者に寄り添い粘り強く証言と証拠を集めるかという苦闘が女性バディものとして丁寧に描かれていて、ジャーナリストものとして良質な告発ヒューマンサスペンスに仕上がっている。
ワインシュタインを告発したジョディとミーガン記者が、ありがちな無敵なスーパーヒロインではなく、夫と協力して育児にもしっかり取り組み子供を愛してる母親としての人間味がある女性としてリアルに演じるキャリー・マリガンとゾーイ・カザンそしてジョディとミーガン記者の頼れる上司レベッカを演じるパトリシア・クラークソンのリアル感ある演技が素晴らしい。
そして告発者本人役で出演しているハリウッド女優や被害者のハリウッド女優が、ハーヴェイ・ワインシュタインを告発する人を演じてるのも胸熱。
日本では、ジャニーズの性虐待などが告発されてもなかなか芸能界の健全化に繋がらない現実や被害者が沈黙を強いられるシステムや性犯罪がちゃんと告発出来ない法制度に暗澹としながらも、声を上げていく方々をサポートしていきたいと思える社会派ヒューマンサスペンス映画。
「世の中には、ハーヴェイみたいなヤツはどれだけいるのか?」
「あなたに起きたことは変えられない、でも力を合わせればあなたの体験が他の人を救う」
「問題はワインスタイン以上に、性加害者を守る法のシステムにある」

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