働きアリのように働けない美学
最近、友人から会社のPCに「あなたの操作ログはすべて監視・記録されていいます」とポップアップが上がるようになったと聞きました。友人によるとテレワークでサボる社員が、明らかになっているようで、けん制する為では無いかと言っていました。PCのログ、アクセス状況で、いわゆるやる気のない社員が明らかになってしまう怖い時代です。こういったやる気のない社員の存在をよく「働きアリの法則」「組織の2:6:2」の法則で例えられますが、組織は働きアリのように機能するのでしょうか?
働きアリの法則とは
よく働いているアリと、普通に働いている(時々サボっている)アリと、ずっとサボっているアリの割合は、2:6:2になる。
よく働いているアリだけを集めても、一部がサボりはじめ、やはり2:6:2に分かれる。
サボっているアリだけを集めると、一部が働きだし、やはり2:6:2に分かれる。
北海道大学の長谷川英祐先生の研究です。働くアリと働かないアリの差は「腰の重さ」です。アリの前に仕事が現れた時、「腰の軽い」アリが働き始め、仕事が増えたり、最初から働いていたアリが疲れて休むなどした時に、それまで仕事をしていなかった「腰の重い」アリが代わりに働きだす。「疲労」というものが存在する以上、一見サボっているように見えるアリの存在が、コロニーの存続に大きな役割を果たしている。仮にすべてのアリが同時に働き始めた場合、短期的には仕事の能率が上がるが、結果として全てのアリが同時に疲れて休むため、長期的には仕事が滞ってコロニーが存続できなくなるようです。そのようなアリがいる一見非効率なシステムがコロニーの存続には必要だと言います。
明日からがんばれ!と言われたら?
働きアリの法則は、2:6:2の割合だけをとれば、組織には当てはまる気はします。ただアリの場合は、コロニー維持の目的からDNAにインプットされた生存能力です。このような柔軟性が人間にあるとは思えません。
組織マネジメントでは、この2:6:2を引き合いに出して、最適なチームビルディングや、それぞれの層に対するアプローチなどに解説をしています。それはそれで一理あるとは思っていますが、組織の維持に直接効果があるかは、少し疑問に思います。
なぜならば、企業の存続には、現在うまくいっている事業だけではなく、新規事業の可能性を模索していく両利きの経営が求められるからです。
普段、働いていない社員に、明日から違う仕事をかんばれといったら、人が変わったように元気にがんばってくれるでしょうか?
あなたの代わりは誰もできない
働きアリの仕事は、他のアリでも代替できます。つまり労働代替性が利くのです。しかし私たちの組織においては、それは難しいと思います。働かない社員を集めて企業を存続しようとしたら、きっと1年もしないうちに倒産するでしょう。それだけ組織や人間には冗長性が無いと想像できます。つまり明日からあなたの代わりをしてくれる人はいません。企業が、組織にとって献身的な社員を評価することは重要です。それ以上に私たちは、生存と疲労を蓄積しないように、自身の中に2:6:2に代わる余長をもっておくことも重要なのだと考えています。
最後までお読みくださりありがとうございました!
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