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企業のひとは自分たちの価値に気づいていないから、コピーライターが見つけてあげる

「価値の発見」は、ブランディングという作業の中の大きな部分を占める。創造ではなく、あくまで「発見」であることがポイント。ブランドをよく見せようとして、価値を捏造してはいけないという意味だ。そんなことをしてもすぐに化けの皮ははがれるし、そもそも捏造なんてしてしまうと、社員たちの心は会社から離れてしまうだろう。

私がブランディングをお手伝いしていて、かなりの確率で出会う言葉がある。その言葉とは、「うちじゃふつうですよ」というもの。たとえばある食品メーカーでは、製造から出荷までの間に10回も品質検査をする。食品というカラダに入るものを扱うから、彼らにとってはそれがふつうなのだという。けれど取材をする私からすると、驚きの事実なわけだ。

そしてこんな言葉もよく耳にする。「どこだって同じことをやってますよ」。こちらが驚くような事実であっても、ライバル企業も同じような取り組みをしているという意味でおっしゃられることが多い。たしかにライバル企業もやっているなら特別なことではないのかもしれない。けれどブランディングの目的が、その会社を好きになってもらうことであるとした場合、消費者も私と同じように事実を知ると驚くわけだ。そして「すごいな」「信頼できるから今度買ってみようか」と行動変容が起こる(可能性がある)。

これまでいろいろな会社の方に取材をさせていただいたが、発見のなかったことはない。その会社の人にとっては当たり前のことであっても、外の人間が見ればたくさんの「すごい!」や「知らなかった!」があるのだ。

かなり昔、「4週間もの間、何もしないことが仕事になる、そんな仕事があります。」というナレーションではじまるCMがあった。再春館製薬の『ドモホルンリンクル』のCMだ。品質管理担当者が、ただひたすらに商品に使用されるコラーゲンの抽出を見つめ続けるというシーン。とても印象に残っている。

再春館製薬『ドモホルンリンクル』CM

あくまで私の想像なのだが、こういった作業は常日頃から行われていて、ある日取材で工場を訪れたライターがこのシーンに出会い、「これをCMにしましょう!」とプレゼンをしたのだと思う。20年以上前のCMだと思うが、いまだに覚えているということはブランディングの成功例と言えるだろう。

自分たちの会社や商品のブランド価値がなんだかわからない。そんな方のお手伝いをしています。

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