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開発プロセスの管理:アイディア

今回から段階的に、製品開発のプロセスについて紹介していきます。

アイディア創出

新製品開発プロセスはアイディアを探すことから始まります。マーケティングの専門家の一部は、新製品開発の最大の機会と最高のレバレッジは、満たされていない顧客ニーズや技術革新の最善の組み合わせを見出すことによって発見できると考えています。新商品のアイディアは、さまざまなグループ交流をしたり、創造力創出テクニックを用いたりすることで生み出すことができます。

他者との交流

新製品のアイディアは、顧客、科学者、競合他社、従業員、チャネル・メンバー、経営陣といった様々な情報源から得ることができます。
製品に対するニーズや反応は一対一のインタビューやフォーカス・グループの討論によって探すことができます。また、P&Gは顧客観察テクニックを重視しています。この方法では、ブランド・マーケターが少なくとも一か月に12時間は消費者の家庭で過ごし、消費者がどのように皿を洗い、掃除し、歯を磨くかを観察し、生活習慣や不満に感じていることを尋ねます。この観察から新製品のヒントの獲得を狙います。
技術系の企業は、最新の自社製品を使いこなし、ほかの誰よりも早く改良の必要性に気づく観察から多くのことを学んでいます。この方法で、マイクロソフトは、スリーデグリース・ソフトウェア製品の開発を行いました。
企業の従業員いやサービスを調査することからでも優れたアイディアを創出することができます。また、競合他社の製品やサービスを調査することからも優れたアイディアを獲得することができます。顧客がどのような製品を好み、どこを嫌っているかを調べてもいいでしょう。競合他社の製品を購入し、分解し、より優れた製品を組み立てることも可能です。
また、経営陣が主要なアイディア源になることも覚えておくとよいでしょう。

創造性テクニック

個人やグループの創造性を刺激するには、次のようなテクニックがあります。

・属性のリストアップ
あるものの属性をリストアップし、続いて各属性を変更してみる。
・関連付け
いくつかのアイディアをリストアップし、各アイディアを互いに関連付けて考えています。
・形態学的分析
まず問題を挙げる。そして、その特徴を考えてみる。その特徴を組み合わせて、新しい解決方法を考えてみる。
・前提逆転分析
あるものの前提をリストアップし、それらを逆転させてみる。
・新しいコンテクスト
なじみのプロセスを取り上げ、新しいコンテクストを入れてみる。
・マインドマッピング
思いつくことを紙に書いてみる。

アイディア・スクリーニング

企業は、集まったアイディアを取捨選択する必要があります。この作業を「アイディア・スクリーニング」といいます。
基本的に、有望、再考、却下の3つのグループに分類し、生き残ったアイディアを精査します。この作業で、企業は二つのことに注意することが必要です。

ドロップ・エラー
本来優れたアイディアを、何等かの理由で却下してしまうこと。
ゴー・エラー
企業が貧弱なアイディアを開発段階や商品段階まで進めてしまうこと。

スクリーニングの目的は貧弱なアイディアをできるだけ初期の段階で捨てるこです。アイディアが開発段階にすすむにつれてコストがかかります。そのため、アイディア提案にテンプレートを用いると良いでしょう。この書式には、製品アイディア、標的市場、競争状況などを記載するほか、市場規模、製品価格、開発期間と開発コスト、製造コスト、収益率のおおよその推定を記入するのもよいです。
次に、エグゼクティブ委員会でアイディアを検討します。その製品はニーズに合っているか、優れた価値を提供できるか。一目を引く広告ができるか。自社に必要なノウハウや資金があるか。目標とする売上数量、売上成長、利益を達成できるか、などといった点です。
新製品アイディアが開発段階を進んでいく間、企業は常にその製品の総合的な成功率を見直す必要があります。その際には、次の公式が用いられます。

総合的な成功率=
技術が完成する確率×完成した技術のもとに商品化できる確率×商品化して採算が採れる確率

アイディアが精査された後、コンセプト開発へと向かいます。

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