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まにまに - 第19回

”まにまに(随に)”=物事の成り行きに任せる様
この記事は、2019年12月13日の最近の出来事や感じたこと、考えたことなどを、筆と気の向くままに綴っている、ただの日記です。

…なななんと、前回の投稿から1か月も経ってしまっていました。。
思い出し、思い出しながらのこの一か月について。

最近の仕事のこと

11月の中頃には、デンマーク のデザイナー、Kay Lyngdfeldt Larsen(カイ リングフェルド ラーセン)によるダイニングチェアの座面の張替を行いました。

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実はこの椅子、以前にはグレーの無地の生地で一度張替を済ませて展示もしていたのですが、今回改めてグレー×イエローの細いチェック柄の生地に変更したんです。

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なぜ今回生地を変更したかというと、生地というよりか本当は中身のウレタンクッションを作り直したかったんですね。

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この椅子のオリジナルでは、座面のサイドはこのように”マチ”を廻す仕様でした。
極力オリジナルのデザインを忠実に仕上げしたく、前回もオリジナルの仕様に従ってこの”マチ”を作製していたのですが、内部ウレタンの成型が今一つ良くなかったようで、仕上がりに満足出来ていなかったんですよね。

その後色々と検証したり練習をして、ようやく納得のいくウレタンの成型が出来るようになってきたので、今回改めて作り直すことに。
生地は前回の生地を使うことも出来たのですが、心機一転。柄のある生地をセレクトしてみた。そんな次第です。

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マチを作らない通常の椅子であれば(私の場合は)座面のウレタンは角が出ないように工夫をするのですが、今回のようにマチをつけて仕上げる場合にはしっかりと角を立ててあげた方がやりやすく、綺麗に仕上がるよう。
そしてそのウレタンクッションの角を綺麗に造るためには、断面にがたつきや歪みが無いようまっすぐ平面に裁断する必要があり、それが簡単なようでいて結構難しいんですよね。

続いても、また別の椅子の張替作業を行いました。

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こちらもデンマーク製のダイニングチェア。
デザイナーは不祥ですが、背もたれは体を包み込むように大胆な弧を描き、その端には軽く肘を添えて身体を休められるよう、ハーフアームとしての役割も有した、機能性の高いチェアです。
テーブルに合わせてももちろん良いですが、リビングなどに据えて長時間使用するのにもとても適していそうですね。

ストライプ柄の生地は、デンマーク Kjelleup Væveri というブランドのウール系の生地をセレクト。
ただでさえ曲面の張替作業は(私には)難しいって言うのに。なんでストライプ柄を選んでしまったんだ~、、。と途中後悔&苦戦しながらも、なんとか仕上がりました。
(上手く加減しないとストライプ柄が歪んでしまうんですよね~。)

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後ろから眺めたシルエットが特徴的で綺麗なデザイン。
肘の位置から斜めに伸びる後ろ脚は、接合部と脚先の両端へかけて先細くなっていきます。細かな仕事ではありますが、これだけでデンマーク家具らしいどこか洗練された佇まいを感じさせてくれます。
そして前後方向に脚部をㇵの字に開く事で後方への荷重にも強く、デザイン性と耐久性がバランスよく考えられた造りとなっています。

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でその翌週、かな?
11月17日(なんでもスマホで写真を撮っておけば日付が残るから便利な世の中ですね!)からはお客様より依頼された家具の修理作業に取り掛かりました。

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こちらのスツール2脚。
このお客様は以前に何度かお店をご利用いただいている、わりと近所のお客様でして。
今回は他のお店で昔買ったというスツールでしたが、修理を受けることに致しました。

(私に出来る修理内容は限られていますので、対応出来ない製品の方が多いかもしれませんが、それでも今後はお店で販売した商品以外でも少しづつ家具修理の依頼を受けていこうと考えております。ので、ご興味あればお気軽にご相談下さい~(宣伝))

今回のこのスツールはスウェーデン、EDSBY VERKENというメーカーによるものだそうです。
修理を依頼いただく際に事前にメールで写真を送ってもらったのですが、最初、英国のErcolの製品かな?とか思いましたが(知らなかったのでお客様に教えてもらいました)可愛いスツールですよね。
って後から調べたらIlmari Tapiovaara(イルマリ・タピオヴァ―ラ:フィンランドの人気のあるデザイナーさん)によるもの!?ファネットシリーズのスツールのようです。たしかに言われてみればそんなデザイン。(もっと観察しておけばよかったかな)

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修理は、こんな風に全ての接合部が緩んでいましたので解体→組み直しというもの。

接合部が中途半端に外れなかったりすると解体作業も大変なのですが、ものの見事に簡単に外れてくれたおかげで助かりました。
お客様から預かった大切な家具ですので、普段の修理より緊張しますがスムースに修理も進み、お預かりした3日後には修理完了連絡。無事お届けしてまいりました。

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11月の後半からはソファの張替作業を行いました。

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モノトーンで格好良い仕上がりです◎

最近は作業の中でもこの縫製作業が一番楽しいんですよね~。
まだまだ張替職人としては半人前の半分の半分くらいの実力ですが
それでも日に日に上達していくのが自分でわかるので、それが何よりも楽しいです。

商品開発(というかまだまだ実験中)

さて、話少し変わりまして
11月の隙間時間に試験的にこんなものを作っておりました。

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じゃーん。シートクッション(座布団)です。

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なぜこの座布団を作ったのかというと、椅子やソファの張替時に生まれる端材を、何か有効利用できないか?とずっと考えていたんです。

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椅子の張替などで使う15㎜~20㎜厚くらいのウレタンフォーム。
多くの椅子ではおよそ縦横50㎝×50㎝くらいのサイズを使用するので
こんな風に20㎝巾くらいで余ったりすると使い途に困るんですよね。捨てるのももったいないし。

いつか使える日が来るかもしれない。捨てるのもったいない。
とか思っていると、どんどん溜まる一方で、保管するのにも場所をとる。

生地の余りだけであれば、作ろうと思えば他にも様々な製品に加工出来るとは思うのですが、折角ならこの余ったウレタンクッションも一緒に活用したいと考え、考え、考えたのですが、すると座布団くらいしか思いつかず。
まぁとりあえず作ってみよう、と。

:作り方:

1・余ったウレタンの断面を真っ直ぐ裁断してガタつきを無くしてから

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2つを合わせて接着。面積を広くしておく。

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2・丸く型をとって裁断する

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3・芯材にウレタンチップを入れてサンドイッチ状にして
(芯材のウレタンチップも端材を合わせて利用しています)

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4・端を閉じて角を丸くする。

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5・余った布をパッチワークして縫製して完成。

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どうでしょう?どう思います??(とりあえず聞いてみる)

作ってみて、あれ結構かわいいじゃん、と思いました。
まず妻に見せたら、妻も絶賛してくれましたし。
(...贔屓目なのは分かっていますよ。)

一応上にも書いていますが、まだまだ実験中。
お店での販売を目指すためには、課題もいっぱいあると思います。

<課題>
・滑る。
座り心地は悪くない。フローリングや畳の上での使用であれば問題はなく結構良いと思う。が、写真のような板座の椅子に据えた場合、角度のある座面だと特にお尻が滑ってしまい落ち着かない。滑り止めの加工をするか?(どうやって?

・いくらで販売するか。
余った材料とはいえ、使う生地は椅子の張替に使っている結構良いお値段の生地。まぁ材料費を考えないとしても、製作に一つおよそ2~2.5時間はかかる。
東京都の最低賃金は千円ちょっと。であれば、せめて2,000~3,000円くらいで販売出来ないと。。なんだか。ね。

・需要あるか?
そもそも論ですが。ぱっと作ってみて結構可愛かったけど、仮に3,000円の価値にするのであれば、使う生地の組み合わせやパッチワークの仕様をもっとブラッシュアップしていかないといけないと思う。
(というかそれ次第でもっと可愛くできる気もしている)

などなど。。

お店にいらした何人かのお客様にも、雑談がてらに意見を訊ねたりもしてみましたが、やはり面と向かってだからでしょうか、とても温かい、良い意見しかもらえず。(みなさんの優しさ。。)
でも本音は厳しい意見が欲しい、と思う今日この頃。
本当は完成もしていない試作品を公表することは控えた方が良いのでしょうが、そういう理由もあってこのブログにて公表してみました。

(このブログは他のSNSとかよりも、もっともっとオープンに書いていこうと考えているので、まぁお許し下さいませ。)

このクッションを継続的に作れるようになれば、資源の有効利用&廃棄量の削減、そして私自身の縫製スキルの向上に役立つかと、利点も多くあると考えています。

この試作品に対してもし何か思うことやアドバイスがありましたら、ご意見いただけると参考になりますm(_ _)m

体調を崩す

そんなこんなで過ぎていった11月の終わり。
あれは11月29日(金)の夜のことでした。

体調に違和感を覚え、翌朝すぐ病院へ行ったのですが、最初は季節柄インフルエンザの検査だけをして陰性とのことで、薬を処方してもらいホッとしておりましたが、なぜか日に日に悪化していくボクノカラダ。
週明けに再度違う病院へ行き、胃腸炎との診断を受けました。

辛いんですね、胃腸炎て。なにより体力を奪われるようで、3日ほど眠り続けました。月曜火曜と2日間臨時休業させて頂き、大変ご迷惑お掛けいたしました。もちろん現在は無事全快しておりますm(_ _)m

此処のところ寒暖差も大きく、少し疲れも溜まっていたのか、抵抗力が弱くなっていたんでしょうね。これからまだまだ寒くなっていくでしょうし、皆様も体調管理だけには十分に気を付けてお過ごしくださいませ。

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とそんな感じの”まにまに - 第19回”でした。

2019年も残すところあと半月。年賀状そろそろ作らないとな~
来週にはデンマークからまた新しい商品も幾つか入ってくるので、暮れにかけてまだまだバタバタしそうです。
が、必ず!年内あともう一回はこのブログも更新しようと思っていますので、また次回お会いしましょう。
最後までお付き合いいただきありがとうございました◎