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【ドキュメント】まん延防止適用を受けポジティブに休業を選んだ理由?! 新潟の飲食店経営者が語る苦悩と努力

広報担当の平田です!

この度の新潟県における「まん延防止措置」適用期間の2月13日まで、DDPグループの店舗『海鮮居酒屋 魚魯こ』、『肉山』新潟、『練馬鳥長・新潟』では、通常の営業を〝休業〟とさせていただいております。(2月6日の時点)

当初は、時短での営業継続も考えましたが…。
やはり、感染者数の爆発的な増加を考え、お客様と従業員の安全を考慮し、心苦しくも休業させていただく運びとなりました…。

今回の「まん延防止措置」を含めて、新潟県もしくは新潟市で、このような措置が出たのは3回目。前回までは、人数制限を設けながら、営業を続けていました…。

では!今回は、なぜ休業を選んだのか?
いったい、そこに何があったのか?!
その意図と、本意とは何なのか…!??

そこで、今回は、コロナで悩める飲食店の内側を、弊社代表 大谷茂に聞いちゃいました!同じ悩みを抱える、飲食店経営をする同志のみなさんへも、参考と励ましになればと思い、筆を走らせたいと思います!

あえて全店舗の休業を決断!その真意とは?

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平田: 今から2年前、緊急事態宣言が出て、1回目の時短期間(2020年の4月〜)の時は、テイクアウトへシフト。そして今回の3回目の時短期間になるわけですが、率直にどう思いましたか?

大谷: もう2年も前の話か…。コロナ、ほんと長いですね…(苦笑)。
最初は、コロナの事、わりと楽観的に考えていたんですよ。そういう人、多いんじゃないかな? でも、緊急事態宣言が出る頃にはコロナの感染患者が急増。
飲食店に軒並み人が入らなくなって、『肉山』とか『練馬鳥長』もキャンセルの嵐…。正直、あの頃は厳しかったですが、3回目となる今回は慣れましたね(笑)。

「よし!今回はどうしようか!」って、なんか前向きに捉えられました。

平田: ポジティブですね(笑)!
3回目となる時短営業の要請で、今回は休業を選ぶことになりました。
3店舗とも、新潟県より「新型コロナウイルス感染防止対策認証飲食店」として認証されていますよね? お酒を提供しながら21時まで営業をすることもできる中で、休業を選んだ理由は、率直になんなのでしょうか?

大谷: 「営業しても良い状態にならない」っていうのが本音ですね。
新潟県の新規感染者数も多いので、もちろん飲食に出る人も少なくなりますよね?
それに、せっかく食事に行っても〝黙食〟になって、ワイワイと楽しめる環境じゃないですし…。

飲食店って、やっぱりみんなでワイワイしながら、食事を通して〝楽しい時間を共有する〟ことが本来の価値だと思うので、そういう意味で、営業しても良い状態にならない…。

それなら、スパッと休みにして、スタッフにはまん延防止後の営業を万全にできるようにする〝準備と休養の期間〟にしてもらおう!って、そう思いましたね。

平田: 確かに、いつものにぎやかな雰囲気にはならないですよね…。
先程、まん延防止後の〝準備の期間〟とおっしゃってましたが、どのような事に取り組まれてるんですか?

大谷:スタッフの技術向上と、新メニューの開発ですね。
この2月から新入社員が入ってきて、研修を始める予定だったんですが、それができない。なので、まずは自宅で包丁の使い方を覚えてもらおうと、独自の課題を出してます。

他の社員たちは基本休みなんですが、休業期間が長いので、技術面のインプットとアウトプットを両方やってもらいながら、新メニュー開発の提案を出してもらったりしてます。

また、通常の営業スタイルは完全に〝休業〟としましたが、それでもお客様に楽しんでもらうような企画は、無理のない形でやって行こうと思っています。
『肉山』の恵方巻きの企画とか、期間限定でステーキ『肉山』も企画してますよ!

『肉山』新潟だけランチ営業をスタートするのは何故?!

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平田:ステーキ『肉山』!
具体的にどんな企画になるんですか?

大谷: そうなんですよ!
2月4日からステーキ『肉山』と題して、肉山を期間限定でステーキ屋さんとしてオープンさせます。『肉山』でメインで使ってるお肉は、熊本の「あか牛」という赤身の美味しいお肉、これぞ『肉山』の赤身肉ってお肉なんですよね!

※熊本県産「あか牛」についての記事はこちら

『肉山』では、そのお肉を年間で大量に確保してるんですよ。そのおかげで、美味しいお肉を安く提供できているんですが、営業しないとそのお肉を余らせてしまうことになる。

さて、どうしようか?

と、考えてたんですが、先程言ったように通常の営業を行っても、半分くらいの予約がキャンセルになったりして、なかなかベストな形では営業できない。

それなら、いっそのこと「お酒を出さないステーキハウスの営業を予約無しで行ってしまえ!」みたいな感じです。

なかなか予約が取りづらくて、お店に来られない方や、『肉山』のお肉を食べたことがないって方も多いと思うんで「予約不要のランチでステーキ店の営業!ステーキ『肉山』OPEN!」って流れです(笑)。

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平田: 食材を無駄にせず、新規のお客様との接点を作るためですね!
でも、『肉山』のパフォーマンスをランチで実現できるんですか?

大谷: ステーキ1品だけにメニューを絞れば、お客様がいらっしゃった時点で集中してお肉だけを焼くことができます。そうすれば『肉山』のパフォーマンスを保ち、満足度の高いサービスが提供できるんじゃないかなと思ってます。

メニューも【ステーキセット:2,700円】で、考えてます。

ランチの値段設定としてはちょっと高いんですが、実はかなりお得なんですよ!『肉山』で、メインで使ってる「あか牛」を使ってるんで、もう売っても売っても利益は出ないんですよね。実は…(笑)。 

平田: それは、かなりのチャレンジですね(笑)!

大谷: 言わない方がよかったかな(笑)?
でも、少しでも美味しいお肉を食べて喜んでもらって、『肉山』の通常営業にも「行ってみたいな~」と、思ってもらえれば良いかなって!
これを読んだ方はどんどん来て欲しいですね。

売れば売るほど涙目になっちゃいますけどね(苦笑)。 

最初の時短期間はテイクアウトが大反響に

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平田: 話を少し過去に戻しますが、2年前の最初の時短期間。
今の心境とはだいぶ違うと思うんですが、当時はどんな心境だったんですか?

大谷: いや~、あれは思い出したくないよね(笑)!
お店を空けていても、お客様が入ってこない日が続いて、毎日見たこと無いような悪い売上で…。

コロナの影響で、売上が〝0〟になる…。

売上って社会からの評価じゃないですか。その評価が〝0〟って、今までやってきた事、全てを否定されたような…。

うちの会社ダーンディッシュプロジェクトのミッションに『食の力を信じて、その価値を刷新しつづけ、社会に活力を与えます』なんて一文があるんですが、そのミッションも含めて、存在自体が、完全に否定されたような、切ない気分でしたね。

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平田: そうですよね。私もその当時お店に立っていたので、悲惨な状況でしたよね...。そんな状況から、テイクアウトをスタートすることになるんですが、気持ちの切りかえってできたんですか?

大谷: う~ん…。〝創業者ハイ〟というか…。
なんかやらなきゃみたいな感じだったんですよね!

平田:〝創業者ハイ〟ですか?!

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大谷: そうそう(笑)!
「今まで頑張って作り上げてきたものがゼロになってしまうのかなぁ…」
「また、最初からやり直しか…」みたいな感じだったんですよね。

そう考えてたら…。

「あれ?今はひとりじゃ無い!」
「こんなに信頼できるスタッフが沢山いる!」
「1人でスタートした時に比べたら、圧倒的にプラスじゃん!」
「みんながいたら、なんかできるんじゃね?」

みたいな感じになって、そこからロッキーのテーマが流れ始めましたね(笑)。

平田:ロッキーのテーマ(笑)!

大谷: いや、流れるでしょ!リピートで(笑)!

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そこからは、ポジティブに考えることができましたね。
外に出れなくて悶々としていても「おウチでも食事を楽しむよね?」、それなら「僕らが家で楽しめる食事を提供したらいんじゃない?」って…。

お店も全部閉めて、全店舗(当時直営店5店舗)の店長・料理長のマンパワーを集約して
「最高のものを作ってやろう!」
「食の力を信じて、私たちの価値を証明してやろう!」
って、そう思ったんですよね!

平田: 過去のSNSなんかをみていると、4月7日にはテイクアウトの告知をしてました。新潟の飲食店の中では、かなり早い方でしたね。

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大谷: そうそう、そう思いついたら早いんですよ(笑)。 
〝創業者ハイ〟になってるし、創業当初の気分になっちゃてるからね!
ウチは鍋セットとかそういうものを一気に商品開発して(笑)。

平田: 恐るべし〝創業者ハイ〟ですね(笑)!
SNSを活用し始めたのもこのタイミングでしたよね?

大谷: そうですね!
ホームページを使ってお店の告知していたタイミングだったから、ホームページにテイクアウトの特設ページを開設して、それを一気にSNSで拡散させてね!
テレビ取材なんかも後押して、ものすごい反響ありましたね。もう駅前の大型店舗の海鮮居酒屋 魚魯この2階の客席が事務所のようになってました。

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注文のしやすさに徹底的にこだわって、LINE@からもオーダーを受けれるようにしたら、受付開始と同時にLINEが鳴り止まなかったよね!

受付マニュアルも作って、マックス4人体制ぐらいで受付してたね(笑)。

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平田: あれはすごい反響でしたね…。
僕らもテイクアウトに慣れてないから、お渡しに時間がかかって、受け取りを待つお客様で行列ができちゃってましたね…。お客様に申し訳なかったです…。

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大谷: あとは、通販サイトの活用かな?
OMAKASE』の通販サイトに載せたり、自社でも通販用のサイトをつくって、全国への通販も始めたら、強烈なインフルエンサーの『うどんが主食さん』とか大阪の『まりこママ』とかが取り上げてくれて、もう、テイクアウトと通販のオーダーでパンク寸前だったよね!

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冗談抜きで、「日本海側の飲食店で1番テイクアウト売ってるんじゃないの?」って、思ってましたね!

「食の力を証明した!」
「俺たちのやってきたことは間違いじゃない!」
「こんな時でも、人は食で笑顔にできる!」

って、素直に嬉しかったですね。「僕らの存在意義を証明できた」って、充実感と達成感をすごい感じていたんですよね。ホントに!
そんな中、スタッフから「もう忙しすぎてついていけません」って言われた時「え?」ってなったんだけどね…(苦笑)。

平田: いや、あれは本当に忙しかったですよ!
朝から晩まで働いてって感じでしたもん!
本当に嬉しい事なんですが、めちゃめちゃ大変でしたね…(苦笑)。

大谷: ホント、そこなんですよね。
『魚魯こ』の厨房も、そんなに大きな厨房じゃないし、テイクアウト向けの造りにもなっていないから、仕込みの時間が長くなったり、慣れない作業の連続だったりとかで、結果スタッフをかなり疲弊させてしまってたんですよね...。

「食の価値を証明したい」「飲食店の存在価値を示したい」て思ってたのは、〝創業者ハイ〟になってる自分が、「自分自身の経営者としての価値を証明したい」になっていたんですよね…。 売上を回復して自己満足していただけだったんですよ...。

ここは、大きな反省点です。

2回目の時短期間はスタッフのモチベーションがダウン?!

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平田: 2回目の時短期間では、テイクアウト営業を行わず、シンプルな時短と人数制限をして、席の間隔も開けて営業をすることを選びましたよね? 

大谷: さっきも少し触れたんだけど、1回目の時は、とにかく「食を楽しんでもらう!」という気持ちが強くて、原価も度外視し、労働環境としても良い状況で運営できてなかったのが大きくて。テイクアウトをやる選択肢はなかったですね。

それで、少しでもお客さんが来てくれるなら営業しょう!と思い。時短での通常営業を選択したのですが、全然客さん来ないんだよね、仕込みをしても無駄になる、食材も沢山ロスが出る。そんなか、飲食業界の将来不安も合わさって、スタッフのモチベーションは下がる一方。
結果、離職するスタッフも出始めたんで、これはダメだなって…。

平田: なるほど…。
離職したスタッフが、今年から復職するってドラマもあるんですが…。そこはまた別の機会にでも話しましょう(笑)。

大谷: そうだね!また今度に(笑)。

繰り返しになるけど、飲食店としては、やっぱりお客様にお店に来て楽しんでもらう事が一番嬉しんだよね。
テイクアウトと通常営業を、高いクオリティーで共存させることって実はとても難しくて、店舗で働くスタッフには、お店の営業に集中させてあげたいなって…。

そして、ECサイト『イチゼン』を立ち上げていたのもあって、店舗の通常営業だけを行う事にしたんですが、結果として失敗でしたね。

そして今回の休業へ!過去の経験は飲食経営の糧となった…

平田: その頃は、私、平田も本部の広報という役割になっていたので、各店舗どういう状況だったかよく覚えています。そんな過去の経験を踏まえて、今回の〝休業〟に踏み切ったんですね?

大谷: そうですね。
『肉山』や『練馬鳥長』は、満席だから成り立つ仕組みで営業を行っています。

※『肉山』新潟の仕組みについての記事はこちら

でも、「まん延防止」の期間中は、やっぱり人が出ないし、1組の人数の制限もかかっているので、当然満席は不可能になる。更に、感染対策を徹底していてもお客様のキャンセルも多いし、必然的に経営もきつくなる…。

でも、それ以上に、お店が暇なのが、働いてるスタッフのモチベーションを下げる一番の要因になるんですよね。なかなかベストなパフォーマンスでお店を開けられないなと感じてましたからね。

平田: お店の顔となるスタッフのモチベーションって大事ですよね。

大谷: ホントだよね!
来てくれるお客さんが食事を楽しむ環境が整っていて、私たちも満足いくサービスが提供できて、始めて飲食店は本来の〝存在意義〟を示せるんだと思うよ。
だから、満足いく環境が整わないのに、無理に営業する必要ってなんだろうなって考えて、今回は〝休業〟という選択肢を選んだ理由になりますね。

平田: その通りですね!
本日は色々とお話しいただいて、ありがとうございます!
最後に、ひと言、読者の皆さんにメッセージをお願いします!

大谷:コロナのおかげで気付けたことって、私自身、本当に沢山ありました。
普通にお客様が来てくれる喜び、飲食店の価値や存在意義、創業当初の熱い気持ちとか、スタッフへの配慮や職場環境の大切さ…。

ほんと、そんな基本的なことから考え直した時期でした。
もうコロナが、終わりのような話方ですが(笑)。

でも、そのおかげで、私自身パワーアップできたことが沢山あったと思います!
これからもダーンディッシュプロジェクトは、食の力を信じて、その価値を刷新しつづけ、社会に活力を与えます。

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みなさんとまた笑顔でお店で会える日を楽しみにしています!

・ ・ ・

というわけで、今回は弊社代表 大谷茂に話を聞いてみました。

新潟はあと1週間ほど「まん延防止措置」が続く予定です。(2月6日の時点)
飲食店としては厳しい時期が続き、悩まれている同業の方も少なくないと思います。弊社の考え方や今までの経験と実績が、少しでもそんな方々の参考になればと思い、今回はこのような内容になりました。

今後も飲食店の方に向けた記事を定期的にアップしていきます。
その時はまたご覧になってください!


ダーンディッシュプロジェクトでは今年も、一緒に働いてくれる仲間を募集中です。
興味を持った方はぜひ弊社Recruitページからお問い合わせください!


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