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「会計士からVCへ」Dawn Capital Director山﨑のライフストーリーと、今彼は何にワクワクしているのか。

こんにちは!Dawn Capital インターンの八並映里香です。
今回はメンバー紹介第一弾として、 Directorの山﨑大世さんについて、インタビューしていきます。

【プロフィール】
山﨑 大世/ Taisei Yamazaki
2014年に慶應義塾大学在学中に公認会計士試験合格、2016年KPMGあずさ監査法人入社。上場企業から非上場企業まで幅広いクライアントを監査。法人内での採用プロジェクトにも参画し、リーダーを経験。採用プロジェクトを通じて人のマインドを動かすことに対する関心が強まり、CSR活動の教育分野にも精力的に参加してきた。2020年1月より、Heart Driven Fundの世界観に共感しジョイン。多くの投資の意思決定に関与。2022年よりDawn CapitalのDirectorを務める。

9年間のラグビー生活ののちに、『3つの軸の掛け算』のもと公認会計士を志す。

——— こんにちは!本日はよろしくお願いします。
早速ですが山﨑さんのキャリアについて伺っていきたいと思います。
新卒であずさ監査法人に入社していますよね。
なぜファーストキャリアに会計士を選んだのでしょうか?

実は、初めから会計士になりたいという明確な意思を持っていたわけではありません。
何かの一番になれるもの、ラグビーと同じレベルで夢中になれるもの、得意な数字系の能力が活かせるもの。
この3つの軸で考えた時に、会計士という選択肢がふと出てきたんです。

僕は小学4年生から高校までラグビー部に所属していて、全国優勝を本気で目指すようなチームに所属していたため、常に一番を目指さなきゃいけないというマインドを強く持つような環境にいたんですよね。

しかし、膝がボロボロで満足にトレーニングが出来なくなっていくもどかしさに加えて、高校の県大会の決勝で当時の高校日本代表に選ばれていた相手とマッチアップした際に、努力では超えられない高い壁を感じたこともあり、完全に燃え尽きてしまいました。

それでも大学でラグビーを続けるかどうかは正直、非常に悩んだのですが、当時の人生の過ごし方に対する反骨心が最後の決め手となりました。

振り返ってみると、それまでの僕は、両親が用意してくれたレールの上を全速力で走るような人生を過ごしていました。まさしく、ラグビーを始めたのも親が好きだったからでした。
しかし、人が決めたレールの上を全速力で走っていると、上手くいかなかった時に他責思考になってしまうという問題に気付きました。

だからこそ、大学に入るタイミングで自分のレールを自分で敷いてみて、そこを全速力で駆け抜けることへのチャレンジを決意しました。
失敗したら自分のせい、という凄くシンプルな戦いへの道を、ワクワクしながら選択したことを覚えています。

——— 山﨑さんのトップ志向が故に高校時代に悩みに直面し、ラグビーではなく別の道を歩むきっかけとなったのですね。

ラグビーを大学でやらないのであれば、他に何か打ち込めるものがないかと考えた時に、弁護士の資格を取ろうと思いました。弁護士である祖父の影響や僕が法学部に所属していた影響が強かったのかもしれません。
しかし、実際のところ、法律には全く面白さを感じられませんでした(笑)。

そこで、医師・弁護士と並んで三大資格の一つである会計士をやってみようと思いました。
何かの1番になりたいと思っていた私にとって、経済界のNo.1である会計士の資格はとても魅力的だったからです。

また、高校までずっとラグビーをやってきて、このままで将来やっていけるのかなという不安もありました。どんな企業に行ったとしても、会社の名前で仕事をするのではなく、自分の名前で仕事ができるようになりたいと考え、その点でも資格を持つことは武器になると思ったことも要因の一つです。

——— スポーツの道を諦めた後も、それとは別のフィールドで人一倍の努力を積もうとするストイックさが山﨑さんらしいですね。

『定められた答え』と『存在しない答え』。正反対のゴールを追い続けた監査法人時代

——— 公認会計士の資格取得後は、なぜあずさ監査法人に進まれたのでしょうか?

いわゆるBig4からあずさを選んだ理由は、高校時代まで非常にお世話になっていたラグビー部のコーチがあずさの出身だったからです。

その方は自分と同じポジションをやっていた人で、マンツーマンでとても熱く教えてもらっていました。だからこそ、ラグビーを辞める時は絶対にひとこと言わなきゃと思って『すみません、ラグビー辞めて会計士目指します』と正直に伝えに行きました。

そしたらなんと『俺、会計士だよ』と言われたんですね。びっくりしました、そんなこと聞いたことなかったから(笑)『試験に通ったら一緒に働こう』と言われ、ストレートで試験に合格して絶対にあずさ監査法人にいこうと決心しました。

——— お世話になっていたラグビー部のコーチがたまたま山﨑さんが志す会計士の出身だったとは、かなりミラクルな経験ですね。
監査法人時代で得た印象的な経験やスキルについてもお聞かせください。

監査法人では、主に二つの仕事をしていました。
1つは、通常の監査業務。そしてもう1つは、監査法人全体の採用プロジェクトの仕事です。

監査の仕事は、すでに年間で決まっている細かなタスクをルーティン的にこなすものです。仕事の仕方としてはあらかじめ決められているタスクを、いかに効率的に消化するかが重要な能力だったと思います。

その中で、立場上いろんな会社の偉い方とお会いする機会がとても多かったです。キャリアの若いうちに、目上の方とお話しできる機会が数多くあったことは貴重な経験となりました。これは、ベンチャーキャピタリストという仕事でも非常に活きている経験だと思います。

2つ目の採用プロジェクトというのは、いわゆる新卒リクルート方針を年単位で決めていくものです。いろんな年齢層のメンバーが集って話し合うのですが、自分は入社二年目で若手層のリーダーに指名され、プロジェクト全体を統括する立場として活動させていただきました。

Big4の採用方針、採用戦略、就活生からの評判というのは毎年変わります。そこでうちが就活生からどう見られているのか、どう見せていくべきかという分析や、他のBig4に対してどう勝っていくかという戦略を構築する機会に恵まれました。

採用という活動を通してKPI管理に対する頭の使い方や、事業会社のような仕事をしている感覚をここで得られたのは大きかったです。

——— 監査業務と人材採用という二つの仕事は随分趣が異なるものだと思うのですが、どのような姿勢をもってそれらに取り組んでいたのでしょうか。

監査業務においては、定められたスケジュール、ガッチリと決められた会計や監査基準という、圧倒的に正しい『答え』がありました。だから、その『答え』にアプローチするにあたって最善の方法は何かを考える思考の癖を持っていました。

しかし事業会社的な採用プロジェクトの業務においては、決められた『答え』がないんですね。

『答え』が存在しないからこそ、まずは何を答えにするのか自分で導き出す必要があり、どう周囲とコミニュケーションをとりながら自分のスタンスを確立させていくかを熟考しなければいけませんでした。

『定められた答え』と『存在しない答え』という正反対のゴールに対して、いかにそれらに対応してアプローチを変えていくか。これが二つの仕事の間でのマインドチェンジの核でした。

——— あらゆる仕事に的確に対応なさる山﨑さんの臨機応変さは、ここで培われたんですね。

監査法人からCVCへ。リスクある決断を促した様々な要因とは?

——— 監査法人で3年半働いた後、なぜ事業経営・投資サイドへと大きくキャリアの転換を行ったのでしょうか。

まず一つは、事業会社に行きたい気持ちが膨れ上がってきたことです。監査業務と採用プロジェクトの仕事では、僕はプロジェクト的な働き方の方が楽しかったんです。

当初は監査法人のパートナーになると思って働いていましたが、プロジェクト的、事業会社的な仕事がしたくなってきたんです。そして転職というリスクを取るのであれば、いかにレバレッジのあるリスクをとるかという観点で、大企業よりもスタートアップに行きたいというマインドになってきました。

ただ、監査法人にいたのでスタートアップのことはよく分からなかったんですね。その状態でスタートアップ界隈に飛び込むのは勇敢にリスクを取るというよりも、無謀な負け戦をしにいく感覚だなと…。

それを踏まえて、スタートアップ業界全体について詳しく知れる上に、起業家の熱いマインドにも数多く触れられる場所に行こうと考え、自分が数字を触っていたこと、多くのスタートアップに関わることのできるVCの立ち位置が理想だと考えました。

独立系VCだとキャリアがVCに絞られてしまう懸念もあり(実際は全くそんなことはないのですが笑)、事業会社とスタートアップ両方の要素をもつCVCに行こうという気持ちが強くなりました。

——— なぜ数あるCVCの中からアカツキのHeart Driven Fundを選び、参画なさったのでしょうか?
※(Dawn Capitalの前身である株式会社アカツキの投資プロジェクト。以下HDF)

幅広く転職先を検討しながらHDFの初回面談も受けたけれど、実はあまりピンと来なかったんです(笑)

しかしちょうどその後のタイミングで、本当にたまたま『ハートドリブン』という本を読んだんです。これはHDFの属する株式会社アカツキについて、創業者であり元CEOの塩田元規さんが書いた本なのですが、ビジネス書だと思って読んでいたら、それを超えて人生についてまで考えさせられ、本当に感銘を受けました。そこで、アカツキという会社に非常に興味を持ち始めたんです。『めっちゃいい会社じゃん!』と(笑)

次の面接では石倉さん(元HDF責任者、現Dawn Capital代表パートナー)が出てきまして、『監査法人を出た人は基本お堅くて真面目な印象があるのに、この人はなんて意欲的でエネルギッシュなんだ』と衝撃を受けました。

このように刺激のある人のそばにいていろいろなことを学びたい、まだ黎明期のHDFに携わり、個人の裁量が大きい中で思い切り働きたいと考えたんです。

事業会社とスタートアップ両方の経験を積みたいというマインド、アカツキへの感銘と関心、石倉さんから受けた刺激、求める仕事の裁量の大きさが奇跡的に組み合わさった。これらの要素を総合的に判断して、HDFにジョインしました。

——— たくさんの要素が、山﨑さんの決断を後押しする決め手となっていたのですね。

Heart Driven Fundでスタートしたキャピタリスト人生。
Dawn Capitalへ活動移行後も生き続ける、投資経験やマインドセット

——— HDFにジョインした後は、どのような投資を行ってきましたか?

HDFの投資キーワードとして真っ先に挙げられるのが、『エンタメ×toC』です。それはDawn Capitalとして再スタートした今でも変わりません。

ステージはシードからシリーズAがボリュームゾーンです。一方でポートフォリオ戦略の中でミドル・レイターへの投資を行うこともあります。
チケットサイズも柔軟で、1,000万から数億の案件までを扱ってきました。

HDF時代の投資実績

——— スタートアップ業界での仕事を通じて、山﨑さんが個人的に関心を持つようになった分野・領域はありますか?

最近ではWeb3領域に関心を抱いています。基本的に新しいものが凄く好きだし、そこにワクワクするんです。ただこの『新しい』とは単に最近出てきたモノ、サービスというわけではなくて、何らかの枠組みを変える、書き換えうるような概念であるという文脈ですね。

Web3は、これまでのWeb2時代のインターネットの概念をひっくり返すかもしれません。Web3の技術自体や用途の多様さにももちろん惹かれる部分はありまし、何より自分が生きている時代にこんな面白いものが出てきたということにワクワクしています。

2022年7月6日には、メタバース『MEs』を開発する日米スタートアップのO株式会社への出資を発表させていただきました。

——— ずばり、Dawn Capitalの投資判断基準を教えてください!

チームの中で常に注視しているのは、ユーザーとサービス/プロダクト、またはユーザーと企業の関係値で、どれだけ熱狂的なコミュニティを構築できているか、将来的にも熱量高く保てるエコシステムを構築できているのか?ということです。

例えばInstagramは、若者を中心にいろんなユーザーを虜にしていますよね。極端な例で言うと、数分に一回はInstagramを見る人だっている。企業/サービスとユーザーとの間で熱狂的なコミュニティが出来上がっているとはいえ、それを更に深掘ると、ユーザーがそのサービスにワクワクを求めているからだと思います。

『投資基準は、ワクワクするかどうか。』をコアとしてきた我々の投資チームにとって、人々がどれだけそのサービスに熱狂的にワクワクしうるかという部分を判断の主軸に置いています。

もちろん、これはDawn Capitalでも同様です。

——— 『エンタメ×toC』『ワクワクするかどうか。』というキーワードは、HDF時代から引き継がれているマインドですね。
では、山﨑さん個人が大切にしている投資基準などはありますか?

先ほどの話に繋がりますが、自分がいちユーザーとして対象サービスにどれだけワクワクできるか、といったことをまず見ます

ワクワクするものがないと熱狂的なサービスは作れないというのが私の信念です。エンタメ×toCといった業種に投資する以上、その要素は非常に重要なウェイトを占めています。

もう一つ重要に思っているのは、感性的な右脳要素と、論理的な左脳要素のバランスが取れているか(非常に難しいことは重々理解していますが。。)ということです。

『ワクワク』といった要素はどちらかといえば右脳的で、それ単体だけだと不十分。感性や直感だけではカバーしきれないリアルな部分をいかに事業計画に落とし込めているかということが、投資の際に念頭に置いていることです。

——— 右脳要素と左脳要素とは、独特の観点ですね。

そうですね。またこの右脳と左脳をバランスさせるマインドは、投資基準だけではなくDawn Capital全体においても行動指針となっています。

投資家として適切に事業計画とリターンをジャッジすることは当然のことです。しかし、それだけを固執するようなファンド/キャピタリストではありたくないなと。

右脳的要素をいかに盛り込めているかということを追求することでユニークなポジションを確立したいですし、それが『Dawn Capital』の存在意義となれると嬉しいです。

———そんなDawn Capitalと相性のいい起業家はどんな人でしょうか?

個人的には、以下の三つの要素を備えている人だと思います。

一つ目は、右脳的要素と左脳的要素のバランスを大事にしているということです。論理と感性の両輪がちゃんと成立しているかが鍵となっていくと考えます。

二つ目は、物事をやり切るマインドを持ち合わせていることです。事業を手放さず、執着心や達成感を持って未来を見据えているかといったところです。

そして三つ目、特にこれが何よりも重要ですが、起業家自身も狂気的にプロダクトや構想にワクワクできているか?ということです。

ユーザーや我々キャピタリストがどれだけプロダクトにワクワクできていても、やはり最後は起業家の方自身が狂気に近いようなワクワクや熱量を持っているかどうかが非常に重要だと思っています。熱量を持って事業に取り組めている起業家には、毎回惹き付けられてしまいます(笑)

——— 起業家たちを支えるDawn Capitalの強みや、メンバーの個性やスキルに対してはどのような印象を抱いていますか?

メンバー全体に対して共通して感じていることは、『人間的魅力が豊か』ということです。仕事の関係というドライな雰囲気に留まらず、人と人との温かい関係性をきちんと構築していきながら関わっていける魅力があります。

起業家が『VCの人間だから』と変に距離を置かなくてもいいようなフラットな対話を皆が心がけようとしていることは、Dawnらしさと言えるかもしれません。

また、とある領域に関心を持ったらとことん知識を深め、積極的に体験する側面もメンバーの強みだと思います。特にtoC領域の投資が多いため、投資案件としてお話を聞いた直後にそのサービスやプロダクトに課金する、という文化も非常に良いなと思っています。toCサービスは触って感じてなんぼの世界だと思っていますので。

継続的かつ多角的な経験をもとにチーム内で多種多様な意見が飛び交う環境が整っているのが、Dawn Capitalの素晴らしいところです。

メンバーと談笑する山﨑さん

——— みんなで広い視野を共有できている温かくて対等なチームであるということは、インターン生である自分も強く感じています!

それでは、最後の質問です!Dawn Capitalは、起業家にとってどのような存在でありたいですか?また山﨑さんは、どのようなキャピタリストでありたいですか?

月並みな回答ですが、起業家の方から選ばれる存在でありたいです。そのためには、起業家の方をリスペクトし、いかに起業家の方が事業成長に気持ちよくフォーカスできるか、という観点で土台づくりのご支援をしていきます。

個人としては、惜しまずGIVEし続けられるキャピタリストでありたいです。それは単に情報提供するだけでなく一緒に泥臭く手を動かすところも意識的に実践していきたいと思っています。

———本日はインタビューにお答えいただき、ありがとうございました!
最後に、ここまで読んでくださった方々に一言お願いします!

「ワクワクするかどうか」この言葉に一番ワクワクしているのがDawn Capitalのメンバー自身です。常に世界中からワクワクを探し、一緒に育てていけることをファンドメンバー全員が心待ちにしています。ぜひ、出資のご相談などお気軽にお問い合わせください。

【編集後記】
山﨑さんの趣味は映画鑑賞で特にアベンジャーズ、キャプテン・アメリカが大好き。最近ハマっていることはSTEPNで歩き倒すこと、嬉しかったことはトップガンが想像以上に面白かったことだそうです!!(笑)

ぜひぜひ次回のメンバー紹介もお楽しみに!

インタビュー・文/八並映里香(インターン)