暁の手記 その31
私は不謹慎な冗談が大嫌いである。それがどんなに相手がふざけていたとしても程度があると思う。
今日、私は遠出していた姉を最寄りの近くまで迎えに言った。父に会いたかったらしい彼女は都心まで向かっていたので、マックで落ち合うことにしたのだ。マックで落ち合って、いつも通り母に内緒にすることを確認してから私は姉と話したりしておやつを食べた後に帰宅しようとした。
改札をくぐって後から来る姉を待っているとピンポーン、と残高不足を知らせる音が鳴った。笑いながらチャージするわと言う姉を待っていると父に腕を取られた。
「置いてこうよw」
向こうは軽い冗談のつもりだったんだろう。だが、腕を引かれたのが嫌で私は言い返した。
「今チャージしてるでしょ!」
そう言うとすごすごと後ろに下がった。姉と無事合流したものの、ホームに行くと父が機嫌を悪そうにしていた。あんな不謹慎な冗談を言ったのは自分なのに、自業自得なのに機嫌を悪くしてるってどういうこと?と思った。でも普段あまりあからさまに機嫌を悪くすることがないので軽くパニックになりながら何度も謝ると拗ねた顔で父は言った。
「そこまで怒られなきゃいけないのかなって」
そこではたと冷静になった。当たり前だろと思った。私は冗談でも誰かを置いていくということにいい感情は浮かばない。前からこういう人だった。
あるキャラの言葉を借りるならば、「笑えないジョークだ」。本当に。
父の信頼がガラガラと音を立てて崩れた瞬間だった。
結局、発作を起こしながら私は家になんとか帰宅した。色々とボロボロだった。自分の部屋で、隣の部屋から他の3人の声を聞いて絶望と憎しみを覚える。
頭も痛い、体のあちこちも痛い、心も辛い。
ああ、明日そのまま目覚めなければいいのに。
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