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レノファなスタジアムの話(14)レノファ版スタつく②きらら浜編

(トップ画像はWikipediaからお借りしました)

前回から、レノファの球技専用スタジアムを作るとしたら具体的にどこ?的な話を始めています。

今回はスタジアム等の候補地の一つとして話題に上ることの多い、山口市阿知須の「きらら浜」です。

きらら浜とは

きらら浜とその周辺(国土交通省提供の空中写真

きらら浜は、国営干拓事業として1953年から1965年までに整備された「阿知須干拓地」を発祥とします。
全国で実施された食糧増産のための干拓地整備事業の一環だったのですが、様々な問題があって農地として用いられる機会はなくなり、最終的に1988年に山口県が国から土地の払い下げを受けます。

23年間の間に野生生物が生息する状況となっていたことから、山口県は一部の区画を自然観察公園(新光産業きらら浜自然観察公園)として整備し、残りの区画を再開発により有効活用を考えたようですが、その先鞭をつけるべく、当時の「地方博覧会」ブームに乗っかる形で、2001年に「21世紀未来博覧会」を開催します。
一定年齢以上の山口県民の方はご存じの方も多いであろう「山口きらら博」ですね。

博覧会会場跡地というのはその後公園整備やら再開発事業が行われることが多いのですが、きらら博跡地もご多分に漏れず「山口きらら博記念公園」として整備されることになります。
とはいえ、山口きらら博記念公園として整備されたのはきらら浜(阿知須干拓地)全体の約6分の1(自然観察公園も同じく約6分の1)。後に記念公園の拡張事業(大芝生広場の整備)が行われましたが、それでも敷地西側の半分近く、約1平方キロメートルが手つかずのまま残された状態です。

記念公園自体も拡張でかなり広大なものとなっていることから、山口県では2023年4月から「山口きらら博記念公園交流拠点化」に向けた組織を立ち上げることになっています。

「きらら浜」最大のネック

「きらら浜」は県が保有している土地(遊休地)なので、県がスタジアムやら諸施設を造るにはもってこいの場所ではあるのですが、いくつかの問題を抱えています。
最大のネックは「交通アクセスが悪い」ことです。

きらら博記念公園では様々なイベントを開催しています。
野外ロックフェスティバル「WILD BUNCH FES.」もその一つ。

3日間で7万人動員というビッグイベントですが、オフィシャルな交通手段は「新山口駅からシャトルバス」または「自家用車」というもの。
最大8500人収容の駐車場があるとはいえ、1日平均2万人超えの観客を自家用車だけで捌けるわけもなく、シャトルバスがアクセスのメインになっています。

とはいえ、新山口駅からのシャトルバスは主に新山口駅から延びる片側一車線の県道がメインルートで、他の道路とは立体交差になっているので信号がない代わりに、この道が渋滞すると逃げ道がない
なので「シャトルバスの遅延」という致命的な事態が発生するんです。

新山口駅からきらら浜までの県道はあらかじめ4車線(片側2車線)に拡幅できる用地が確保されているんですが、この間の約8.5kmを4車線に整備するのに、少なくとも長い橋3本(総合交通センター前からの高架橋と、今津川、土路石川をそれぞれ渡る橋)が必要なことを考えれば、数百億(スタジアムがもう1、2個建つくらい)の費用がかかるのは目に見えているので、費用対効果を考えるとねぇ…というところはあります。

自家用車に関しては以前の回で触れたとおりで、駐車場が1箇所しかない(WILD BUNCH FES.の時は入口2箇所で運用しているようですが)ので一度に多数の車が押し寄せることになり、結果これが来るときも出るときも渋滞の原因になるのですよね。

クルマ以外のアクセスは

では、シャトルバスと自家用車以外のアクセス手段はないのかといえば、一応あるにはあるんです。
「JR宇部線阿知須駅より徒歩約30分」というもの。

阿知須駅(Wikipediaより)

とはいえ、そもそも宇部線自体が山口線以上のローカル線(宇部市が主導して廃止の検討がされたほど)で、仮に宇部線が増発できたとしても最寄り駅から30分歩かされるというのはなかなかしんどい。
少なくとも「街中」の定義からは外れてきそうです。
だから、「WILD BUNCH FES.」でも、アクセスルートとしては推奨していません。

そういうことを複合的に考えると、今のままではきらら浜で千人単位の人を集めるイベントを定期的に開催できるような仕掛け(=スタジアムの建設)はなかなかしんどそうな気もしてきます。

裏を返せば、アクセスの利便性を本気で(ここ重要)向上させることが出来れば、土地確保の心配はないし、かなり優れた候補地になりうるポテンシャルはあるだろうと思います。
まあ、それを誰がやるのか、というのが非常に重たい話でもあるのですが。

というわけで、そんな重たい話をぶん投げつつ(苦笑)、次回は山口県で一番交通の利便性の高いであろう、あのエリアについて考えてみます。

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