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【勝手に予想】2030年までのHonda EVラインナップ (後編)

│ 各カテゴリーごとの予想

 前編ではHondaのEVラインナップ予想をテーマに、大まかな変遷とそれに至った理由を述べてきた。下のリンクからも読めるので、ぜひチェックしていただきたい。合わせてリソースも貼っておく。


後編では、22年9月現在の全17種(生産終了機種も含める)について、どうモデルチェンジしていくのかを具体的に予想する(図1)。明言されている新EV機種の関わり方が一番のポイントだが、上から順に見ていこう。量が多いので、気になるカテゴリーだけ見たい方は、目次からどうぞ。

【注意点】
・ 図中のMC間隔は、近年の傾向を見て5年として設定
・FMC翌年にMMCを設定(あくまで仮定)
・細かいMMCや一部改良などは一旦度外視(追いきれないため)

図1:Honda EV投入計画(2022年4月発表)

│ 軽自動車

 大好評のNシリーズは30年までに、「軽EV 3機種」へ変わるというのが、わたしの予想だ(図2)。

図2:軽自動車の予想


 まずN-BOX。22年上半期も軽・乗用含めた新車販売台数が1位に輝き(※1)、今やHondaの顔といった人気ぶり。老若男問わず、日本の隅々まで行き届いているから、インフラが整い切っていない今の状況で、早々のEV化は危険という読みだ。充電ステーションが近くにない、ガソリンより高いことを理由にした顧客離れは命取りになる。当面はMCを繰り返し、日産SAKURAの売れ行きや環境整備の状況を見つつ、EV化するにしても、計画の一番最後になるだろうと考えた。
 次に、軽商用EV。N-VANの後継として24年デビューと見るのは、いささか乱暴だろうか。22年8月は計2,301台(※2)、前年累計比で110.4%と自社目線では昨年よりもペースは好調。ただ軽4ナンバーは、法人利用の多さがものを言う。新車での同月比較になってしまうが、競合のスズキ エブリイは4,716台(※2)、ダイハツ ハイゼットカーゴは6,934台と、それぞれ2~3倍は売れている。キャンプ車としてではなく、法人から買ってもらわねば商用の意味がない。ダブルビック大開口のような良いところは引き継ぎつつ、軽EVとしてのイメージ刷新を早めに打ち出した方が、売り先の企業担当者も導入に向けた予算調整がしやすいというものだ。
 最後に、N-ONEとN-WGN。売れ行きの差が激しい2台だ。こちらも販売台数を見ると、22年8月はN-ONEが594台(※2)、N-EGNが2474台(※2)。堅調なN-WGNを尻目に、N-ONEは厳しい状態が続く。N360が連想されるネオレトロ的デザインで、20年のFMC時に、開発者責任者の宮本さんがおっしゃる通り、「N-ONEが好き」という指名買いが多いそう(※3)。だが、世間はハスラーのようなパッとみてわかるギア感強めの商品を求めている。市場かN-ONEのどちらかが変わらない限り、継続的な販売は難しいだろうか。

特別仕様車で商品力アップを試みるN-WGN

※1…Honda,プレスリリース(2022年07月06日)
※2…全自協,2022年8月 軽四輪車 通称名別 新車販売確報
※3…webCG,ホンダN-ONE【開発者インタビュー】(2020年11月19日)

│ コンパクト・ミニバン

 「e:HEVで乗り切る」がテーマの2カテゴリーである(図3)。というのも、N-BOX同様、Hondaのベテラン機種が名を連ねている。22年8月の新車販売台数ランキングを見ると、フィット 5,188台、ステップワゴン 4,614台フリード5,199台(※4)。Honda車では、フリードが6位でやっと食らいついている現状だ。フリードが16年のFMCから6年経ってもミニバンのエース選手でいる当たり、苦戦しているカテゴリーであることがよくわかる。オデッセイとシャトルのディスコンもその証拠。
 5ナンバーサイズを中心としたこのカテゴリーユーザーは、自社内で買い周りをしてもらえるため、メーカーと販売店にとって大事な顧客だ。だがN-BOX同様に、急激なEV化に対して、ユーザーのライフスタイル変容が追いつきづらいのも事実。掲げている2030年ビジョンの締めくくりに、FIT EVを発表するくらいしか、想像できなかったのが正直なところ。順当にMCを重ね、e:HEVの性能を磨き上げていくほかないだろう。
 Honda e に至っては、どう育てていきたいのかが不明瞭すぎる。電動化ビジネスのプレスリリースでも触れられておらず、宙ぶらり感が否めない。

図3:コンパクト・ミニバンの予想


もしもラインナップに無かったらとおもうとゾッとする


※4…一般社団法人日本自動車販売協会連合会,乗用車ブランド通称名別順位 2022年

│ SUV

 軽とミニバンしか売れないと言われていた定説を見事にひっくり返したカテゴリー。じわじわと人気が広がっている印象だ。だが、いまいちHondaは狙いが見えない(図4)。

図4:SUVの予想

 8月にCR-Vの国内生産の終了を発表し、ラージSUVから手を引いたかと思えば、すぐさまZR-Vの導入。マツダやトヨタはコンパクトからラージサイズまでSUVを取り揃える中、サイズ的にも価格帯的にも大きく差が無い2台で数年は戦うことになる。
 全固体電池+e:アーキテクチャー搭載、仮に既存2機種と似たサイズで、26〜27年に登場する場合、EVかe:HEVかをユーザーが選べれば良いなら、既存のどちらか1台は減らすことになると考えられないだろうか(ZR-Vが1台で終わらなければ)。新型として出すなら、ライズやロッキーなどの5ナンバーサイズで手軽に乗れるEVにした方が目新しく、若者から人気が出そうだ。

│ セダン・スポーツ

 スペシャリティ・フラッグシップEVが26年頃に登場。これ以外はあまりEV関連の動きがなさそう。新しいHondaのEV、とりわけ「走り」の分野でブランドを体現する役割があるのは誰の目にも明らかで、今から「次期NSXではないか」と妄想が捗る。
 しかし、アコードとインサイトの現オーナーは次の車に悩んでしまわないだろうか。Hondaのセダンに乗り続けたければ、シビック一択だからだ。見方にもよるだろうが、私がホンダカーズの営業スタッフだったら、シビックへの乗り換えを促しづらい。サイズも趣向も似て非なるからだ。新型クラウンに流れてしまうくらいなら、無理矢理にでもZR-Vあたりを勧めるだろうが苦戦は明白。Audi A6のようなミドルEVセダンが1台あると、繋ぎ止められそうだと感じてしまう。
 また、今話題のTYPE Rは、28年頃に生産終了と予想した。書いていて悲しくなるが、純エンジン車である以上、その運命は決まっている。CR-ZのようにFinal Editionが28年頃に登場し、静かに姿を消す(繰り返すが個人的には辛い)。仮にEV TYPE Rが出たとして、ファンからどう受け取られるのかはイメージできない。

図5:セダン・スポーツの予想

│ おわりに

 駆け足で紹介してきたが、いかがだっただろうか。完全に私見、かつ販売台数や経験にもとづく予想である点はお許しいただきたい。ただ、26年から中国を皮切りに打ち出すEV色は、反響次第で国内の様子見ムードを変える可能性は十分にある。既存機種からの切り替えを少しずつ進めていくという大きな読みは、あまり外れていないのではないかとも感じる。ぜひ、皆さんの意見もコメントで聞かせてほしい。

ご覧いただき、ありがとうございました。

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