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【勝手に予想】2030年までのHonda EVラインナップ (前編)

│ 勝手にラインナップを考えてみた

 多くのHondaファン、もしくは現オーナーは、同社の行く末に、いま何を感じているだろうか。アコードやインサイト、オデッセイといった看板機種の生産終了が発表され、21〜22年の間に10機種削減とラインナップの見直しが急速に図られている。EVへの集中投資に向けて、採算の悪い支出を少しでも減らす必要があるからだ。この約半年間、ファンでもある筆者としては、わかっていてもどこか寂しさが消えない日々が続いた。ならばいっそ、自分で予想してみようと思ったのが、今回の企画の発端である。少々量が多いので、前後編に分けてお届けしていきたい。

・前編:予想ラインナップと大きな考え方
・後編:各カテゴリーごとの予想と理由

車好きの妄想として、楽しんで読んでもらえたら、とてもうれしい。
後編は以下からもご覧いただけるので、ぜひチェックしてほしい。

│ 電動化を明確に打ち出した

 今年の4月12日。今から遡ること4ヶ月も前になるが、三部社長を筆頭に取締役が集まり、2030年に向けたHondaの電動四輪ビジネス計画が発表された。主な内容は以下の通り。

■ハード売り切り主体のビジネスから、ハードとソフトを融合させた商品を通じてお客様にさまざまなサービス・価値を提供するビジネスへ拡大し、事業ポートフォリオの変革に取り組む
■今後 10 年で研究開発費として約 8 兆円、電動化・ソフトウェア領域に投資も含め約 5 兆円を投入し、電動化を加速
■2030 年までにグローバルで 30 機種の EV を展開し、EV の年間生産 200 万台超を計画
■全固体電池の実証ラインに着手、約 430 億円を投資し 2024 年春に立ち上げ予定

Hondaプレスリリースより引用

内燃機関、特にハイブリッドと水素にこだわってきたHonda。ハイブリッドの火付け役となった2代目インサイトや燃料電池車FCXクラリティが目に浮かぶ(インサイトはスヌーピーと一緒にCM流れてたのが懐かしい)。ただ、21年にEUで提案されたZEV規制のような「脱・エンジン」の渦は、Honda然り、ハイブリッドが強みの国内メーカーを瞬く間に包んでいった。
 テレビからヒューンと音がすれば、日産のCMとすぐわかるようになったし、TESLAのモデル3はしれっとコンビニに停まるようになった。少しずつだが、国内外のメーカーは電気自動車とわたしたちの距離を日々縮めようとしている。老舗のHondaとはいえ、何かしら取り組んでいる姿勢は求められているとは感じていたはずだ。

│ 大胆予想ラインナップ

 さっそくだが、下の図がわたしの出した答え。冒頭で紹介したプレスリリースを元に勝手に予想した、2030年までのEVラインナップスケジュールである。当然既存機種の変遷とも関わってくるので、合わせて記載している。今回はこちらを元に話を進めていく。

図:2022-2030 Honda国内ラインナップ(自主制作)

※あらかじめ下記にはご了承いただきたい。
・ あくまで私見で異論も想定している
・ 実態と異なる結果になる場合がある(そうなる確率の方が圧倒的に高い)
「わたしはこう思う」という意見も、ぜひコメントに寄せていただきたい!

 いかがだろうか。肌色に塗りつぶされた箇所がEVの投入時期を示していて、黄色い線の引かれた26〜28年にかけて集中しているのが特徴である。
プレスリリースで明言されている通り、投入時期については、以下が計画されている。

2024年前半に、商用の軽EVを100万円台で投入
その後、パーソナル向けの軽EV、SUVタイプのEVを適時投入予定

Hondaプレスリリースより引用

24年にまずは軽自動車、しかも商用と届ける範囲を限定しており、軽パーソナル、SUVタイプの投入時期は明らかにしていない。ただ、今や月販台数で乗用車よりも売れる軽自動車のユーザー、高価格でも購入してくれるSUVユーザーに絞るあたり、国内は様子見にしたい意図がうかがえる。この3機種の登場予想はこうだ。

・商用軽EV
→ 2024年 N-VAN後継としてデビュー

・パーソナル軽EV
→ 2028年 N-ONE、N-WGN後継としてデビュー

・SUV EV
→ 2027年 VEZEL後継 or 新型としてデビュー

詳しくは後編で説明するが、大まかな考え方を述べていこう。

│ なぜ後継機として登場させるか

 主な理由は2つ。1つ目に、そもそもHondaは「2050までに四輪車の100%電動化」を掲げている点だ。あと20数年をかけてガソリン車を減らしていかねばならず、既存車種を「残す・残さない」の判断は慎重にならざるを得ない。

 2つ目は、27年からデビューする中国用EV機種を国内投入する際の余剰枠を残しておきたいと筆者が踏んでいる点だ。国内導入を熱望する声が高まれば、既にある商品をベースに使えるので、生産コストの増加だけで抑えられるし、販売力を補強しやすい。ただ、その際に国内専用の新型EVが多い状態だと、仲間内で需要を食い合ってしまう可能性が残る。

│ なぜ26〜28年頃に投入されるか

 競争力の高い商品投入が、Hondaの置かれた状況では必須だからである。この数字を見た読者は、「少々遅い」と感じるだろうか。たしかに、日産やTESLAに比べれば遅いかもしれない。ただ、全固体電池の独自開発と量産に成功したらと考えると、見方が変わるはずだ。リチウムイオンに比べ、コンパクトで高密度、耐久性も高く、安全性も高いがまだ製品化に成功している例がないと言われているが、Hondaはなんとそれを、自力でつくろうとしている。時間がかかるのも無理はないわけだ。
 もしこれが搭載された機種が販売されれば、既に流通しているリチウムイオンバッテリー搭載車よりも、安価で高スペックなポジションを確立できて、後発のHondaでもゲームチェンジャーになれるかもしれない。このバッテリー戦略こそ、事業の生命線になる。
 全固体電池の生産ライン立ち上げは2024年の予定で、並行しているであろう車両開発、とりわけEV専用プラットフォーム「e:アーキテクチャー」の採用開始は、2026年。おそらく広州の新工場で完成車組み立てを行うとすれば、先に10機種投入が宣言された中国が優先されるため、日本は後だろう。軽EVも鈴鹿製作所でつくると想像されるが、仮に「EVは全て中国で」という計画なら、輸入にも時間がかかる。よって、国内専用モデルを目の当たりにできるのは、実質28年頃からという結論に至った。

│ Hondaの意地を見たい

 2016年、FCXクラリティを世に出す際、車両だけでなく、岩谷産業とタッグを組み、スマート水素ステーションというインフラまで生み出した心意気は、まだ消えていない。全固体電池というエネルギーの元まで生み出してこそ、モビリティーメーカーとしての責務を全しようとする意地こそ、Hondaらしさではないだろうか。ただ、それと同時に3代目FITの時のようなリコール続きは避けてほしいと切に願う。国内のEVインフラはあまり進んでおらず、急いでことを仕損じる必要はない。Hondaの目指すカーボンニュートラル社会の実現に向けて、着実に歩みを進めるべきであり、車好きの端くれとしては、その行く末をゆっくりと見守りたい。後編では、ラインナップカテゴリーごとの未来を予想しているので、そちらもぜひ読んでほしい。

ご覧いただき、ありがとうございました。

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