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データを集めれば儲かる?

少し前ですが、電通がデータ銀行を設立するという記事が話題になっていました。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO34910190T00C18A9TJ2000/

こうした企業間でデータを共有・融通しようという構想は2010年代前半よりたびたび話題にあがっているように思います。

機械学習・深層学習やいわゆるAIが流行りだす前の時代に、ビッグデータ分析というワードが流行った時代が2000年代ごろにありました。その頃より、購買データを集めて顧客行動の理解や予測・ターゲティングに利用しようという活動はいろんなところで行われています。例えばCCCのTカードやLawsonのPontaカードのように、共通ポイント制度を作って購買データを収集する取り組みが盛んだった時代は、「購買データや顧客データを大量に集めれば金脈が発見できる」ように思われていた時代もあったと思います。(いまもそう思っている方も多いかもしれません)

一方で、実は購買データを利用して売上をものすごく伸ばすことが出来るかというと、そんなにシンプルではありません。もう少し言うと、データを自社の事業に使う場合と、他社に広告用に提供する場合で厳密には少し異なるのですが、両者に共通しているのは、

ROIが他の施策と比べて相対的に高く(効率性)
投資をした分だけリターンが伸びる(スケール)

というケースでのみ「データを利用して利益を上げる」ことができると考えています。

上記にあてはめて考えると、例えば、以下のような場合はデータを利用した利益が期待できる分野ではないかと思います(他にもあるかもしれません)。

・予測精度を僅かにでも改善し続けることで、利益が増え続けるケース(例: 融資における与信モデルやアドテクにおけるターゲティングなど)

・予測精度を僅かにでも改善し続けることで、人件費負担が大きいオペレーションのヘッドカウント削減や実質的な無人化が将来的に期待できるケース(例:巨大な工場の検品や仕分けにおけるAI導入、対応件数の多いユーザーサポートにおけるAI導入など)

結局の所、「データを集めれば儲かる」という単純なことではなく、データを集めた結果、そのデータを使って継続的に売上げを上げるないしコストを下げられるような構造を作ることができれば、自社で利用するなり他社に提供するなりで利益を上げられる可能性がある。と考えるべきです。

スタートアップや新規事業の場合は、もちろんマネタイズまで事前に設計しきらずに始めて、その後上手くいった例もたくさんあります。そんなことを考えるよりもスピード重視でまずはユーザーを集めようと言われることもあります。が、ことデータの収益化に関しては、成功・失敗両方の事例が増えてきており、マネタイズの方法がデータ利用に偏重していると事業の継続性そのものにクリティカルな影響を与えかねないので、早めの段階で見通しを立てておいたほうがよいのではと思います。

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