データ戦略の会社が考える「名前がない?データとビジネスを繋ぐ超重要な役割」
私もフォローしている、データ分析とインテリジェンス(@data_analyst_)さんがblogに上げていたアナリティクスディレクターという役割について書かれていました。この分野は、私も課題意識を持っている分野です。
分析業務と、それに付随する様々な業務を切り分けよう
私自身も、これまでに自分で機械学習のモデルを作ったり、それを経営層に説明したり、エンジニアに分析を依頼したり、一緒に開発をしたりして来ました。
その経験から、「分析すること」と、それに付随する様々な業務(現状の課題の把握や、企画立案・提案など)は明確に分けた方が良いと考えています。というのも、機械学習や深層学習に関連する分析技術は、その腕を磨くだけでも専門性が高い業務なので、それに加えて付随業務まで一緒に出来るひととなると、ほとんど世の中に存在しないのではないからです。
@data_analyst_さんの記事では「データサイエンティスト」と「アナリティクスディレクター」と2つに分けていましたが、このように2つの職種のひとが協力するスタイルは他の業界でも多くあるかなと思います。
例えば、、
広告制作の場において(ある外資マーケ人の告白 @markesaiyoさんのtweetより引用)
・クリエイティブ:遠くに飛ぶ
・マーケター:どっち向きに飛べば事業が成長できるかを見つける
あるいは、原作付きの漫画であれば
・漫画家:作品の設定とストーリーに合わせて、個々のキャラクターや場面を実際の絵に描く
・原作者:全体のストーリーや、それを構成するキャラクター・設定を考える
あるいは、オーナーシェフのレストランであれば
・オーナーシェフ:美味しくて、レストランのコンセプトに合い、客層に合うような価格帯にするためのメニューとレシピを作る
・出入りの漁師・農家:最先端の農法や漁法を使って、一定のコストの中で一番美味しい野菜や魚を採ってくる
データ分析の場合、先の記事に付け加えて、もう少し詳細に私の定義を書くと、以下のような内容になります。
・データサイエンティスト:モデル精度の向上や、新たな手法を調べて実装する。機械学習・深層学習の理論や実装に詳しく、技術トレンドをウォッチしている。
・データストラテジスト(≒アナリティクス・ディレクター):事業成長につながる分析テーマを定義して、データサイエンティストとタスクを設定する。データサイエンティストにとってストレスない会話が可能。
ざっくりいうと、データサイエンティスト・クリエイティブ・漫画家はより「職人」で、データストラテジスト・マーケター・原作者は「職人とビジネスを繋ぎ、職人のアウトプットがきちんとビジネスの結果に繋がるようにする人」となります。
これらはどれも一方通行の関係ではなく、漫画家が書いた一枚の絵によってストーリーが変わったり、設定がアップグレードされることもあるし、クリエイティブの1つのアイデアによってマーケティング戦略がアップデートされることもあります。そしてデータサイエンティストの発見により事業のコアコンピタンスとなる解析エンジンが生まれることもあります。
ストラテジストの役割とは
私なりにデータストラテジストの役割を細かくブレークダウンすると、以下のようなものがあると考えています。
1) 自社のビジネス課題を理解する
2) 課題解決に繋がる分析テーマを設定する
3) 分析テーマを、データ分析手法で実行可能な形に分解する
4) 分析結果を理解し、フィードバックを行い分析結果の効果を高める
5) 分析結果や効果を、非エンジニアにも分かりやすく説明する
全てのプロセスにおいて必要(かつ私が大切にしているポイント)なのは、データ分析手法や技術的な背景への理解です。私の経験では、データサイエンティストのように理論を正確に理解して計算ができるようになるというよりは、大筋で良いので理解をして、分析手法の適切なプランニングとフィードバックが出来ることが重要と考えています。
そして、特に3)と4)ではデータサイエンティストと議論することも多くなるので、お互いにストレスないコミニュケーションが求められます。その意味で、漫画家・原作者のようにお互いの相性も重要ではないかと思います。
データストラテジストの機能は非常に重要だと思いますが、多くの企業にとってはビッグデータ分析やAI導入自体がここ数年の新しい取り組み分野なので、「そもそもこうした役割があるとデータ分析とビジネスを繋げられるよ」ということが十分に知られていないのが実態です。
逆にデータ分析が上手くいっている会社の場合は、こうした役割を担っている人が(どのような肩書きであれ)社内のどこかに在籍していることがほとんどのように思います。
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