「妖怪研究」するのはいいが、ほんとにデータを扱う企業なのか・・・

数字はウソはつかないが、詐欺師は数字を使ってウソをつく。
とはいったものだが。

同じデータを扱う仕事に従事するものとして、これはちょっと看過できない。おそらく悪意はない記事だが、ちょっとひどい。

無料の記事なので、「どこまで出すのか」といった話もあるかもしれない。完全な記事ではないのかも。と、好意的に解釈する。こともできなく・・・。いや、無理だ。

悪意はないかもしれないが、下記の記事は同じような比較対象を並べてデータの公平性、信用性を担保しているようにみせかけ実は、それぞれの属性が違うものを比較して、自分たちの有利(言いたいこと)な結論に持ち込む典型的な話になっている(というかそれすら破綻しかかっている)。

悪意がないとしても、出来の悪い大学生のレポートのようだ。
新卒の宿題なのかもしれない・・・。ならば社内でとどめておく記事かもしれない。

妖怪を研究するということでそれぞれの妖怪の認知度調査をした。
ということらしい。
対象とされた妖怪が網羅されているわけではないので、詳細はわからないが一つの傾向として記事中に下記の文がある。

鬼に関しては、「名前と見た目をだけ知っている」の比率が40%と全体の中で最も高く、ネームバリューに対して、どんな妖怪かは分からない人が多いというのは面白い点です。

確かに記事内で認知度の高い妖怪としてあげられている
・座敷わらし
・口裂け女
・雪女
と比較して鬼について具体的になにをする妖怪なのかぱっと思いつかない。

ただ、本当にそうなのか。

座敷わらし、口裂け女、雪女はこれらが登場する物語とワンセットである。日本人なら、この「キャラクター」がどんなことをする(してくれる)のかを知っている人は多いだろう。これらは妖怪としてカテゴライズされているが、属性はキャラクター(どういったことをする妖怪として知られている傾向)が強い。

しかし、鬼はキャラクターではない。どちらかといえば、カテゴリーやラベル、アイコンに近い属性と考えられる。
妖怪の研究をしていれば、座敷わらし、口裂け女、雪女にくらべ鬼の種類がいかに多いかは知っていると思うのだが。
茨城童子、酒呑童子、餓鬼、天の邪鬼、夜叉、鈴鹿御前などなど。
それぞれ色んな鬼がいる。良い鬼もいれば、悪い鬼もいる。解釈によっては神に近い鬼(天の邪鬼はもともと神に使える存在だ※諸説あり)もいる。さらに現代でも鬼滅の刃など様々な作中で現役である。鬼はキャラクターの名前というより、多くの鬼の総称。と考えたほうが良いのではないか。そして、一般的に「鬼」という表現の役割は「邪悪」な存在のアイコン(記号)としての役割が多いのではないだろうか。

そこに「どんな妖怪かしらない」という回答が集まるのは当然である。あくまで鬼はアイコンでしかない。邪悪というイメージを抱いてもらうための記号なのだから当然である。逆に認知度は下がるかもしれないが、酒天童子ならどんな鬼か知っている人はいるだろう。天の邪鬼ならどんな鬼か知っている人も多いはずだ。

比較対象としてとして鬼は、妖怪というカテゴリーには属すかもしれないが、雪女や、口裂け女、座敷わらしと同列に見ていい対象か?という点で、かなり疑問がある。

この場合、河童も鬼と近い存在かもしれない。こちらもバリエーションが多い妖怪である。比較するなら河童と鬼なら条件が近く、適切かもしれない。

つまり何がいいたいかというと、比較対象の情報の粒度が違う。ということ。同じカテゴリで平等に比較されているようで、実は粒度がぜんぜん違う。
比較するなら、条件をなるべく同じにすべきである。カテゴリが同じだったらいいでしょう。とはならない。男女比較で90歳のおじいちゃんと、10歳の小学生女子を比べているようなものである。

これは比較しても、正しい結果が出る可能性が下がってしまう。
いわゆる分析前の「データの前処理」がかなり荒い。

ただ、この筆者はこのことに気がついている。この点が悪意がないと思われるところなのだが。

今回は単純なネームバリューに加え、その妖怪の特徴といった詳細な部分まで調査したので、具体的なストーリーとセットで広まった妖怪ほど認知度が高く、逆に "鬼" や "天狗" といった、やや抽象度が高く、派生の多い妖怪は控えめな認知度に留まった印象です。

サラッと流しているが、これは比較データの偏りである。分析した結果ではあるが、比較対象の差異にもっと疑問をもつべきであり、情報粒度をもっとそろえることに注力すべきなのだが・・・。データの前処理が雑なままであることを放置している。
気がついてはいるが、データをちゃんと理解しているのか疑わしい。そのことを正直に言ってしまっているから可愛げはあるといえば、あるのかもしれない。

アンケートも鬼という抽象的な聞き方をしているためアンケート回答者を「よく考えてみたら知らないな」とミスリードした可能性すらある。その点もこの筆者は気がついている風ではあるが、あまり問題と思ってないのか、「やや抽象度が高く、控えめな認知度に留まった印象です。」と、サラッと流している。偏ったデータである時点で信憑性がかなり低くなった。と思ってない?いや、むしろその重大性をわかっていながら、あえて無問題を装っているのか・・・?

はっきり言えば、「人の認知の不完全さ」について下記結論を導くにおいて、妖怪の認知を持ち出すのはデータとして適切だったのかすら疑わしい。おそらくだが、記事にすることを前提にしていて、ちょっと変わったネタを用意したかったのかもしれないが、ちょっとおふざけがすぎたのではないか。ちゃんとデータを集めて検証しようとして、妖怪の属性を利用することに整合性があると行き着いたのなら素晴らしいが、とてもそうは思えない。

分析において大切な観点は放置し、結論めいたことでこの記事は終わっている。

これに関しては妖怪に限った話ではありません。
中身は詳しく知らないにも関わらず、名前のインパクトやイメージだけが先行することは世の中にも数多くあります。広告などで「あの〜〜が監修」「医師も推奨」といった訴求をよくみかけますが、あれも名前やイメージにインパクトを与える手法のひとつです。

心理学では権威性効果と呼びますが、情報の判断を行う際、人は自分が思っている以上に発信者の権威や肩書に影響を受けてしまいます。メディアの進歩も相まって強力に認知が広まった鬼ですが、その実態を私たちは実はよく知らないのかもしれません。

結論ありきだったのか、無理やり結論づけしたのか、そうせざる得なかったのかわからないが、分析としてはかなり甘いし、かなりこじつけている感がすごい。アンケートをやり直しするわけにも行かなかったのかもしれない。事情があったのであろう。

そもそも日本人が鬼を認知しているのはインパクトが要因というのも怪しい。どっちかというと複数の物語における登場回数のほうが要因として大きいのでは?という気がしなくもない。なんなら、日本人がどう鬼を認知しているか調べてもらったほうが私は興味深いと思う。

イロイロ思うところはあるが、事情もあるのかもしれない。と割り切ろうと思ったが、無理だ。

この会社が分析を得意とするであろうコンサルティング会社を名乗っているから残念かつ、割り切れないのである。

分析の精度を高めるために重要なのは、分析手法もあるが、データの前処理がものを言うことが多い。ここが雑な状況を放置するのは、データを扱う仕事をする人間として、にわかに信じがたい。さらにそれを結論にこじつけていることが、似た仕事をしているとは思えない所業である。

こんな分析をどういう意図で出したのかわからないが、データの前処理が甘いなんていう素人みたいな状況を堂々と記事として外部に流している。
研究と言っているが、正直そのレベルなのだろうか。疑ってしまう。
無料記事とはいえ、基礎の基礎が蔑ろにされていると感じられてしまう記事はどうなんだろうか・・・。会社のイメージダウンにもなりかねないと思うのだが。

やはり、新卒の宿題だったのだろうか。

業界ではなかなか名のある企業だと聞いていたので、かなり残念だし、何を意図した記事なのか。その意図を推測してある意味衝撃を受けた記事であることは間違いない。

合わせて本来の分析業の方はこんなことはしないと、強く主張しておきたい。

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