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「異日常」25/37

それから俺は夜の予定の為、少しの家事をこなして身支度を整えた。(安定の百足コーデを基調とし、双肩にイーグル、ストールとしてアナコンダをプラス)
いざ出掛けんと玄関を出ると、脇の花壇に不審な段ボールが一つ。最低限の警戒心を保ちつつ中を覗いてみると、なんてことはない仔犬が一匹。ただその仔犬というのが少々変わっていて、頭からすっぽり円筒状の箱を被っているのだ。スナック菓子のプリングルスの容器を思わせる筒。そんなプリングルス犬とでも言うべき妙ちきりんな犬の横には、一通のメモ紙が入っていた。

「遊んでいたら抜けなくなっちゃった。助けて下さい。」

察するに、近所の子ども達が野良犬と遊んでいたら不可抗力でこのような状態となり、成す術なくここへ放置していったのだろう。何たる傍迷惑、俺は大袈裟に白い溜息を吐き捨てた。そして、筒を外す作業に取り掛かる。こう見えて俺は愛犬家なのだ。
まず仔犬を片手で抱きかかえ、もう片方の手で筒を引っ張ってみる。成る程、これじゃあ子ども達が降参する訳だ。ここまでしっかりハマっていては、ちょっとやそっとの力では外れない。
作戦変更。俺は抱いていた犬を一旦降ろし、左手で地面へ押さえ付けた後、自慢の右手(去年の町内アームレスリング大会で優勝した程)で思い切り引っ張ることにした。「少し痛いだろうが我慢してくれよ?」そう言って俺はリミッターを解除、あらん限りの力で引っ張った。
→ブチィィイィィン!!!(血飛沫)

鮮烈。凄まじい音と共に無残にも犬の首は千切れてしまった。断面は柘榴、気分はサロメ。あああ、お、お俺は、、、こ、今年のアームレスリング大会も敵無しだなと思った。


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