三田晴夫

美術ジャーナリスト。1974年毎日新聞に入社。2008年まで毎日新聞にて美術担当記者と…

三田晴夫

美術ジャーナリスト。1974年毎日新聞に入社。2008年まで毎日新聞にて美術担当記者として活動。この間、女子美術大学大学院(2006年.2013年)・多摩美術大学油画科(2009年.2012年)・早稲田大学(2008年.2011年)にて現代美術の非常勤講師として勤務など執筆多数。

最近の記事

『教養としての近現代美術史』ラスト

お付き合い頂きました皆様、本当にありがとうございます❗️ 表題の書名は12月27日発売予定となります。 今回は最後の更新となりますので、お手すきの際にご覧ください^_^ 彼の創始した絵画美学は、プッサンの確立した古典主義を継承し、さらに発展させる意味合 いも込めて新古典主義と称されました。 そのダヴィッドが遺した絵画群の中でも、あまねく世に知れ渡ったものといえば、稀代の英雄ナポレオン・ボナパルト(一七六九~一八二一)を主題 化した作品に尽きるといっても過言ではありませ

    • 『教養としての近現代美術史』4

      本日で、4回目の連載となります。 みてくださっているみなさま誠にありがとうございます❗️ 早速昨日の続きを掲載します。 また、モロッコ旅行の産物であり、明暗の対位法が抜群の『アルジェの女たち』(一八三二)は、 当時の西洋世界に沸騰したオリエンタリズム(東方趣味)の視覚的作例としても注目に値する一点といわなければなりません。 ドラクロワは後代の画家たちに圧倒的な影響を与えた画家としても知られますが、ルノワールは、「『アルジェの女たち』以上に美しい作品はこの世に存在しない

      • 『教養としての近現代美術史3』

        本日で3回目の投稿となります。 お付き合いいただいているみなさま誠にありがとうございます。 それでは、前回の続きからです。 よろしくお願いします🤲 このように肉眼とは異なる精神の眼を介して、対象世界の見えざる本質に肉薄しよ うとしたロマン主義の思潮は、大きなうねりをなしながら、古典主義やロココ様式を生んだ美 術大国フランスへも怒涛をなして押し寄せたのです。 その十九世紀フランスにおいて、ロマン主義の先陣を切ったのがテオドール・ジェリコー (一七九一~一八二四)でした。

        • 『教養としての近現代美術史』2

          昨日の続きから掲載いたします。 お時間あるときにご覧ください。 ロマン主義と新古典主義 (a)ロマン主義 西洋世界に市民社会の形成を促した一八三〇年代は、イギリスで発した産業革命の波がヨー ロッパ大陸に波及し、同時にまた、王侯貴族階級に限定されてきた美術体験が、一挙に市民社会 へと拡大化していく糸口となった時代とも言えるでしょう。その主舞台となったフランスのパ リで繰り広げられたのが、当時の美術界を二分した潮流同士による激しい確執劇でした。その 一方が、十九世紀前半に

        『教養としての近現代美術史』ラスト

          『教養としての近現代美術史』

          12月下旬頃発売予定です。 税抜1500円です。 本日は初めにを掲載します。 お時間ある方は読んでいただけますと幸いです。 グローバル社会などといった慣用句を持ち出すまでもなく、日本のビジネスパーソンの活動 が世界の津々浦々に及んでいる事実に、今さら驚くような人もいないでしょう。加えて、彼ら の仕事ぶりが、どこの現地でも一定の高い評価を受けてきたことにも。 にもかかわらず他方で、優秀な彼らが赴任先の現地でコミュニケーション・ギャップに悩ま されている、という情報も頻

          『教養としての近現代美術史』