Das Augenlicht

アントン・ウェーベルンやジャン=リュック・ゴダールと同じ12月3日が誕生日で、それと知…

Das Augenlicht

アントン・ウェーベルンやジャン=リュック・ゴダールと同じ12月3日が誕生日で、それと知る前から彼らに惹かれていたのは奇遇に思います。えっと、北海道在住の田舎者す(自慢)。la lumiere des yeux

最近の記事

吉田秀和「名曲三〇〇選」、あるいは心に秘めた小さな安香水のかけら

 吉田秀和さんの著書が多数電子書籍化され気軽に振り返ることが出来るようになっているので、重い腰を上げて「名曲三〇〇選」を相当久しぶりに紐解いてみた。  丸谷才一さん曰く、日本にゼロからその読者及びクラシック音楽を愛好する聴衆を育てた唯一無二の存在だったので、私もご多分に漏れず大きな影響を受けたと思う。そしてそこから逸脱したり反発するというのもお決まりの流れかもしれない。  決定的だったのはグノーやマスネについての記載でしたね。「…甘ったるい安香水的快感が皮層的に伝わってくる。

    • La Ruta del Nuevo Mundo, Las Rutas de la Esclavitud

       「新世界への道」第一弾、2001〜3年録音でエスペリオンXXI及びラ・カペラ・レイアル・デ・カタルーニャ得意のスペイン語歌謡、合奏曲の延長上でラテンアメリカっぽさを感じさせるいつもながら良いアルバムだと思います。  第二弾は2009〜10年録音、メキシコのテンベンベ・アンサンブル・コンティヌオとの共演でこりゃあいい。フォリアっていうけどこりゃもうラ・バンバでしょ。Alia Voxレーベル初期の前作から大きく飛躍跳躍して、軽々とジャンルを超えてます。  第三弾とは明記して

      • ガブリエル・ガリード(1950 -)

         長い事ガブリエル・ガリードの活動を聞きませんでしたが突然のリリース。  アンサンブル・エリマの名前はクレジットされておりません。私たちの心の中で彼らの名はやはりモンテヴェルディと結びつきが強いでしょう。3つのオペラやヴェスプロ、またマドリガルや「倫理的・宗教的な森」のalternative choiceとして、最も「ラテン的」な演奏でありました。情熱的な勢い、通奏低音が大編成で派手め、おそらく世間一般の評判より以上に個人的には大好きでありました。憎めないという方が正しいか

        • ルネ・ヤーコプスのカルメン

           とうとうそうきましたか…  1874年バージョンと銘打っていますので、初演(1875年)以前、自筆譜に則ってという事なんでしょうがルネ・ヤーコプスなので油断出来ない。ええっていう大胆な新機軸が隠れていることがあるんで。一聴しただけでは分かりませんけど。  序曲やジプシーの歌などでは慣習的な煽りを排しているので結果、ちょっとだけアンゲルブレシュトの録音と似てるかもって思う瞬間が。ディスクもリリースされるんでしょうかね。残念ですが一番印象に残ったのはヤーコプスさんのご様子で

        吉田秀和「名曲三〇〇選」、あるいは心に秘めた小さな安香水のかけら

          クラウス・テンシュテット(1926/6/6 - 1998/1/11)、あるいは響きと怒り その2

           そして1985年、病の発表がありその治療を優先して活動は中断されました。後にリリースされた大地の歌は1982および1984年とクレジットされている。他にも頓挫した録音計画は山ほどあったと聞く。1986年マーラーの第六番で指揮台に復帰したと記憶する。そして同年の第八番のセッション録音。冒頭からこの大編成で細かなアゴーギグ、それがこの上なくピタッとハマり説得力が凄い。展開部で突進する寸前の“アッ(ブレス)チェンデ”のブレス。再現部に向け次第にテンポを落としていきながら壮大にクレ

          クラウス・テンシュテット(1926/6/6 - 1998/1/11)、あるいは響きと怒り その2

          クラウス・テンシュテット(1926/6/6 - 1998/1/11)、あるいは響きと怒り その1

           大作を構想中いき詰まり、さらっといけそうな題材をみっけたんで始めてみますが、あら、結局はトリスタンとイゾルデになっちまうかも。  日本で初めて紹介されたディスクはベルリンフィルとのシューマン交響曲第三番(1978)、東ドイツから亡命の指揮者がアメリカでセンセーションを巻き起こした評判に続いて遅れた現れた新人とかカラヤンに後継者と目されたとか、独墺音楽の本流を行く、なんて惹句ですが本盤については伝わってくる実演での評判とのギャップが大きかった。ボストン響でのブラームス、ブルッ

          クラウス・テンシュテット(1926/6/6 - 1998/1/11)、あるいは響きと怒り その1

          シューベルトのピアノのための舞曲

           さすがはピエール=ローラン・エマール、目の付け所が。こんなに沢山、一つのアルバムとしてまとめるのは前代未聞では。期待します。  これらの曲を楽しむいちばんの方法は、自分で弾くことだとおっしゃるのはごもっともですが… エマールさんのアルバムには取り上げてない様子ですが、以前取り上げたD820の6曲のウェーベルンによる編曲版なんてのもありました。  私がまとめて聴けたのは、何と言ってもマルセル・メイエ(1897/5/22 - 1958/11/17)です。 今日の耳からしても

          シューベルトのピアノのための舞曲

          ペレアスとメリザンド その6

           ブルーレイ四題です。 ステファヌ・ドゥグー(Br ペレアス) エレナ・ツァラゴワ(S メリザンド) ヴァンサン・ル・テクシエ(Br ゴロー) フランツ=ヨーゼフ・ゼーリヒ(Bs アルケル) アンネ・ゾフィー・フォン・オッター(Ms ジュヌヴィエーヴ) ジュリー・マトヴェ(S イニョルド) ジェローム・ヴァルニエ(医師) パリ・オペラ座管弦楽団&合唱団 フィリップ・ジョルダン(指揮) 演出:ロバート・ウィルソン 演出補:ジュゼッペ・フリジェーニ 衣装:フリーダ・パルメッジャー

          ペレアスとメリザンド その6

          ストコフスキーのハチャトゥリアン「交響曲第三番」

           これに興味を持って検索してたら驚愕、こんな録音が残されていたとは知らなんだ、しかもシカゴ交響楽団!  アラム・ハチャトゥリアン(1903/6/6 - 1978/5/1)、交響曲第二番とかピアノ、チェロ、ヴァイオリンそれぞれの協奏曲やラプソディはいい曲ですよ。ただ交響曲第三番(1947)はねえ…トランペット15本にオルガンて、正気の沙汰ではない上に、ムラヴィンスキーは録音が古すぎるしコンドラシンはともかくだけど金属的なロシアンブラスで頭痛が痛いし、極め付けチェクナヴォリアン

          ストコフスキーのハチャトゥリアン「交響曲第三番」

          ベルリオーズの呪いあるいは何故南西ドイツ放送局傘下のオーケストラは一つに統合されたのか

          問い:何故シュトゥットガルト放送交響楽団とバーデン=バーデン・フライブルクSWR交響楽団は2016年に南西ドイツ放送交響楽団として一つに統合されたのか? 答え:二年続けてベルリオーズの「レクイエム」をそれぞれが演奏したりなんかしたもんだから(※個人の感想です)。  意外と真実のような気もする。 サー・ロジャー・ノーリントン指揮シュトゥットガルト放送交響楽団、SWRヴォーカル・アンサンブル・シュトゥットガルトおよびライプツィヒ放送合唱団、テノール独唱トビー・スペンス(200

          ベルリオーズの呪いあるいは何故南西ドイツ放送局傘下のオーケストラは一つに統合されたのか

          新・東海道五十三次 目まいのする散歩

           このところ武田泰淳がちょうど良く読める。「貴族の階段」を短時間で読了できたのがきっかけでしたか。「士魂商才」も面白かった。「ひかりごけ」は團伊玖磨さんのオペラを聴いてみたくて探しています。今のところ劇団四季の舞台化まで留まり。いずれ「富士」にはと思いますがまだ歯がたちません。「快楽」も。  今や奥様の武田百合子さんの方がむしろ大人気みたい。確かに「富士日記」など魅了されますね。タイトルに挙げたような泰淳の特にエッセイには奥様ネタが大部を占めているので、それとの共鳴もあって余

          新・東海道五十三次 目まいのする散歩

          ラフマニノフのピアノ協奏曲第三番

          ホロヴィッツ:アルバート・コーツ指揮ロンドン響(1930) ラフマニノフ:オーマンディ指揮フィラデルフィア響(1939)   同じカットがあります。 ギーゼキング:メンゲルベルク指揮ACO(1940)   この時代にしてカットがありません! ホロヴィッツ:フリッツ・ライナー指揮RCAビクター響(1951)   これ初めて聴けましたが凄まじい演奏でした。 ホロヴィッツ:オーマンディ指揮NYP(1978)   TV中継? 初めてこの曲に接した演奏でした。 J・P・コラール

          ラフマニノフのピアノ協奏曲第三番

          ヤニック・ネゼ=セガンのシベリウス

           正直に言いますとネゼ=セガンさんとは相性が悪いみたいで、オペラはいいんですが、交響曲ではその表現意欲がどうもあざといと感じてしまい醒めてしまいます。  COEとのシューマン、メンデルスゾーン、ベートーヴェンでは勢い重視のピリオド・スタイル、まもなくブラームスもリリースされるみたいですが、フィラデルフィアでのライブ(第三番)とはかなり変えてくるんでしょう。  モントリオールのメトロポリタン管弦楽団とはマーラーの第4番、第10番(クック版)、ブルックナー交響曲全集など、こちら

          ヤニック・ネゼ=セガンのシベリウス

          アルチュール・オネゲル(1892/3/10 - 1955/11/27) 「交響曲第二番(1941年)」

           音楽之友社最新名曲解説全集の交響曲 IIIで読んで存在を初めて知ったんでは、多分。最初に聴いたのはカラヤン・ベルリンフィルか。遅れてミュンシュ・パリ管の様な記憶があります。どちらももちろん心のある熱演、実はカラヤンもびっくりパッショネートです。お二人ともそれぞれの実体験からか他人事でない心がこもった感じ。戦時下、またパウル・ザッハーの委嘱作ということもあり弦楽オーケストラだけで演奏可能ですが最後の最後にサプライズがあります。  第一楽章、陰鬱な序奏から走り出した軋んだ響き、

          アルチュール・オネゲル(1892/3/10 - 1955/11/27) 「交響曲第二番(1941年)」

          イリヤッド-入矢堂見聞録

           マルコ・ポーロで思い出した。調べたら五年くらい連載してたんですね、月二回楽しみにしていました。  何しろテーマが大き過ぎて最後まで保つんだろうか(失礼)という感じで、終盤はやや端折った感はあったけれど充分でした。何しろ人間のいわば「原罪」をテーマにしてましたのでね。  少し影響を受けたかも、死海文書とか、ヴォイニッチ写本とか、カタリ派とか、あまり読んだことのないものに興味を持つきっかけだったかな。カタリ派はサヴァールさんがこんなアルバムを。 やっぱ凄いな。

          イリヤッド-入矢堂見聞録

          Orient - Occident (東方 - 西方)

           東洋-西洋の訳では勘違いが生ずる気がして敢えてこの表記で。オリエントといえばオリエント文明。あとはマルコ・ポーロかな。  リンク先の記載に何も付け加えることもない。極めて個人的な感想ならばお気に入りの冒頭一曲目を聴くとギリシア料理を連想してしまうことくらい。  それにしても2012年当時と現在の世界情勢で一体何が変わっているというのか。  多彩なイスラム圏等各国の楽曲に加え、アルフォンス10世のカンティガやセファルディ、トルコのカンテミルオウルなど、サヴァールさんたちが既

          Orient - Occident (東方 - 西方)